こんにちは。

 

暑くなってきましたねぇ。

そしてジメジメしてきました。

私の苦手な季節が、ついそこまで来ているような・・。

 

こんな時期だからこそ今回は、爽やかな風を感じるような、気持ちの良い作品を紹介したいと思います。

「海のアトリエ」 堀川理万子 偕成社

 

こちらは、久しぶりに再会した会社員時代の上司Tさんが教えてくれました。

「最近のお気に入り絵本」なのだそう。

 

 実は私、こちらの表紙だけは知っていて、素敵な雰囲気の絵本だなーと気になっていたんです。

善は急げ(?!)ということで、早速図書館で借りて読んでみました。

 

出版社からの内容紹介です。

おばあちゃんの部屋には、女の子の絵がかざってある。「この子はだれ?」って聞いてみたら、「この子は、あたしよ」って教えてくれた。
びっくりするわたしに、おばあちゃんが話してくれたのは、海辺のアトリエに暮らす絵描きさんと過ごした夏の日のこと、おばあちゃんにとって、いつまでも色あせない、特別な思い出だった。

少女がのびのびと心を解放することができた宝物のような日々を、まるで映画のシーンのように見応えのある絵で描いた魅力的な絵本。

 

この作品は、おばあちゃんが少女だったあの頃の話を、「わたし」が聞かせてもらっているという構成になっています。

 

混乱するといけませんのでここからは、おばあちゃんのこどもの頃を 少女 と書かせていただきますね。

(それから、私自身のことは大花と書きます。)

 

色々あって学校に行けなくなった少女に、「わたしのところに、ひとりであそびにおいで」と誘ってくれたのは、少女のお母さんの昔からの友達でした。

彼女は海のそばの家に住んで絵を描いてくらしていました。

 

小さな頃からその「絵描きさん」のことが好きだった少女は、迷いなく彼女の家へ向かい、忘れることができない夏の日々を過ごすことになるのです。

 

少女が絵描きさんと過ごしたのは1週間。

朝の浜辺を散歩し、誰もいない海で泳いだり、ねこと遊んだり、画集や写真集がたくさんある本棚から自由に本を選んで読んだり。

 

アトリエで絵を描く絵描きさんを眺めていたり、自分も絵を描いたり。近くの美術館にも連れていってもらったこともありました。

 

 

大花の中で強く印象に残ったのは、絵描きさんが少女のために用意した飲み物でした。

 

少女がアトリエに来た日、絵描きさんは乾杯をしてくれます。

「ようこそ、海のアトリエへ!」。

その時グラスに注がれた飲み物はスイカの香りのする水でした。

 

また、少女が家に帰る前日に開いてくれたパーティー。

乾杯用に用意してくれた飲み物は、ライムをひたしておいた水。

そこにはミントが浮かべられていました。

 

絵描きさんは、少女を子供扱いせずに接する大人でした。

 

大花は、子供扱いしてくる大人を苦手に思うタイプの子どもだったので、この絵描きさんの接し方がとても心地良く感じました。

 

そして、オリジナリティ溢れるライフスタイルの魅力的なこと!

↑こちらは裏表紙です。※図書館シールを隠すために筆箱を置いていますこと、お許しくださいませ。

 

ああ、絵描きさんが体験させてくれたことを、大花も少女の頃に体験したならば、もしかして人生が変わったかもしれない・・・と思うほど笑。

 

絵描きさんとの夏の思い出を聞かせてもらった「わたし」は、最後におばあちゃんに言います。

「わたしもそんな絵描きさんにあいたかったな」

 

するとおばあちゃんはふたつの言葉を「わたし」に言います。

ひとつは、こんなことです。

「そうね、でも、あなたはこれから、あなたのだいじな人にであうのよ」

もうひとつの言葉は・・・。

ぜひ、実際に読んでみてくださいね。

 

この作品は、作者である、画家・堀川理万子さんの実体験がベースになっているのだそうです。

 

波の音が聞こえてくるような。

綺麗なショートムービーを観ているような。

そんな気持ちになる絵本でした。

教えてくださったTさんに感謝感謝です。

 

薫 20240616