こんにちは。
小雨ふる寒い一日。いかがお過ごしですか?
このところ2月とは思えぬ軽めの服装で過ごしていました。
ところが今日はモコモコに重ね着しています。
寒暖の差が激しすぎますねぇ。
体調をこわさないように参りましょう。
さて、ここ数回にわたり長田弘氏の作品について書いてきた私ですが、まだ止まりません。
今日はこちらをご紹介したいと思います。
長田弘「詩ふたつ」 グスタフ・クリムト 画 クレヨンハウス
出版社の紹介文です。
長田弘の「絆」の詩篇に、クリムトの樹木と花々。
人生のなかでときに訪れる悲しみに、静かにそっと寄り添う、とてもやさしくあたたかい詩画集です。
2009年に旅立った奥さまに捧げた本だそうです。
収められているのは、「花を持って、会いにゆく」、「人生は森の中の一日」という長編の詩2編。
頁ごとにグスタフ・クリムトの樹木と花々の圧倒的な画が添えられています。
長田氏によれば、「詩と絵が一冊の本の中でフーガのように応答しあう本は可能であろうか?」という発想から作られた本だとか。
帯をとってみましょう。中のイメージが伝わりますでしょうか。
華やかな函から出すと、意外にもシンプルな表紙。
私はこちらもとても素敵だなーと思います。
そして長田氏の詩。
ほんとうにわずかな一節だけですが、引用させていただきます。
「花を持って、会いにゆく」の冒頭は、こんなふうにはじまります。
春の日、あなたに会いにゆく。
あなたは、なくなった人である。
どこにもいない人である。
「人生は森の中の一日」の中にはこんな一節がありました。
やがて、とある日、
黙って森を出てゆくもののように、
わたしたちは逝くだろう。
頁をめくるたびにスーッと入ってくるこれらの言葉が、鮮やかな色彩と一緒になって、どこか異国の地で賛美歌を聴いているような気持ちになりました。
そして気持ちが楽になっていくようにも感じました。
あとがきに、長田氏はこんなことを書かれていました。
「心に近しく親しい人の死が後にのこるものの胸のうちに遺すのは、いつのときでも生の球根です。喪によって、人が発見するのは絆だからです。」
長田氏はこんなことも書いていました。
「詩ふたつは、できれば、ゆっくりと声を出して読んでください」
私は涙が出るので声に出しては読めません。
手元にお守りのように置いて、静かに黙読している詩画集です。
薫 20240222
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