蓄電池を入れるか | ヒートショックのない家を建てる

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高齢の母のために考えた家を建てた経験を通して、注文住宅全般、特に換気関係について考えます。

 最近の太陽光発電システムの導入時に必ず検討課題になるのが、蓄電池を入れるかどうかでしょう。

 今は非常に高価で、もちろん元を取ることは出来ません。

 目的としては、朝夕夜間の太陽光パネルが発電出来ない時の電気の供給源にすることや停電時のバックアップです。

 

 朝夕は電気の値段が高く、蓄電池の効果はありそうです。

 しかし、深夜の買電価格は太陽光の売電価格とあまり変わりません。

 売っても買っても同じように見えますが、蓄電池には充放電ロスの問題があります。

 この充放電ロスのために太陽光で発電した電気を100%活用することは出来ないのです。

 ですから、売電価格と深夜の買電価格に差がなければ昼間に充電して深夜に使うよりも売電した方が充放電ロスのない分だけ得だと思います。

 

 蓄電池は停電時のバックアップになるということはよくわかりますが、滅多にない停電にお金をかけるのはどうしてもためらいがあります。

 停電したら別の地域に住んでいる家族の所に行ったり、ホテルなどに泊まったりする方法もあります。

 

 最近のパワコンには停電時に太陽光で発電していれば100V電源を供給できる機能が付いています。

 家全体に電気を供給することは出来ませんが、一部の機器ならば蓄電池が無くてもある程度バックアップできます。

 とりあえず昼間だけでも冷蔵庫に電源が供給されていれば問題はありません。

 

 停電しても住み続けることを考えれば、真冬や真夏ならエアコンも必要です。

 本格的に停電時のバックアップを考えるのならば、一部の機器だけのバックアップではなく、家全体をバックアップしたいものです。

 そうなると、全負荷対応にしないといけないのでトランスや切換ボックスが必要になってきて、ただでさえ高価な蓄電池がさらに高くなってしまいます。

 

 とりあえずは停電時コンセントを設けて、そこからコードリールなどで冷蔵庫までコンセントを伸ばして冷蔵庫などの一部の機器のみをバックアップするように考えました。

 停電時の操作としては手間ですが、滅多に起きない事にはこれでも良いと思います。

 

 本格的に停電時のバックアップを考える時、どれぐらいの時間バックアップするか、何をバックアップするかということが重要です。

 それによって蓄電池の容量が決まります。

 家全体をバックアップするには大容量の蓄電池が必要ですが、節電すればそれ程大きな容量の蓄電池が無くても長時間のバックアップが出来ます。

 一部の機器をバックアップするのはシステムが複雑になりますが、家全体をバックアップ出来れば何をバックアップするかなどと考えなくてもいいのでシンプルになります。

 停電したらいつもよりも節電すればいいだけです。

 

 停電時に一番使いたいのはエアコンと換気設備だと思っています。

 夏の暑い時や冬の寒い時に停電することを考えると、停電時のバックアップで一番大事なのは、住んでいる人の命に直結する、エアコンと換気設備ではないでしょうか。

 冷蔵庫が使えなくなったところですぐに飢え死にするわけでもありませんが、エアコンや換気設備が止まれば、熱中症になったり、ヒートショックで循環器系の疾患を患ったりと命にかかわることがあります。

 

 家全体のバックアップとなると蓄電池にはある程度容量が大きいものが要求されます。

 性能が大幅に向上すると期待されている全個体電池が商品化されるまでには、まだ年数がかかりそうです。

 当面は今の主流のリチウムイオン電池を使うのが現実的でしょう。

 

 その蓄電池の容量は現在5kWスタートですが、電気自動車の蓄電池の容量は最近発売された軽自動車の日産サクラでも20kW乗っています。

 常に家に設置している住宅用蓄電池と、家にないこともある電気自動車とでは、単純には比較できませんが、コストパフォーマンスを考えればこちらの方が圧倒的に有利です。

 蓄電池の設置は電気自動車の購入と共に考えるのが良いように思います。

 

 蓄電池は今後コストダウンされていくでしょうから、急いで導入することは無いと考えました。

 太陽光で発電したエネルギーを蓄えるものとしては蓄電池以外にもエコキュートを活用する方法もあります。

 こちらは特に追加投資の必要がありません。

 今まで夜間にお湯を沸かしていたものを太陽光発電の余剰電力で昼間に沸かす様に設定変更するだけです。

 こちらは結構な節電効果があると期待しています。

 

 当面は蓄電池を設置しないことにしました。

 しかし安くなればぜひ活用したいものです。