“換気を徹底してください” | ヒートショックのない家を建てる

ヒートショックのない家を建てる

高齢の母のために考えた家を建てた経験を通して、注文住宅全般、特に換気関係について考えます。

 テレビでは繰り返し「換気の徹底」を呼び掛けています。

 「換気マニア」を名乗る者としては、黙っていられません。

 

 「時々窓を開けて換気」と言いますが、単純に窓を開けたからと言って換気できるとは限りません。窓を開けることによって、かえって換気が妨げられることもあります。

 それでも、窓を開け圧力みたいなものが世の中に蔓延してしまって、窓を開けても効果がないなんて言おうものなら、非人間扱いされてしまいそうです。

 

 窓開け換気には、風が入って来る窓と出ていく窓が必要です。つまり、通気(風通し)することが重要です。

 窓を開ければ換気できると思っている方が多いのではないでしょうか。

 しかし、窓を開けても、開けた窓の周辺しか換気できないことが多いでしょう。

 さらに、通気が出来ても換気できるのは風が通っているところだけで、それ以外の場所は換気できません。

 

 窓開け換気をすると室温が下がってしまうので暖房を強くしてしまうと思いますが、屋外が乾燥している冬に換気して室内は暖房をすると過乾燥になってしまい、鼻や喉の粘膜の作用が低下してしまい、コロナ対策には逆効果になってしまうこともあります。

 

 また、一時だけの換気ではあまり効果がありません。やはり、常に換気するのが一番効果的です。

 24時間換気が義務付けられてから建った家ならば窓開け換気よりも24時間換気の方が効果的です。

 それでも心配ならば24時間換気の換気量を増やせばいいわけです。弱運転ならば強運転に変えれば効果が上がります。

 

 気を付けなければならないのは、第3種24時間換気の建物です。第3種換気では室内を負圧にすることで各部屋の給気口から給気しています。一部の窓を開けることで負圧が弱くなり、十分に給気されなくなってしまう可能性があります。開けた窓の周辺は換気されますが、それ以外の所は換気されなくなってしまうのです。

 

 もう一つは、冬の寒い時期の問題です。

 換気をすると冷たい外気が入ってきて部屋の温度が下がります。

 気温が下がると人は免疫力が下がり感染し易くなります。換気をすることによってかえって感染し易くなる場合もあるのです。

 さらに、乾燥すると喉や鼻の粘膜が乾燥して外的を排除する機能が低下してしまい、感染し易くなってしまいます。

 冬は屋外の乾燥した冷たい空気を取り込んで温めるので、どうしても湿度が下がってしまいます。室内を加湿器で加湿しても換気によって屋外に排気されてしまいます。

 この対策としては、全熱交換換気が出来る換気設備が有効です。全熱交換換気は屋外に排気される空気から湿気と熱を屋内に戻してくれるので、換気してもある程度の湿度を保てます。

 

 一方、24時間換気がない住宅では窓開け換気しか方法がありません。

 その場合はキッチンのレンジフードやトイレの換気扇を併用することが有効です。

 換気が難しいなら、空気清浄機を使った方がいいかもしれません。空気清浄機なら空気中に浮遊するウイルスをある程度除去してくれます。

 空気中を浮遊するウイルスは最終的に床に落ちるので、床の定期的な掃除も有効な気がします。床に落ちたウイルスを巻き上げてしまうと、そのウイルスを住人が吸い込んでしまうかもしれません。

 

 家の換気はその家の作りによって違います。

 「換気してください」一辺倒では十分な効果が得られないばかりか、逆効果になることもあります。

 そうならないためには、自分が住んでいる家の構造を知ることが重要です。

 家を建てたハウスメーカーや工務店が正しい住まい方を教えることも重要ではないでしょうか。