「何も知らない」ことを知る [11/07/13]
「何も知らない」ことを知る [11/07/13]
鈴木信行
私が初めて手がけたプログラム「患者の声は医療に活きる!」の第1期(全6回)が、先週終了しました。
毎週、患者講師の方に登壇していただき、若手医療者や学生たちに、講義をします。
そこで、今回は第1期の様子を報告します。
全6回に登壇した講師は以下の方々。
鈴木 信行 患医ねっと代表 「患者視点から考える よりよい医療者とは?」 内田 スミス あゆみ 通院・入院・お見舞いガイド主宰 「患者を知り、医療がかわる」 多和田 奈津子 グループネクサス理事 「若年性がんから学んだこと」 森口 綾 日本網膜色素変性症協会ユース前会長 「患者起点の医療サービスを考える」 永井 裕之 医療の良心を守る市民の会 代表 「医療・介護に正直文化、そして安全文化を-医療事故被害者遺族の立場から-」 中澤 信 バリアフリー・カンパニー代表取締役社長 「意外とバリアフル? 病院・施設のバリアフリーとは」 |
全6回を参加された方は12名。そのうち10名の方が感想を出してくれました。
それを紹介します。
(全文は次のURLに記載されていますhttp://www.kan-i.net/school2011-1-kanso.htm
)
立場も違えば、感じ方も違うようです。
患者、つまり病人になれば、多くの方はマイナスに捉えます。
しかし、患者講師といわれる方々は、自分の疾患を糧に、次のステップに進まれています。彼らは、自分の疾患や、自分の苦労、あるいは単に医療へ意見を言うだけではありませんでした。今の医療制度や社会の流れを踏まえて、今後医療者はどうあるべきか、そのような内容も踏まえて、多くの示唆がありました。
そのように、彼らは、単に医療者に講義をしているだけではなく、医療者へ尊敬の気持ちを持ち、そしてよりよい医療を実現させていきたいと願っている人たちです。人間的にも素敵なのです。
ですので、聴講した皆さんは、何かを得たいという気持ちが強ければ強いほど、多くのことを得てくれたように感じています。
「何も知らないことを知った」
まさに、この学生さんがおっしゃったことが的を得ているように思います。
さらに、自画自賛するのは、この講座では、参加者同士のディスカッションの時間を設けていることです。一般に講義やシンポジウムでは話を聞くだけで終わります。そこに、聴講者同士の意見交換の場を作ることで、新しい発見や、違う気づきが得られます。
これは、一般の世界でも言えること。大学の授業や企業研修でもいかがなのでしょう?
そして、自分の企画がこのようによい反響をいただけ、多くの方が第2期にも続けてご参加いただけていることが、とても嬉しく思うのです。
その第2期が先日より始まりました。
参加者は、まだ募集しています。ご興味があればこちらをご覧ください。
http://www.kan-i.net/school2011-2.htm
さて、次回は、患者講師に求められる資質について、考えてみたいと思います。
患者となった先にある選択肢の一つかもしれません。