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赤ずきんとセーラー服


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前 回のコレクションの撮影でオーストラリアを訪れた時、大陸南の街、アデレードで小さな人形屋を見つけた。アデレードの中でもそこはハーンドルフというドイ ツ系植民が拓いた一角。年季の入ったレンガ造りの建物が並ぶ通りを歩けば、今にもヨーデルか何かが聴こえてきそうな趣があった。僕が尋ねた人形屋もその町 並みの中にあり、表に飾られた糸操りのピノキオは通りの雰囲気にとても似合っていた。こじんまりとした店内では棚という棚に人形が置かれ、その一つ一つが 夜になったら動き出しそうなくらい生き生きとして見えた。日本でおもちゃ屋というとショッピングモールに入っている大型店を連想してしまうけれど、こうし たタイプのお店が今尚続いていることに嬉しい気持ちになった。そんな店内で最も僕の興味を惹いたのは『赤ずきん』の登場人物と思われる狼のパペットだっ た。

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  僕はドレスバレットのデザインを進める際におとぎ話の世界を想うことが多い。自分で表現したい童話となると一番に浮かぶのは言うまでもなく『不思議の国の アリス』だけれど、もし違った物語をモチーフに取るとしたらそれは『赤ずきん』だ。まるで神話のようにシンプルで残酷なストーリーはそれだけで想像を掻き 立ててくれるけれど、デザインをする上で何より魅力的なのは彼女の赤い衣装だ。今季のコレクションテーマに『赤ずきん』を据え、様々な資料を目にしていく 内、「童話世界のファッションアイコンを選ぶのなら春夏はアリスのブルー、秋冬は赤ずきんのレッドである」などとファンシーな対比が僕の中には出来上がっ ていった。


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  とはいえ童話の世界をただ形に起こすのであれば、それがどんなに魅力的な仕上がりであれ衣装の枠を超えられない。もしも現代を舞台に『赤ずきん』を書き直 すとしたら彼らはどんな洋服を彼女に着せるだろう。僕はそれはセーラー服ではないかとふと気づき、そこから転がる石のように僕のペンは進んでいった。


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  こうして形作られた今季のコレクションだけれど、僕は洋服単体で物語を感じさせるデコラティヴなディテールを意識して多く載せていった。赤ずきんのケープ には大ぶりのリボンを、セーラー服は総レース使いで。もしかしたらある人にはやり過ぎと映ってしまうかもしれないし、ビジネスとして成立しづらいアイテム も中にはあるだろう。けれどファッションブランドには売れる洋服を作るだけではなく、数字を超えたところでストーリーを提案し続ける責務があると思う。 オーストラリアの小さな町に今尚パペットを売る人形屋が続いているように、僕らにも描き続けなければいけない物語がある。童話の世界の防衛線を僕らが守っ ているなんて言ったら大げさかもしれないけれど、それくらいの気持ちを込めてこの新たなる『赤ずきん』を僕は発表します。


DRESS BULLET by glamb デザイナー

古谷完




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※glamb、DRESS BULLET by glamb ともに先行予約は9/8が締め切りとなります。

http://www.glamb-lodge.com/index.html


モデル

いとくとら