審判奇譚 第八章47 | 神鳥古賛のブログ

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古典。読めば分かる。

 「そは、如何でかは、我れ、」とレニ云ふ、「しかとは申し参らせんや。


さはれ、兎まれ角まれ、これなる人、と見かう見して読み参らするを見たりしか。


日がな一日、同じふみのひら、これ読みゐたり、読みつゝ一くだり一くだり、およびもてたどりゐたりけれ。


のぞき見たれば、これなる人、読み参らするが、いたく骨折りなると云はんがさまに、たび毎に息吐きゐたりしは。


我が君の貸し与へ給ひしふみたる、蓋し、いとゞ思ひ解き難きものなりしなるらめ。」となん。


「しかりしよ。」と弁護の士云ふ、「およそ、わきまふるに難きは、まこと難きなり。この男に、わづかにも思ひ解き得るとは、我れ思はず。

 

我が為せる、この男の弁護とふ闘ひの、如何に難きものなるか、それのみ覚り得なば良しとすべきふみなる。


しかるに、この我れよ、誰が為に、かく難かるべき闘ひをば為しゐたるや。そはーー口にするも烏滸がましう憚らるれどーーブロクが為なるは。


こは此れ、何心の籠められあらんとするものなるか、これも諭さゞるべからず。小止みなく、まめまめしう学びゐたりしや。」となん。


「およそ小止みなく、まめまめしうこそは。」とレニ答ふる、「ひと度のみ、水飲ませて賜べと云ひしか。されば、風通しの穴より水ひとつ与へたりし。


さてありて、暮れ五つ刻に、これなる人を出だし参らせ、食(じき)参らせし。」となん。


ブロク、横目づかひにKをちらと見遣れど、まさに誉めそやされゐたるは、この我れぞ、


爾もいづれ、思ひ沁みたれ、となん云はんばかりの目づかひなりしなり。


大いに望ましうなり来たりけん、身ごなし伸びらかになり、膝にて、其処此処とそゝめき歩りきぬる。


さればこそ、なほ際立ちてけざやかに目の当たりに為せしは、弁護の士の次なる言葉に、凝り固まれるが如き、その有りさまなりき。


「汝れ、この男をば誉めなん、」と弁護の士云ふ、「しかるによつて、この我れは、云ふに云はれずなりぬるなり。


しか云ふも、ブロクの身のほどに於いても、ブロクの公事に於いても、判官殿の云はるゝ事は、あるべかしうあらざりしなり。」と。

 

 

 

 

 

 

 

 

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