神鳥古賛のブログ

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 かくては、これまで待ちゐたるを、飽く迄徒ら事と為されんとせしかば、Kの云ひ事を聞くや、三たりの者ら、呆れ果て、言も出でずに顔見合はすばかりなり。


「されば、しか極まりしな。」とK云ひしかど、既にして被り物をも持て来たる丁稚の方へ身を向けゐぬるなり。


Kの部屋のひらきし扉より、おもての雪のしげくなりゐしが見ゆ。為にK、外套の襟を立て、頸もとの釦鈕を掛けつ。


かゝる処へ、隣り部屋より、出店の名代現れつ。外套をまとひしKと客らと駆け引き為せるを、笑み浮かめつゝ見遣りて、かく問ひぬ。


「お出ましなるかな、商ひ番頭殿。」と。「しかり。」とK云ひ、威儀改めて、「務めの事あり、行かざるべからざるを。」となん。


しかるに、出店の名代、つとに客らに向き合ひゐたるなる。「さて、これなる人びとよ」と彼れ問ふ、「いと久に待ちゐたるがに見ゆれ。」と。


「はや、話はまとまりぬ。」とK云ひぬ。しかるを、かくなりては、この者ら、はや、このうへは耐へ得ずして、Kを取り込めて、


大事の用向きならずして、いかでいと久しくも待ち受けんかは、如何にもして、直ちに、ふたりのみにて、つばらに談合為さゞるべからざる用向きなり、などまくし立てつ。


出店の名代、しましくも、この者らの言ひ事を聞きゐたれど、被り物を手に、其処此処の塵払へるKのさまをも見遣りて、かく云ひぬ。


「おのおの方、いとも容易きわざこそあれ。我れへなりとも頼まんとならば、我れ、進んで取り遣りうけたまはらうず。


それ、はや、直ちに語り合はすべき用向きなるべきは云ふに及ばんやは。


我れらも、おのおの方と等しう商人なれば、商人の時の間も惜しむべう事、能くわきまへゐたり。此方へ、いざさせ給へや。」と。


さても、彼れ、扉をひらきしかど、これ、彼れの務め為す部屋の控への間に至る扉なりき。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 怪しやと思ひつゝ、かしら振りに振りゐたれば、丁稚、傍らに来たり、この控への間の長椅子に腰掛けゐぬる男三たりに心付かせたり。


Kのもとへ招き入れられんを、この三たり、はや、久に待ちゐたりたれ。


丁稚、Kと話し出づれば、三たり、立ち上がり、これよ、逃さじとばかり、我れも我れもと、Kのもとへ歩み寄らんと為すなり。


両替屋、これ、この待ち合ひにて、時を徒らに費やさしむるが如きたはわざを敢へて為したれば、此方にも、はや、つゝみゐるべきかは、となん云ふさまなり。


「商ひ番頭殿。」と、時を移さず、呼ぶ者ありき。しかれども、K、丁稚に羽織を云ひ付け、これを羽織らしめつゝ、三たりの者らに呼び掛けつ。


「おのおの方、ご許されませ。今は、はや、かたじけなくも、対面せんに、そのいとまあらず。

 

甚だ心憂くも、急ぎの用向き、これあり、直ちに出で向かはずんばならず。御覧じあそばさるゝが如く、今や甚だ以て久しう引き留められければなん。


明日(みやうにち)乃至は何時にても苦しからず、今ひとたび出で来たり給はらんや。さらずは、よし、電話もて用向きを語らはんとせんか。


さらずは、如何なる用向きか、これにていさゝか仰せられ給ひ、さるうへから、此方より、ふみもてつばらにお答へ申さん。


近きほどに、今ひとたび来たり給はらんが、最も意に叶ふなる。」となん。

 

 

 

 

 

 

 

 

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 K、うなづきぬ、控への間を経て工場の主を送り遣りぬる。


しかれども、おもては穏ひに涼しく仕為せど、己れみづからの言葉には呆れ惑ひゐたるなり。


チトレリに便りを遣はさんなど云ひし、もとの心は、たゞに工場の主へ、取り持つのふみを平に謝し、如何やうにチトレリと会ふべきか直ちに思ひ廻らさなんなるを、敢へて示さんとて云ひしのみ。


しかるを、彼れ、そもチトレリの力添へを値打ちありと見為さましかば、彼れ、まこと便りを遣はさんに、ためらはん事なからまし。


さりながら、これによりもたらされんとも知れざる災ひには、工場の主の言葉もて初めてそれと心付きしなり。


我がなづき、まこと、はや、かくも頼みなきものとなりたるや。


明らけく便り言もて覚束なき者を両替屋に呼び出でゝ、出店の名代とわづか扉ひとつを隔てたるうちにて、その男より訴へ事への心得を聞かんとす━━


かゝる事ありなましかば、更に余の危ふき事を見過ぐさましを、或るは、その危ふきうちへと駆け入らん事、無きとはせざらまし、否、無くをや、大いにあり得べき事ならざるやは。


諌め聞こえん方、恒に己がそばにありとしたるものにあらず。


さても、まさに、この時し、彼れの持てる力を挙げて出で立たんとするにあたり、己れみづからの心用ゐに、思ひ設けぬ、この疑ひの立ち現れんとは矣。


勤めのなりはひを為果てんとするに抱く、かの悩みわづらひを、訴へ事に於いても、はや、抱きつゝあらんか。


さはれ、今にして思ふに、そも何ゆゑにチトレリに便りを遣はし、両替屋に呼び入れんなど思ひしか、これぞ、はや、うつゝの夢にこそありけれ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 K、事醒めていたく思ひくんじつゝ、ふみ受け取りて袂に差し入れつ。


如何に事の良く運ばんとも、この取り持つのふみのもたらすべき値打ちのほどの浅まなるは知られけれ。


方や、工場の主、これ、彼れの訴へ沙汰を知りぬ、かつ、絵師、これ、この噂を広めんとすべからんには、うたてしき痛手を被らんとも知れざれば、およそ比ぶべうもなけれ。


はや、扉へと歩みつゝある工場の主に、わづかにもゐやの言葉投げ掛けんとは思へど、うたてや、心に入らず。


「いで、さらば、行かん。」と彼れ、戸口にて、工場の主と別れんとするに、かく云へり。


「さらずは、今し我れ、甚だせはしき折りから、ひとつ我が勤むる先に来たりてや如何など、便りを遣はすか為さん。」となん。


「汝れにとり、殊のほか良き手を見出ださるべからん事、能く存じよりぬ。」と工場の主云ふ、


「しかはあれ、我れ、かゝるチトレリの如き奴つこを両替屋に呼び入れ、これにて訴へ沙汰の話を語らはんなど、汝れにも忌むべきものならんと思ひゐたりしよ。


更には、かくの如き手合ひに、ふみの如きを託さん事、敢へて望ましかるべきとは云ひ難けれ。


さはれ、ことごとくを見極め勘へたるうへの事なるべければ、御みづからの為すべきと為さゞるべきとのわきためもわきまへゐたらんず。」となん。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 さはれ、こは、事のついでに云ひたるのみ。さもあれかし━━となん、我れ思ひしが━━チトレリ、これ、汝れに合力為さん事、或ひはあるべきか。


裁きの判者をあまた知りうとに持ち、己れみづからは、さして陰を及ぼさゞらんとも、汝れに口入れして、如何に力ある諸もろのひとに近付き聞こえんか、これを教ふるならん。


さても、この教へのおのづからは力を備へずとするとも、我れ思ふに、これ、汝れのものとならば、おほいに力を秘めたるものとなるべし。


汝れは弁護士に似たればなん。我れつねに斯く云ひぬ、商ひ番頭のK殿たる、弁護士の如きひとなるかな、と。


いやさ、汝れの訴へ沙汰に於いてはや、我れ、何らの心懸かりなる事もあらず。


さもあれ、チトレリのもとへと行かん哉。我が仲立ち為さば、かの男、あたふ限りを尽くさめや。


行かん方、優れりとなん思ひぬる。論なし、けふならずともをや、何時にても、用のついでにても。


さはさりながら━━こはこれ、申し置かんず━━我れの斯く薦めたりとて、まこと、チトレリのもとへ赴かなんなる、さる義理、これ嘗てあらざるを。


いやさ、チトレリの如き、何ぞの用もあらず、と思はゞ、それ、かゝる男、目にも懸けざらんに及くなし。


はや、汝れ、つばらに企てゐたるやも知れざれ、チトレリの如き、それのさまたげともなりかねまじければ。


否とよ、しかりければ、さるまじき処へなど、努ゆめ行くべからざらん事、云ふに及ばず矣。


そのうへ、かゝる奴つこの教へを受けんとならば、およそ忍ぶべき事さはに積もれ。


はや、お気の召すまゝに。これや、取り持つのふみ、これ、住まゐなる。」となん。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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