審判奇譚 第八章39 | 神鳥古賛のブログ

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古典。読めば分かる。

 ブロクは、呼ばゝる声を受けて、即ち来たれど、扉をまへに立ち止まり、入るべきや否や、思ひ惑ひゐたるなるらし。


眉をそばだて、かしらを傾ぶけて、弁護の士のもとへ来たれとの召し、再び繰り返されざらんかと、聞き耳立つるさまなり。


入るべく勧めなんと思はゞ、さも為さうず、さはれ、Kには弁護の士のみならず、これなる家ちのことごとくを、


弥果てには交はりを断たんと思ひ閉ぢめゐたれば、つゆばし動かずにゐたり。レニも黙だしゐぬ。


敢へて追ひ払はんとする者無しと見取りて、ブロク、爪立ちに部屋へと入り来たれど、顔やう、うたゝ強ごはしう、背なにまはせる左右の手は、ひきつり震へゐたり。


しかのみならず、心ぐみの浅まならで、逃げおほせんが為に、扉を開け放しゝまゝに為し置きしなり。


Kの顔には見向きもせずに、羽根の衾の盛り上がれる方ばかりうかゞひゐたれど、羽根の衾の下なる弁護の士は、まこと壁ぎはに、その身い寄りたれば、姿さへ見えず。


しかるを、この時、声のみぞ聞こゆれ。「ブロクは来たりしや。」と彼れ問ひき。


この問ひたる、はや、既にして部屋のうち深くまで踏み入れゐたるブロクに、あたかも、胸にひと太刀浴びせ、更にまた、背なにひと太刀浴びせたるに似たり。


ブロク、よろぼひぬ。背なはかゞまり縮こまりて立ち止まり、かく云ひぬ。「御まへに候。」と。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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