審判奇譚 第八章40 | 神鳥古賛のブログ

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古典。読めば分かる。

 「何ゆゑ、かくは在る。」と弁護の士問ひぬ、「悪しき時に来ぬる者よ。」と。


「御呼び参られしには御座るまいか。」とブロク、弁護の士に云はんより先に、己れ身づからに問ひ言して、


左右の手は身を守らんとするがにまへに立て、はや、逃げ出ださんとする構へなり。


「呼びけるは。」と弁護の士云ふ、「呼びしには呼びしかど、さはさりながら、悪しき時に来ぬる者よな。」となん。


さては、しましく間ありて、かく言を継ぎぬ。「いつのまさかも、悪しき時にのみ来ぬる者よな。」と。


弁護の士、話し出づるや、即ち、ブロクは臥しどの方へは目も遣らず、部屋の片隅かいづへに見入るが如く、


話し手の姿のまばゆくて目も当てられずと云はんさまにて、耳ばかり傾ぶけゐるさまなり。


しかはあれども、聞き取らんも難かりしものなるなり。弁護の士、これ、壁へ向けて話し、そのうへ更に声は低く口つき早ければなり。


「引き入るべう御望み参らせ候や。」とブロク問ひぬ。「来たりしうへからは、」と弁護の士云ふ、「をれとこそ矣。」と。


うたて、弁護の士、これ、ブロクの望みを叶へたりと云はんか、打ち撃たなんと威し付けたるにさも似たり。


しか云ふも、ブロク、まさに今や、真こそにふるひふるひつゝゐたればなり。


「我れや、昨日、」と弁護の士云ふ、「友たる、三たり目の判官殿のもとへとい行き、話をやをら爾が事に向かはしめつ。彼れが云ひし事、聞かんとするや。」と。


「お頼み申しまする矣。」とブロク云ふ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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