審判奇譚 第八章33 | 神鳥古賛のブログ

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古典。読めば分かる。

 「公事に口入れする折りからは、」と弁護の士、低き落ちゐたる声にて云ひぬ。


「大もとに於いて、新しき事の動き出で来なる事、はや、起こらずなりぬるなり。


およそ、いとゞしくさはなる頼み手ら、汝しと等しかるべき公事の刻みに、汝しと等しきさまに、我がまへに立ちふたがり、汝しと等しきさまにもの云ひしかな矣。」と。


「しかりなば、」とK云ふ、「その等しきさまの頼み手ら、皆我れと等しきさまに、まことしき見立てを述べたるなれ。


さる事、何ら云ひ破らん言立てとはならざれ。」と。


「何ぞや、汝しを云ひ破らんとて言立つるにはあらじよ。」と弁護の士云ふ、


「さはれ、我れ、いさゝか云ひ添へんとて申さんとしたるは、汝しは余の人びとに優りて、わきまへ分き分きしかるべしと思ひゐし事なる。


そは、殊にも、汝しには、余の頼み手らにするよりも、敢へて、裁きの司の仕組みと、我れが勤めの趣きとにつき、事細かに伝へ置きたればよ。


しかるを、かゝる骨折りをしたる甲斐も無く、怨むべし、汝しは、この我れを、まめやかにも信ずるものにあらずとなん云ふなる。


あまりにも僻ひがしきさまなる人や。」となん。


 

 

 

 

 

 

 

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