さは云へ、訴へられたりとて、かくと示さるべき、きはやかに面やう、これ面変はり為すと云ふにあらざるは申すに及ばず。
さもあれ、余の公事沙汰とはおよそ異なり、おほかたの訴へられし者、これ常の暮らしを営みゐたり、
あらゆる骨折りを惜しまぬ良き弁護の士、これあらば、訴へ事にわづらはさるゝ事なきなり。
それにもあらで、功を積みたる者らならば、譬ひ人数さはなるうちにても、訴へられし者を余さず、それと見分くるを得るものなる。
いづれを見て、それと知らるゝやと、汝し、問はんとするなるべし。
意に適ふべき差しいらへとはならざるべう思はるれど、訴へられし者と云ふは、まさしく、すぐれて麗しき人どもなるは。
罪咎をもちて、彼れらを麗しう為成す事、これあるべからず。
その何ゆゑか━━せめて弁護する身たる我れや、かく云はざるを得ざれ━━
訴へられし者ことごとくに罪ありなど云ふ事、あり得べからざればなり。
しかるに、また、あるべき罪なへなるもの、既にして彼れら訴へられし者を麗しう為成す、など云ふもあるべうも無し。
その何ゆゑか、訴へられし者ことごとくは罪なはるなど云ふ事、あり得べからざればなり。
しかれば、こは、彼れらのうへに差し付けられし吟味筋のうへに他なく、この吟味筋のうへの何ものか、彼れら訴へられし者に付き纏へるなり。
しかすがに、麗しき人どものうちにも、すぐれて麗しき者、また、あるにはあれ。
さは云へ、麗しと云ふべきは、なべての者なり、かの、あはれおぞの奴つこブロクとて数よりほかにはあらざるなり。」となん。
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