ブログ画面の右上に、「点頭く」をどう読むかとあって、「たしか、“うなづく”だよね」と思って、変換したら「頷く」しか出ませんでした。
逆に「点頭く」でググったら、のっけにでたのが「落語・講談によく出ることば話芸“きまり文句”辞典」。
http://wageiidiom.cocolog-nifty.com/takmat/2007/08/post_4b75.html
点頭く (うなづく)
重要度★。「頷く」はなぜかあまり用いられない。
とあるので、オーラルな資料でなく、文字文献(速記本その他)を見ての記述でしょうね。
その他、「絹本墨画着色髑髏図」という伊藤若沖の画の賛に、「露柱點頭」という句があって、「點頭(点頭)」はうなづく意味だ、という注釈のあるHPもありました。
「小公子」の本文が電子化されていて、その中の用例も見つかりました。
夏目漱石の「点頭録」も電子化されている。
http://www.aozora.gr.jp/cards/000148/files/4672_8593.html
「点頭」という漢語があって「うなづく」意味なのですね。一方、首を上下に動かして賛意などを表す仕草は、「頷」という字でも表す。
「首肯く」という表記もあります。これは動作というより、内容への賛意を「彼のいうことも頷ける」というような場合に使うのが本来でしょう。首肯(しゅこう)できるというときですね。
「点頭」という漢語(ただしあんまり一般的ではない)の意味を、訓としてあてる読みは他にもあります。
えいやっ!
「躊躇う」 (ためらう) 「彷徨う」 (さまよう) 「嘲笑う」(あざわらう)
ただし、「あざわらう」は「嘲う」と訓読みするほうが普通かな。
語源を考えて、「さまよう」は「さ迷う」と書くほうがいいのか、「さまよう」はべつに「迷う」のではないのだから、彷徨の字のほうがいいのか。どうなんでしょう。
ついでに「徘徊る」で検索すると、「たもとおる」という読みが得られます。
個人的には、躊躇は「躊躇する」という漢語からの造語で使い、「ためらう」という和語はかな書きするほうがいいと思います。
また、「点頭く」を「うなづく」と読めると偉いとも思えません。読めてもいいけど、それなら「点頭」という漢語がそもそもあるんだということも知っていないと変じゃない?
まあ日本語に正書法なんて無理なんだから(開き直り)、「彷徨う」って書いてもいいのかもしれないけど、それなら「彷」と「徨」という漢字がそれぞれ「さまよう」意味だということを認識していることも必要なんじゃないかな。
いまは、漢字そのものの知識より、日本語の豆知識みたいな話が多過ぎると思うなあ。
漢字の雑学ってねえ