定額給付金のドタバタから、「地方交付金」と「地方交付税」をめぐるゴタスタ、おまけに「医者って社会常識がないよね」発言と、麻生総理が軽率に発言してはものごとを混乱させて、自民党内からマスメディアまで、それをぼろくそにいう事態になっています。
まあ、本人の責任は大きいけど、道路財源をどうするかにしても、景気浮揚のためにどういう政策がいいのかにしても、そんなに簡単な話ではない。「麻生はバカだ」って言っていればすむ話ではないよね。
政策論議は知識が欠けているのでできませんし、わかる範囲の自分なりの理解の提示というのも準備不足で書けませんが、福田さんがやめて選挙の顔として担ぎ出した麻生総理って、こんな「うけ方」を想定されていなかったよね、というところを、面白がろうと思います。
彼の大衆的にうける要素ってなんだったのかな。率直な、政治家らしからぬ物言いというのはあるんでしょうけど、それって思ったより難しいんだよ。
まあ、当代で一番うまいのは石原慎太郎都知事でしょうね。暴言になることもあれこれいっているけど、既存の政治家のような持って回った言い方はしないと期待されている。マスメディアに至っては、「評論家」として利用している。石原都政の是非がどうのという前に、マスメディアが言論機関として安っぽいとこが一番みっともないと、わたしなどは思うね。
ワンフレーズ・ポリティクスといわれた小泉元首相は、政治歴長いですから、言葉の選び方は慎重です。けっこう官僚の言うとおり、永田町の論理で動いていたのだけど、それを新しくみせる才覚があった。ブレーンもよかったのでしょう。
安倍元首相というのは、大衆人気を期待したらキャラクターとして外れた。年金問題が燃え盛ったときに参院選挙があって、閣僚が相次いで足を引っ張ったというめぐり合わせの悪さが大きいけど、そもそも当人にテーマがない。戦後体制の見直しみたいなウヨ厨みたいなことは言えるけど、情勢変化に自民党政治(集票組織も政策も)がフィットしていないのを、どう利害調整しながら移行させていくか、という役割を自覚もしていないように見えました。ひょっとしたら自民党を壊す密命でも帯びていたのかな。
安倍政権発足当時のエントリー。
http://ameblo.jp/kandanoumare/entry-10016632068.html
福田前総理はキャラクターを期待されたわけではなく、ねじれ国会という状況で実務的に政局を担うことが役割だったのでしょうが、「大連立」が失敗した頃から、総選挙での政権交代という影の中での政権運営になった。同時に格差社会があらわになって景気も悪くなっていった。
こんな支持率では確乎とした政策もできないから、総選挙で建て直しと思って身を捨てたら、やめ方が唐突だというので、さらに自民党の支持率が落ちて,選挙ができなくなった。
そういう流れの中での麻生政権で、本人のアホや未熟だけの問題ではない。まあ、普通の政治家ならしない発言で、話をこんがらがらせて、「政治はスピード」と言いながら、本人が一番、政策のスピードを落としているという滑稽さはありますけど。
それにしても日本テレビからフジテレビから、みーんな面白がって麻生総理のとんちきぶりを伝えています。いくら「おバカキャラ」が流行語大賞の候補になる時代でも、こんなことは前にはなかったと思う。
新聞、テレビは政治家の悪口をいうのはもともと好きですよ。政治的ポジションに関わらず、自民党支持者だって、今の政治家はなっていない、という悲憤慷慨は好きだし。あたしが物心ついてからでも、政治家が大衆的にもマスメディアにももてはやされたのって、「今太閤」と言われた田中角栄内閣のできたときと、政治改革ブームの時の細川内閣。そして小泉ブームかな。それ以外は、総理大臣というのは世の中か全般から、冷ややかに見られたり悪口を言われたりするほうが多かった。
でも、麻生氏のいじられ方とは違う。それだけ政治家が軽くなったというと、いかにも「じいさん的感想」ですが、悪口を言われるというより馬鹿にされるようになっている。
まあ、漢字の読み間違いを言われる総理大臣というのは、あんまりないでしょう。加藤紘一氏が防衛庁長官になって、観閲式の時「艟艨」って字が読めなかった。「ああ今の人は読めないんですねえ」と、宮沢喜一氏が語ったことを覚えています。そのときから何年かな。「週刊文春」や「週刊新潮」まで、学習院のOBが恥ずかしがっているとか、「マンガ脳」なんて見出しを中吊広告に躍らせています。
むかしの政治家が歌舞伎でいう「実悪」(仁木弾正みたいな重々しい悪役ね)とすると、麻生総理は「半道
敵」(はんどうがたき、滑稽な悪役。鷺坂供内みたいな役)といったところでしょうか。
これを政治の半道化といいます。 (くだらないオチだーっ)
魚拓を取らないからそのうち変るけど、
「週刊文春」11月27日号
http://www.bunshun.co.jp/mag/shukanbunshun/
「週刊新潮」11月20日号