プールサイドの人魚姫 -24ページ目

プールサイドの人魚姫

うつ病回復のきっかけとなった詩集出版、うつ病、不登校、いじめ、引きこもり、虐待などを経験した著者が
迷える人達に心のメッセージを贈る、言葉のかけらを拾い集めてください。

救急車

 
 事の顛末を聞きながら、「勇次のやつ…」と僅かばかりの怒りを覚えつつ、父の呆れたお人好しに「あんたは大馬鹿者だ」と私は言ってやりたかった。困っている者を見ると、放っておけない性分は、祖母キクノ(父の母)にそっくりだった。

 それは父の唯一の長所でもあったが、自分の家庭を顧みず、他人を助けると言うのは「ええかっこしい」と思われても仕方がなかった。藤枝で5本の指に入るほどの資産家に育ち、我がまま放題の子ども時代を送った父にとってみれば、プライド=世間体が大事だったのである。

 自分の息子が弁当を持たずに学校へ行って辛い昼時を迎えようと、一日一杯の即席ラーメンで飢えを凌いだとしても、見て呉れさえ良ければ問題なかったのだろう。

 私は父から小遣いを一度も貰った事がなかった。父は親戚の子どもたちを孫のようにたいへん可愛がっており、会う度に小遣いを上げていたようだ。だから従兄弟たちからは「信ちゃん、信ちゃん」と慕われていた。そんな従兄弟たちに嫉妬心など抱いた事もなかったが、唯一救われていたのは、私を可愛がってくれる人たちが大勢いた事である。父や母の分まで私を抱きしめてくれた祖母や叔母たちの存在があったからこそ、苦労を苦労とも思わず生き延びて来られたのだろう。

 煙草に火を点けながら父が言った。

 「心臓の方はどうだ?大丈夫なのか…」

 「うん、今の所はね、半年に一度市立病院に行ってるよ」

 「そうか、それはよかったな…」

 「でもね、いずれは手術しないと駄目みたいだよ」

 「とし坊が入院するって電話で呼び出された時は、どうなる事かと思った…」

 「夜中に救急車で運ばれた時でしょ」

 「ああ…、父ちゃんの居場所がよく分かったなぁ…」

 「どうして分かったんだろうね?僕も知らなかったし」

 「あの時、勇次や他の連中と飲んでたからな」

 「父ちゃんが酔っ払って救急車に乗り込んで来た時は参ったよ…」

 それは、私が十二歳の時だった。父は仕事で家を長く留守にしていたため、私は母の実家で暫く過ごしていた。大好きな祖母や叔母、叔父たちに囲まれての暮らしは、たいへん居心地の良いものであったが、その一方で、病魔は確実に私の身体を蝕んで行った。

 学校も長く休みがちになり、祖母が学校まで直接出向き、長期病欠の手続きをしてくれた。その当時の心臓弁膜症と言えば、不治の病として恐れられ、治す手立ても殆どなく死を待つのみであった。

 心臓が悪くなった十歳頃から、突然鼻血をよく出すようになり、それが止まらず滝のように流れ出て来るのである。その度に周りの大人たちが慌てふためき、私を取り囲んで必死に鼻血を止めようとした。時には顔を氷の塊で埋め尽くす事もあったが、それでも血は止まらず、鼻を詰めれば、その血は行き場を失い、喉の奥へと逆流し、それが固まって何度も窒息しそうになった。そんな事が年に数回あり、それが心臓と関係していたかは分からなかったが、私が心臓病だと知っていたのは父だけだった。

 「父ちゃん、これ貰って来た…」

 学校の健康診断の結果が書かれてある紙を父に渡した。

  ――心臓弁膜症の疑い有り、早急に専門医の診察を受ける事――。

 「うん…?」とその紙に眼を通したかと思うと、父はその通知書をゴミ箱に捨ててしまったのである。私の心臓病は約2年に渡り放置されたままになり、医者に掛かる事は殆どなかった。

 その夜もやはり突然に鼻から夥しい血を吹き出したのである。叔父や叔母たちの慌てる声が耳の奥で木霊していた。「俊樹、とし坊、どうしただ…」「母ちゃん、俊樹が大変だよ」。

 私の枕元は見る見る内に真っ赤な血の海と化して行った。これほど大量の流血を見た事がない祖母たちが慌てるのも当然だった。鼻はおろか、口からも血を吐き出し、もがき苦しんでいる子どもを眼の前にして、大の大人が4人も揃って成す術もなく狼狽えている。

 「持宗(小児科)さん呼んで来る…」そう言って祖母が外へと駆け出して行った。

 白衣を着た小児科医が私の血まみれの顔を見るなり言った。

 「私の手には負えない、直ぐ救急車呼んで…」

 「信さんにも連絡しないと…」

 祖母が心配そうに私の顔を覗き込みながら呟いた。父は以外にも救急車より先にやって来たが、既に顔は赤く眼付きさえも変わっていた。酒臭い息を吐きながら、「とし坊、どうした?」人前だから妙に優しく、にこやかな笑顔を見せている。

 喧嘩で散々血を見慣れているせいか、父は血だるまの息子の顔を見て驚きもしなかった。静まり返った深夜の道を切り裂くように、サイレンの音が響き渡る。「ウウー、ウウーー」。担架に乗せられ、車内へと運ばれる。両方の鼻には灰色のチリ紙がギュっと詰め込まれていた。

 私の直ぐ横に乗り込んで来た父は、息子の悲惨な様態を見ても酔から醒める事はなかった。車内が酒の匂いで充満して行く。酔っ払いと瀕死の子どもを乗せた救急車が、暗闇の国道へと音を響かせ消えて行った。

(更に続く…)。

 

青池

 今からおよそ850年ほど前の話しである。仁安(六条天皇の朝1165~)年間、旧西益津村(現在の藤枝市本町辺り)にある岡出山の麓に粉川長楽斎と言う郷士が住んでおり、弁天さまから天神さまにかけての地域を村の人々は長者屋敷と呼んでいた。

 長楽斎は、仏法に帰依して信仰が厚く困っている人には必ず手を差し伸べるほど心優しく憐れみ深かったため、村の人々は「仏心長楽」、「粉川長者」などと呼び敬っていた。

 長楽斎の妻は「秋野」と言い、伊勢の国神戸の住人神戸大蔵人某の娘で、婚礼の際には家来を三人連れて来て、以来藤枝に住まわせ、神戸(かんべ)と言う姓を名乗らせた。それがもととなり、藤枝の三神戸と言う家柄が出来た(私の実家がその内の一つ)。

 その後、夫婦の間に愛らしい女の子が産まれたので、長楽斎は「賀姫(いわひめ)」と名付け、大事に育てた。賀姫は成人するにつれて容姿も大変美しくなり、両親に仕えて孝心深かった。

 長楽斎は、岡出山の下に安置した薬師如来を信仰しており、娘もまた父に劣らぬ信仰家で、毎日、朝早く起きては、お参りをしていた。

 ところで、長者屋敷の裏山の東、約2キロ程の所に「真薦(マコモ)池」(現在の青池)と呼ばれる周囲約4キロ程の大きな池があった。この池には昔から大蛇(水龍)が棲み付いており、この大蛇が美しい賀姫に一目惚れし、ある日、美しい小姓の姿に化け、毎朝同じ時刻にお参りして、とうとう賀姫を虜にして池の底深く連れ込んでしまった。

 それを知った夫婦は怒り悲しんだ末に、石を焼いて炎にし、鉄を溶かして湯にし池の中に投げ入れた。その結果、さすがの大蛇もたまらず死んでしまったと言う。

 夫婦は、賀姫の菩提を弔うために、領地を割いて寺を建て、「長楽寺」と名付けた。弁天さまは、その薬師如来の斜め隣になっているが、可哀想な最後を遂げた賀姫のために、その場所を選んで建てたのだそうである。

 現在では押し寄せる宅地化の波により青池も小さくなってしまったが、今もなお、滾滾と湧き出る水を湛えつつ、ひっそりと散歩する人々に癒しと憩いの場を与えている。池のほとりには大蛇を祀ったとされる弁天堂があり、昭和40年代頃までは広がる水田の中に大蛇の跡の「蛇溝(じゃみじょ)」と呼ばれる水路や、溝が太くなった場所の「見返り淵」などが残っていた。

 

※私の藤枝の実家に伝わる物語の一つ。実家に不幸があると、三号瓶を持って青池の水を汲みに行き、仏前に供える仕来りがあるが、理由は分からない。神戸家の菩提寺である長楽寺には、粉川長楽斎婦人が使っていたと思われる髪飾が今も安置されている。

 

孤独


運の悪さはあたしの定め

夜につまずき恋をする

酔って飲み干すグラスの底に

あんたの嘘がこびり付く

 

あんたの温もりシャワーで溶かし

忘れたふりして夜を往く

重ねた身体に染み付いた

過去の重さが泣きを見る

 

夜を切り裂く孤独の影に

一人震えて夢を見りゃ

あんたの横顔遠ざかる

一夜限りの恋だった



 久しぶりにカバー曲の紹介。これまで、「夏休み」「紙飛行機」「あどけない君のしぐさ」「海岸通り」「バス通り」など吉田拓郎、井上陽水、イルカ、甲斐バンド等の曲で自分が最も得意とする楽曲を選んで紹介して来たが、今回の曲「リンゴ」もまた吉田拓郎の3rdアルバム「元気です」のB面に収録されている最も短い曲である。
 オリジナル曲の「夏の想い出」はもう暫くお時間を頂けると有難いです。必ず紹介させて頂きますのでよろしくお願い致します。
 さて、この「リンゴ」は、漫画家「上村一夫」の作品の中で『漫画アクション』において、1972年に80回に渡り連載された人気漫画の『同棲時代』をテレビドラマ化した際に挿入歌として使用されている。
 ドラマは「梶芽衣子」と「沢田研二」が共演し当時は最も人気のあった二人だけに、話題をさらった人気番組として記憶に残っている。映画化された際の主演は「由美かおる」「仲雅美」であった。
 このドラマの影響で、当時の若者たちの間で「同棲」が流行ったと記憶しているが、そう言う筆者も同棲経験があり、リンゴを聴くと当時のほろ苦い青春の1ページが時間を超えて鮮やかに蘇って来るが、私の同棲相手は先日紹介した息子「勇樹」の母親である…。
※動画がご覧になれない方はお使いのブラウザを「Google Chrome」等に変更して再度お試し下さるようお願い致します。

※ギター:神戸俊樹/三好清史
      ヴォーカル:神戸俊樹
       アレンジ:神戸俊樹

慕情


いっそこのまま 何処までも

流れ流され 夢の果て

交えぬ心が 泣き出しても

咲かせてみたい 浮世花

 

行く手遮る カモメの群れに

流れ呼び寄せ 祈ります

僅かばかりの 残り香に

あの方恋しや 神田川

 

手首辿って 傷付けて

恋の数だけ 流れ行く

心乱れて 夜の窓

一人漂う 神田川

 

叶わぬ想いと 知りつつも

流れに任せた 恋化粧

おぼろ月夜の 神田川

揺らり揺られて あの方へ


手錠

 
 注文したアメリカンが届き、テーブルに二つ並べられた。それに早速口を付ける父。カップを持つ手が小刻みに震えている。駅前で呑んだ日本酒の効果は既に切れているようだった。父の横に置いてある黒いバッグに眼をやると、とっての所に黄色い小さな札がある事に気付いた。その札には「
Air Line」と白く印刷されている文字があった。私は疑問に思い訊いてみた。

 「飛行機で帰って来たの?」

 「網走からの帰りだ」

 その言葉に私は耳を疑った。府中刑務所からの帰りだと知っていたので、父が何故そんな嘘を言うのか不思議であったが、妙にプライドの高い父は服役する刑務所にまで拘っていたのかも知れない。

 「高倉建じゃあるまいし、任侠映画の見過ぎなんだよ…」と言ってやりたかったが、口には出さず黙っていた。

 「ラーメン屋はどうなったの?うまく行ってたんじゃないの?」

 「いってたよ、最初はな、途中で板前が止めちまって…」

 コーヒーを啜りながら息子の質問に答える父の顔が少し厳しくなった。

 「新聞に載ってたの見たよ、人相が悪すぎたけど…」

 「なんだ、そうか…じゃあ知ってたんだな…」

 「うん、見た時は驚いたけどね…、どうせまた父ちゃんのせいじゃないんでしょ?」

 「まあな…、仕方なかったんだ…」

 父のお人好しは昔から有名で、それを知っている男たちが、父を何度も利用して来た過去があった。最初の服役は私が3歳の頃で、静岡刑務所だったと記憶しているが、その時の窃盗罪を父が仲間を庇うために罪を被ったか、それとも冤罪だったのか定かではなかったにしろ、無実の罪で服役を繰り返す父の本当の姿を知っている者は限られていた。

 信夫の前で勇次が涙を流しながら土下座していた。人の良い父を言葉巧みに利用する連中は多かったが、義理堅い勇次は父を裏切るような行為をする男ではなかった。

 「勇次…、いいから顔を上げろ、お前には腹の大きな嫁さんがいる」

 勇次を庇うように信夫が声を掛ける。俯いたまま顔を上げない勇次にしてみれば、父の顔をまともに見られる状態ではなかったのだろう。信夫の人情の深さに涙さえ浮かべて頭を下げる勇次の姿を一体誰が想像出来ただろうか。やり過ぎてしまった事への反省の念もあったのだろう。

 「仕事を手伝えないなら、金を出せ!」と金品を要求したのはまずかった。本心ではなかったにしろ、勢いに任せて口走ってしまった事への代償は大きかった。おそらくその場に信夫が居たとすれば、事は丸く収まっていたかも知れない。信夫の留守中に起こってしまった事だったので、気の短い勇次が勝手に暴走したのである。

 寺下勇次の実家は長楽寺の門前の直ぐ近くにあり、美容院を営んでいた。勇次の嫁である「美奈子」がその店を手伝っており、腕の良い美容師として人気があった。

 美奈子が懇願するように信夫に言った。

 「信夫さん、私、心配で心配で、夜もろくに眠れないんです。あの人、いつかとんでもない事をやらかすんじゃないかって…」

 勇次とは嫁の美奈子よりも付き合いが長かったので、時折、美奈子の相談相手にもなっていた。

 「美奈ちゃん、勇次の性格はあんたよりずっと分かっているつもりだ。美奈ちゃんを不幸にするような真似はさせないから安心しな…」

 肝心な自分の息子の事はほったらかしにして、よその家の事になると親身になって世話をする父…。絶えず不安を抱きながら眠る息子の事は二の次だったのである。

 「勇次、お前を前科者にする訳にはいかん、産まれて来る子の事をよく考えろ…」

 「兄貴、それとこれとは話しが別ですよ…」

 「今度の件は俺にも責任の一端はある。山崎を見つけたのは俺だしな」

 「まさかあいつがポリ公に訴えて出るとは思わなかったんで…」

 「まあいいさ、俺はもう務所暮らしは慣れっこだ。この先また前科が増えた所で気にもならん。勲章がまた一つ増えるってことさ…」

 信夫は笑いながら勇次に言った。信夫の両腕に食い込む銀色の手錠が鈍い光を放っている。二人の刑事に連行されて車に乗り込む信夫が言う。

 「美奈ちゃんを泣かせるんじゃないぞ…」

 信夫を乗せた車が遠ざかって行くのを、勇次は見送りながら頭を下げるのだった。
(続く・・・)

 

山口


教室であなたは

土屋に向かって

白いチョークを投げましたね

それが土屋の額に当たり

あなたは目を丸くして

驚いていました

当てようと思って投げた訳ではない

白いチョークが

ものの見事に当たってしまい

その後の苦笑いが

今でも忘れられません

青春ドラマを地で行くあなたは

かっこよかった

鍛えられた見事な肉体を白衣に包み

わたしたちは皆

あなたの健康体に憧れていました

なのにあなたは

わたしたちより先に逝ってしまった

白衣をなびかせ

天使のように

今でもあなたは

わたしたちに白いチョークを

投げていることでしょう

この広い空のどこかで

優しい苦笑いを浮かべながら

 

 

※天竜養護学校に在籍中お世話になった体育教師の山口先生が、自宅で首を吊って自殺をした。風の便りに先生の死を知った時、余りにも切なく胸が痛みました。弔いの意味も込めて書いた詩です。

 

通り魔

 今月3日、千葉県柏市で起こった「連続通り魔事件」は、容疑者と見られる男「竹井聖寿(24)」が逮捕された事で急展開をみせ、事件発生現場となった柏市の住宅街に安堵の色が広がり平穏な日常生活が戻りつつある。

 逮捕の決め手となったのは防犯カメラやDNA鑑定によるもので、コンビニや逃走ルートの割り出しで掴んだ場所などに設置された防犯ビデオ等を徹底解析し、その結果事件発生から2日後と言うスピード逮捕に繋がった。

 関東地方のベッドタウンとして人気の高い柏市、長閑な佇まいが広がる住宅地で、その事件は起こった。3日の深夜に差し掛かった時間帯、柏市あけぼのの路上で短時間の間に男性4人が刃物のようなもので立て続けに襲われ、その内2人が死傷すると言う凶悪犯罪が発生。

 柏警察署は「連続通り魔事件」と断定し、犯人検挙のため約7万枚にも及ぶ似顔絵を作成し、情報提供を住民らに呼び掛けた。

 容疑者として浮上した男は事件発生現場近くのマンションに住む24歳の青年で、その素顔にはまだ少年の面影を残すほどのあどけなさがあった。

 犯行の動機について、竹井容疑者からの供述で「金銭目的」「社会に不満があった」などが判明しており、事件の裏付け捜査も佳境に入っているものと思われるが、24歳の青年を狂気に走らせたその背景にある「社会への不満」とは一体何だったのか最も気になる部分であり、青年の犯行心理も含めてこの事件の全容解明が待たれる所でもある。

 今回のような青少年による凶悪犯罪が起こる度に思い出すのは、2008年6月に起きた「秋葉原通り魔事件」である。当時、私は「不安定狭心症」の為、秋葉原近くにある三井記念病院に緊急入院していた。CCUのベッド上で絶対安静だった私の耳に事件発生の情報など入る筈もなかったが、面会に来ていた家族からその事件の全容を知らされ、外は大変なパニック状態に陥っていると聞かされた。

 当病院にも被害者一人が救急車で運び込まれたが、残念ながら既に死亡していたと言う。秋葉原事件の容疑者もやはり25歳の青年であり、犯行動機や事件の背景なども今回の事件と酷似しているように思えるのである。

 勝ち組や負け組といった言葉が流行りだし、孤独感と社会的孤立に陥る若者たちが増幅し、就職活動も思うようにならず正規雇用とは程遠い「登録型派遣労働」と言う経済的にも不安定な環境を強いられ、精神的・経済的にも追い詰められて行くその過程で、人生の歯車が大きく狂いだし犯罪の道へと手を伸してしまうと言った「経済型社会不安」が少なからず事件の根底に根付いているような気がしてならない。

 それにしても閑静な住宅街でまさかこのような凶悪犯罪が発生するとは、誰もが想像しなかったのではないだろうか。普段、私たちは平穏な日常の中で日々の暮らしを営んでいるが、危険は常に隣合わせであると今回の事件は教えてくれているように思う。

 いつ何処で事件・事故に巻き込まれるか分からない複雑な人間模様と現代社会の中にあって、「自分の身は自分で守る」この言葉を心の片隅に忘れず忍ばせておきたいものである。

雪の精


あたし 哀しい 雪の精
吹雪く 夜空を 舞い踊る
凍える あなたに 降り注ぎ
氷河の想い 恋吹雪

白いブーケは 契の証
溶けぬ心は 雪の晶
失せる事なく 燿き続け
あなたの空で 雪になる

あたし やっぱり 雪の精
諦めきれぬ 想いの果てに
吹雪く心は 北から届き
オーロラ奏でる 恋の精