始まったワクチン争奪戦。 | プールサイドの人魚姫

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うつ病回復のきっかけとなった詩集出版、うつ病、不登校、いじめ、引きこもり、虐待などを経験した著者が
迷える人達に心のメッセージを贈る、言葉のかけらを拾い集めてください。


プールサイドの人魚姫-口蹄疫

「総理・・・、九州方面で感染が確認されたようです」

「感染?何の感染?インフルエンザはもう終わっただろう・・・」

「いえ、総理、どうも家畜のようなんですが・・・」

「家畜?鳥インフルか・・・」

「いえ、それがどうも口蹄疫のようでして・・・」

「口てい疫??聞いたことないねぇ、新種か」

「まあいい、専門家に任せておいてくれ、わたしは普天間で手一杯だ」

「何か問題が発生したら赤松君に回してくれ」

こんなやり取りが首相官邸であったかどうかは別にして、ウイルスの強襲を受けた宮崎県の畜産農家から悲鳴が届く。

家畜伝染病に指定されている口蹄疫(こうていえき)だが、専門家や業者でなければこの名前を知っている人は非常に限られると思う。

わたし自身も今回のニュースで初めて耳にしたのだが、家畜を生業とする人たちにとっては致命的な伝染病のようだ。

口蹄疫に罹患した牛や豚は発見されしだい殺処分されるという。

この病気の特徴は非常に伝播力が強く、幼獣にいたっては高致死率という、おそろしいほどの破壊力を持つウイルスである。

問題が起こる度にその対応が遅いなどと批判を受けるが、政党が変わってもその対応振りは変わらなかった。

これは役人や政治家全体に広がる危機管理意識の低下や欠如であって、責任の所在云々以前の根本的問題だからなお更始末が悪い。

口蹄疫に最も有効だと言われる消毒剤「ビルコン」であるが、本数が大幅に不足しているため、ワクチンとビルコンの確保に翻弄されていて、実際に防疫が完了するには随分先の話になりそうだ。

口蹄疫に関するニュースはこれまであまり話題に登っていなかったが、感染がここまで拡大してしまうと、さすがに沈黙と言う訳にはいかなくなる。

先日、ニュースに登場していた東国原知事の引きつった表情が、混乱と暗雲垂れ込む宮崎の現状をよく映し出していたと思う。

報道の垂れ流しも困るが、抑制することもある意味では必要かもしれない。

被害が日本全国に及ぶような事になれば、わたしたちの食生活も大きく変化する事は避けられない。

黒マグロだけでなく、牛や豚肉まで簡単に食べられなくなる時代がやって来るとしたら・・・。

免疫力が低下しているのは人間だけではなかったという事でしょう。