よく晴れた
爽やかな朝である
陽当たりのよい場所を求めて
男は寝床から痩せた身体を起こした
陽当たりのよい場所を見つけて
男は満足気な表情を浮かべている
幸福だと思っているのだろうか
下界とは随分遠く離れて
今はすっかり
寝たきりの生活にも慣れていた
それでもこうして
時折陽向ぼっこを楽しむ彼にも
やはり隠せない寂しさがあった
もう長くはない
自分の生命を知ってか
失った妻や子供の事を想ってか
自分の人生を振り返りながら
今年四十二回目の秋も終わりに近い
ある晴れた朝だった