駆け抜ける美学、ディープインパクト。 | プールサイドの人魚姫
世界のライバル達を相手に走ったフランスの凱旋門賞では、惜しくも3着に終わったがこれは謂わばオリンピックで言えば銅メダル、堂々のメダル獲得である。実に立派なそして大いなるレースであった。名馬とは只早いだけではそうそうなれるものではない。風に美しく靡くたてがみを持ち、気品ある毛並みに覆われ、ゴールを目指す黒い瞳は鋭さと安らぎを兼ね備えていなければならない。みなぎる躍動感は大地を揺るがし、ひずめは烈火の如く地面を蹴り上げる。そしてもちろん名馬には名騎手が必要。武豊をおいて彼の右に出る者はいないであろう。馬と心通わせ一体となった時、風神も驚く走りが誕生するのである。走る美学を教えてくれた名馬ディープインパクトに心から感謝する。ところで、私は特に競馬が好きだと言うわけではない。競走馬についても詳しくはない。過去に3回だけレースを見た事があるだけだ。大井町に住んでいたから、当然ながら大井競馬場が直ぐ近くにあった。友人の母親が馬券売り場で働いていた。そして府中競馬、1度行った事がある。短くなった赤鉛筆とくしゃくしゃの競馬新聞を凝視するおじさん達ばかりが、日焼けした真っ黒な顔で真剣に次のレースをなんとか自分の物にしようと必死で首を捻りながら馬券を買う。男達の夢をぶら下げて、いよいよレースが始まる。数分後にはため息とちぎれた馬券が宙を舞う。帰りは相乗りタクシーで定員オーバーの車が、外れたレースの余韻だけ残して走り去っていった。

