バーボン・ストリート・ブルース | Something Blue ~きっといいこと

Something Blue ~きっといいこと

皆にデクノボーと呼ばれ 誉められもせず苦にもされず そういう者に私はなりたい。

我が人生の師、高田渡氏の自叙伝。


とにかく面白い人だ。

いつも酔っ払って、飄々としていて呟くように歌う。それがまた、誰も真似が出来ない味がある。



しかし、本当は反骨精神の塊の様な人である。

がそれを決して表に出さない。
それは幼い頃に見てきた風景にあるのだろう。
「高石友也や岡林信康のように正面切って自分の主張をぶつけるのもたしかにひとつの方法ではある。しかし僕は、自分の日常生活をそのまま歌うのが最高のプロテストソングではないかと思ったのだ。
そう思った根底にあるのは、やはり深川時代(筆者注:高田渡さんが少年時代に貧困生活を過ごした場所)に見てきた労働者の人たちは、どんなに虐げられようとも絶対に音を上げなかった。だが、なにも言わずに日々一生懸命生きている人たちにこそ、積もりに積もった声なき叫びがある」

"日常生活をそのまま歌うことが最高のプロテストソング"
それが彼の真骨頂なのだ。

それから奥さんとの会話が面白い。
「ちょっとタバコ買いに行って来ます。」と言って家を出たが、途中で飲み友達と出会い、散々飲み歩き、帰って来たのが一週間後。
「ただいま。」
「タバコ買って来たの?」
「あっ忘れた。買って来ます。」
奥さん最高!

レコードがCDに変わってから、出来上がったアルバムがCDとして家に送られて来た。
しかしCDプレーヤーを持っていなかったので
「あれ、こんなものが送られてきたよ。」
「あらぁ、きれいな。キラキラ光っててるわ。」
奥さんと二人こんな会話を交わしていたそうだ。

国が認めない人間国宝、高田渡。
一度でいいから氏の生歌を聴きたかった。





友だち追加