野球少女(ネタバレ) | 三角絞めでつかまえて2

野球少女(ネタバレ)

野球少女

 

原題:야구소녀 Baseball Girl
2019/韓国 上映時間105分

監督・脚本:チェ・ユンテ

撮影:ハン・スンヨン

編集:チョ・ユンテ

音楽:ロコモーティブ、チョン・チハン

美術:パク・ジンア

音響効果:パク・チェヒョン、イム・ヒョンギュ

日本語字幕:根本理恵

出演:イ・ジュヨン、イ・ジュニョク、ヨム・ヘラン、ソン・ヨンギュ、クァク・ドンヨン、チュ・ヘウン

パンフレット:★★★☆(880円/室井昌也さんによる『韓国野球ガイド』が超勉強になりました。写真と文章のレイアウトも好き)

(あらすじ)
豪速球とボールの回転力が強みの女子高生チュ・スイン(イ・ジュヨン)は、高校卒業後はプロ野球選手の道へ進むべく練習に励んでいた。しかし女性というだけで正当な評価をされず、プロテストすら受けられない。さらに、友人や家族からも反対されてしまう。そんな折、プロ野球選手の夢に破れた新人コーチのチェ・ジンテ(イ・ジュニョク)が赴任してきたことで、彼女の運命は大きく動き出す。(以上、映画.comより)


予告編はこんな感じ↓

 

 


99点

 

 

※今回の記事は、「マトリックス」「マイティ・ソー バトルロイヤル」のネタバレに触れているので、気をつけて!

※本作の野球描写については、そーす太郎さんのブログが実に面白いので、ぜひ読んでみて!

 

愛聴しているラジオ番組「アフター6ジャンクション(a.k.a.アトロク)」宇垣美里さんが絶賛されていたので、一応は前売り券を購入したものの、溜まっている前売り券購入済み映画が多いのもあって、「別にすぐ見なくてもいいかな (゚⊿゚)」と思っていたんですよ。ただ、「アトロク」の週刊映画時評コーナー「ムービーウォッチメン」の今週の課題映画になってしまったので、3月8日(月)、徹夜明けで「シン・エヴァンゲリオン劇場版:||」を観る→仕事に行く→ユナイテッド・シネマとしまえんで鑑賞いたしました。オレのやる気が噴出したッ!Σ(°д° ) クワッ!

 

 

前売り特典は「オリジナルクリアファイル」でした。

 

7番スクリーン、観客は僕を合わせて9人…という野球感 (゚⊿゚) ナンダソリャ

 

 

まず、お話をスゲー雑に書いておきますと。最高球速134kmの球を投げて天才野球少女と呼ばれてきたスイン(イ・ジュヨン)はプロ野球選手になることを目標にしているんですが、しかし。母(ヨム・ヘラン)は「いつまでも夢見てないで就職しろ!川`Δ´) アキラメナ!」と無理解だし、新任の野球部コーチのジンテ(イ・ジュニク)も「130キロ程度の球しか投げられないのにプロになれるか!( ゚д゚) アキラメロ!」とイジメモードに突入ですよ。でも、それでも諦めずに日々努力を重ねるスインに胸を打たれて今までの自分を海より深く猛省したジンテは「速球にこだわるのではなく、回転数を活かせ!m9`Д´) ビシッ」ナックル星人ナックルボールの習得をアドバイスするのです。

 

その後、紆余曲折あってようやくトライアウトに挑戦できることになって。「おもしれー女 ( ̄ー ̄) ニヤッ」と感じた監督の計らいにより、プロ選手を相手に「舐めてた女子高生、実はナックルボーラー」振りを発揮する様子を目の当たりにすると、母親も海より深く猛省しましてね…。さらに、トライアウト後、球団幹部はスインに対して「広報として就職しませんか?」なんてオファーをするも、彼女から「女性か男性かは長所でも短所でもない」「私は優秀な投手!(`・ω・´し キリッ!」といった風にキッパリと断られると、海より深く猛省して6千万ウォンのプロ契約を提示。「諦めない心」で夢の入口に立ったスインはスクリーンの方を向くことで、そのバトンを観客に手渡すのでしたーー。

 

 

スインを演じたイ・ジュヨン、凜とした雰囲気が最高でしたな。

 

彼女を見た瞬間の気持ちを代弁する愚地独歩を貼っておきますね(「グラップラー刃牙」第24巻り)。

 

 

いや〜、素晴らしかった!ヽ(`Д´)ノ ウォォォッ! もうね、本作の主人公の名言「私の未来は誰にもわからない。私でさえもーー」を聞いてスゲー連想したのが、ライムスターのフィーチャリング曲の中でも超好きなleccaさんの名曲「Sky is the Limit feat. RHYMESTER」ですよ↓


 

川 ゚д゚)

君ならこれくらいでしょう、って

決めつけてくれる先生

 

 

「Sky is the Limit feat. RHYMESTER」、超良い歌だから聴いてみてッ!

 

 

 

本作は野球を題材にしながら、いわゆる「ガラスの天井」問題を描いていて。主人公スインの「諦めない姿勢」が本当に素晴らしいワケですが、同時に「諦めたことでコーチとして才能を発揮するジンテ」とか「諦めなさすぎてダメになった父親」とかも描くことで、単に「諦めないから素敵」という単純な話にはしてなくて。別にプロ選手として通用する云々以前として、「他のヤツにさせんな線引き!(▼Δ▼) ウタマル」というか、要は頭からバカにするのではなく、せめて戦うチャンスぐらいは平等にくれよって話なんですよね(「東京医大・入試女子差別問題」とか思い出しました)。で、スインが道を切り開いたことで、高校の野球部には入部を希望する女子が現れて、友人バングル(チュ・ヘウン)もギターを手にするなど、やる気パルスが共振していくあたりの描き方も良くて。この男性優位社会のメリットを存分に享受している僕的にはジェンダーバランスってなんだよ!(`∀´) シルカ!」ってな調子で生きてきましたけど(汗)、マイノリティの進出は同じ立場の人に勇気を与えるものなんだろうな…なんてことを考えさせられたりした次第(これ自体は男女ともに言えることですがー)。

 

 

一応、「やる気パルス」のシーンを貼っておきますね(「逆境ナイン」第4巻より)。
三角絞めでつかまえて-やる気パルス!

 

 

つーか、本作は本当に僕が好きな要素が目白押しでして。「舐めてた女子高生、実はナックルボーラー」振りが存分に堪能できる上に、特訓描写も美味だし(負け犬気分だったコーチとの「二人三脚での復活展開」も良し! 彼女を助けることで彼もまた救われるんですよね…)、スインのことが気になっている同じ野球部のイ・ジョンホ(クァク・ドンヨン)と安易な恋愛関係にならないのも好みだし(「折れない心」を尊敬する同志的な描き方!)、「特訓で階段を登ってから、頂上でガッツポーズ!」という「ロッキー」オマージュも大好物だったんですけれども。何よりも「メンター的立場の人が疑問を呈しながらヒントを与える描写」を愛する僕的には、イ・ジュニョク演じるジンテがスインに対して「お前の長所は?( ゚д゚)」尋ねながらも導くシーンが超ツボでしたねぇ…(しみじみ)。

 

 

例え「マトリックス」のモーフィアスがこんなことを言うと…。

 

素直なネオったらすぐ学んで超強くなるから愛してる。

 

さらに「マイティ・ソー バトルロイヤル」ではオーディンからこんなことを言われたソーが…。

 

ああん、雷神として覚醒ッ! このシーンで流れる「移民の歌」は100点だッ!ヘ(゚∀゚*)ノ ヤッタァ!

 

 

その他、思ったことを書いておくと「『自分が夢に破れた経験則を勝手に他者に押し付けてしまう』という人間心理を描いてて良かった」とか「韓国では『キムチー』って言わせて写真を撮るんだ…」とか「スインがコーチの『長所論』を自分の言葉として球団幹部に話す→互いに良い影響を与え合っている感があってグッときた」とか「パンフで室井昌也さんが書かれていた韓国の野球部&プロ野球事情が超面白かった!(基本、部活動はプロを目指す選手が入るとのこと)」とかとかとか。まぁ、すっかりべた褒めながらも、少しだけ乗れない部分がありまして。

 

僕は野球に全然詳しくないので野球描写的な不満はゼロなんですけど(「あそこまで野球にのめり込んでいる人なら、速球へのこだわりは早々に捨てるのでは」とは思いましたが)、ヨム・ヘラン演じるお母さんが悪者に描かれすぎというか。彼女はお金がない故に追いつめられていたワケじゃないですか。確かに娘に対する理解はなかったけどさ、父親がいつまでも資格試験にこだわったせいで家計が苦しい状況になっていたにも関わらず「当然信じてる。世界一大事な娘だから (´∀`) スキヨ」的な部分だけで善人扱いされる割に、母親の方はフォローが少なめだった印象。あと、母親の「何のために人生を諦めたと?川 ゚д゚)」という台詞がありましたが、家庭を持つことに満足する人生だってあるのだから、例え「売り言葉に買い言葉」だったとしても、その部分は好きになれなかったかなぁ (・ε・) ウーン

 

 

お母さん役のヨム・ヘラン、非常に良かったです。

 

 

そんなワケで、ちょっと不満も書きましたが、鑑賞後に思わず「今年ベストッ!m9`Д´) ビシッ」とツイートするほど良かったというか、ぜひ多くの人に観ていただけたらなぁと(ただ、そーす太郎さんのブログを読むと、野球が好きな人は結構厳しいかもしれませぬ)。もうね、頑張るスインの姿を見て、僕もやる気が噴出したというか。自分から「できない」とは言わなかった彼女のように、家庭も仕事もブログも筋トレも確定申告も諦めずに頑張ろう…と思いきや。やっぱりやることが多すぎて、どれも中途半端になっているのでした。できない、できない、できない、できない… (ノω・、) ナニコノオチ...

 

 

 

 

「女性がプロ野球に…」ということで連想する水島新司先生の漫画原作ムービー。未見です。

 

 

「ファイティン!」の台詞で思いだした韓国産卓球ムービー。僕の感想はこんな感じ。

 

 

結局、一番好きな野球映画はこれかな…。

 

 

女性の野球映画。マドンナが出てたぐらいのことしか覚えてないです。

 

 

連想した曲。宇多丸師匠がラップを始める前の唸り声(?)が好き。