STAND BY ME ドラえもん2(ネタバレ) | 三角絞めでつかまえて2

STAND BY ME ドラえもん2(ネタバレ)

 

※今回の記事は、本作や「ドラえもん」というコンテンツが好きな方は高確率で不快になる怖れがあるので、読まない方が良いです。
 
 
 
 
 
 

STAND BY ME ドラえもん2

 


2020/日本 上映時間96分
監督:八木竜一
共同監督・脚本:山崎貴
原作:藤子・F・不二雄
音楽:佐藤直紀
主題歌:菅田将暉
主題歌(作詞・作曲): 石崎ひゅーい
制作:シンエイ動画、白組、ROBOT

声の出演:水田わさび、大原めぐみ、かかずゆみ、木村昴、関智一、宮本信子、妻夫木聡、バカリズム、羽鳥慎一

パンフレット:★★★(880円/場面カットをふんだんに使って、ストーリーを追体験できる作り 。自分にハマる映画だったら、そんなに悪くないと思う。時系列解説も良し)

(あらすじ)
ある日、優しかったおばあちゃんとの思い出のつまった古いクマのぬいぐるみを見つけたのび太は、おばあちゃんに会いたいと思い立ち、ドラえもんの反対を押し切りタイムマシンで過去へ向かう。未来から突然やってきたのび太を信じて受け入れてくれたおばあちゃんの「あんたのお嫁さんをひと目見たくなっちゃった」という一言で、のび太はおばあちゃんに未来の結婚式を見せようと決意する。しかし、未来の結婚式当日、新郎のび太はしずかの前から逃げ出してしまい……。(以上、映画.comより)


予告編はこんな感じ↓

 

 


2点


僕的に前作が超不快な映画だったので続編が作られると聞いただけでイラッとしたし絶対観ないつもりでしたけれども。愛聴しているラジオ番組「アフター6ジャンクション」の週刊映画時評コーナー「ムービーウォッチメン」の課題映画になったので、「マジかよ… (`Δ´;)」と思いながら、12月6日(日)、TOHOシネマズ新宿「きみの瞳が問いかけている」を観てから、新宿ピカデリーでハシゴしてきました。スゲー気持ち悪かったです ('A`)

 

 

5番スクリーン、8割の入り。コロナ禍にしては観客多めなのか、日曜にしては少ないのか…。

 
 
最初にあらすじをザッと書いておきますと。のび太がタイムマシンでおばあちゃんに会いに行ったら、「のびちゃんのお嫁さんが見たいねぇ (´ω`*し」なんてことを言い出したので、確定しているハズの「未来の結婚式」を見せてあげようかと思いきや、式場にのび太が来てないことが発覚。仕方なくタイムふろしきで“大人のび太”になりすまして結婚式に出たりしつつ、捜索した結果、“大人のび太”は「しずかちゃんを幸せにする自信がない」と不安になって逃げ出したことが発覚しましてね。で、気晴らしに入れかえロープで少年時代を体験させてやっていたら、いきなり1時間過ぎると元に戻れなくなる」という欠陥が発覚して、あーだこーだと大騒ぎになるも、「あきらめるな! ( ゚д゚)」でボンヤリ解決。一連のドタバタでなんとなく成長した“大人のび太”は、自分本位なスピーチを披露して、入れ替わりを見抜いていた源静香や、孫の晴れ姿が見られたおばあちゃんは満足げ。ドラえもんが片付け忘れていたワスレンボーのせいで、“子どものび太”が結婚式のために奮闘した記憶はなくなってしまったけど、めでたしめでたしなのでした。
 
 
最後に流れる菅田将暉さんによる主題歌「虹」を貼っておきますね↓

 

 

 

先ほども書きましたが、まず前作が2014年のワースト第2位に選ぶほど嫌いなので、(予告編を観る限りは)僕が嫌だった部分を増幅したような続編を観るつもりはなかったんですよ(だから「観たい映画の覚え書き」にも載せてない)。ただ、「ムービーウォッチメン」の課題映画は絶対観る主義だし、意外と悪くないじゃん的に思う可能性だってあるじゃない。そんなふうに考えていた時期が僕にもありました。いや、もちろんそういうことはあるんだけど(例えば今年公開の「劇場版 SHIROBAKO」はあまり興味なかったけど、観て良かった)、今作に関しては嫌な予感がズバリ的中した感じ。正直、今年は現時点で190本弱の新作映画を劇場鑑賞してますけど、ぶっちぎりのワーストになりました。

 
一応、褒めるところを書いておきますと、CGアニメ的には頑張ってたんじゃないでしょうか。前作で不快だった「舌」が目立たなくなっていた分、のび太たちが大口を開けても歯が見えない(でも食いしばる時は生えてくる)のが気持ち悪かったりはしたんですが、ドラえもんの鈴に周囲の風景が映ったりと細部まで作られていたし、タケコプターで飛んだりとかバイクで爆走したりといったアクション的な演出自体は悪くなかった気がしないでもないし。あと、原作のエピソードや道具を抽出して話を構成したり(「おばあちゃんのおもいで」「ぼくの生まれた日」「45年後…」)、「星野すみれディナーショー」とか「お札の顔が手塚治虫」とか「イラストがクリスチーネ剛田」とか「ヨドバ氏を意識したナカメグロ」といった“ファンへの目配せ要素”もそれ自体は悪くないというか。製作者たちなりに「ドラえもん」や藤子・F・不二雄作品を愛してるんだな…とは思いましたよ。エンドクレジットで「後日談」を描いているのも良かったです。
 
とはいえ、話が超不快。「今どき結婚を“人生のゴール”的に扱う」といったあたりは、関わっている人たちが60年代生まれ以上というあたりで目をつむるとしても、大人のび太が幼稚すぎる(以下、大人のびた=クズ男)。そりゃあ「1話完結系SFギャグ漫画」が原作の映画に現実感を求めても仕方ないのかもしれませんが、「大人も感動する」的な宣伝をしといて、このレベルの描写しちゃうのかよと。まず、結婚式を舐めてる。至極当たり前の文章を今さら書きますが、「結婚式」って奥さんがお膳立てしてくれるものじゃなくて、「夫婦で乗り越える最初のイベント」的な位置付けであり、ある意味、その時点でケンカしたりとか摺り合わせしたりとかいろいろ話し合ったりするワケですよ。もう序盤の時点で、このクズ男がすべて妻任せだったのがビンビン伝わってきて、観るのがしんどくなりました。
 
つーか、式をほったらかして逃避するなんてあり得ないし、後でタイムマシンで戻るつもりだったにしてもその言いぐさが自分中心すぎて酷い…というのは百歩譲りますよ。いや、僕も「奥さん、僕なんかでいいのかな… (´・ω・`)」と不安になることはありますもの、今だって。ただ、このクズ男、過去に戻ったら、結婚式の問題は棚に上げて、子どもの頃の自分と体を入れ替えて遊び始めるから、「狂ってる!Σ(°д°;) ヒィッ!」と。中学生との絡みも「のび太がダメ人間だから」というよりは「この人…頭がおかしいのかな…」と不安になる描き方であり、ごめんなさい、ずっと「死ねばいいのに…死ねばいいのに…」って思いながら観てましたよ。
 
 
鑑賞中のクズ男に対する僕の気持ちを代弁する烈海王を貼っておきますね(新装版「バキ」第15巻より)。
 
 
次に、このクズ男をみんなで甘やかす世界観が気持ち悪い。しずかちゃん、大切な結婚式に出たのが“子どものび太”だったことを見抜いていても「よくできました (´∀`=し ンモウ!」で済ませるあたり、菩薩のように優しい…と思うよりは「“こういうクズが好きな人”なんだな… (´Д`;)」「だめんず・うぉ~か~」を読んでいる気分に(って、前作の感想でも同じことを描いてましたな…)。なんかさ、「のび太さんはそのままでいいの」とか言っててさぁ…。もちろん「人間、無理をしないことが大事」ってのはありますが、本作のクズ男は1ミリも良いところが見えないから(「中学生に立ち向かったこと」だって自分が撒いた種だし、そもそも中身が大人だから全然乗れない)、「いや、お前はそのままじゃダメだろ」としか思えないし、僕が親だったら間違いなく結婚に反対したくなると思ったり(まぁ、親が子どもの結婚に口出しする権利はないと思いますが)。
 

なんとなく、前に作ったコラを貼っておきますね(「のびたの結婚前夜」より)。
お父さんの話
 

 

ドリー尾崎さんによる「フィギュア王№274」のインタビューによると、監督たちは「バック・トゥ・ザ・フューチャー」「バック・トゥ・ザ・フューチャーPART2」を意識したそうですが…。なんて言うんですかね、そもそも本作って、「子ども向けSFギャグ漫画」をベースにした映画じゃないですか。いくらサスペンスフルにしようとも、すぐに「別の道具を使えばいいじゃん」と思って盛り上がれなくないですかね(なんでもあるんだし)。例えば、終盤に繰り広げられる「入れかえロープの取って付けたハラハラ展開」とか、その前にタイムふろしきで“子どものび太”が大人になっているシーンがあっただけに「そっち使えばいいじゃん(自分の体なんだし)」としか思えなかったですよ(しかも「あきらめるな!」で解決ってさぁ…)。それと、のび太がワスレンボーで記憶を失うラスト、見事な伏線回収というよりは話のつじつま合わせのために記憶を弄んだって感じあって。エンドクレジットで、菅田将暉さんが「泣いていいんだよ」って歌ってましたけど、その酷さに涙が出そうになったというね。

 

 
エンドクレジットに入った瞬間の気持ちを代弁する天内悠を貼っておきますね「グラップラー刃牙」第24巻より)。
 
 
なんかさ、感動的な味付けにも無理があるというか。大体、大人目線で観ちゃうと「のび太が0点を取り続ける」のは親に責任があるし、名付けられた理由なんて小学生のころに直接聞くだろうし(親だって教えるでしょうよ)、究極的には「こいつらって、自分たちだけ特別な力を使って、未来を変えてるんだよな」という根本的な設定がノイズになって、こんな話で感動しろって言われてもバカバカしくなる…ってのは乱暴でしょうか。例えば、今年観た「映画 ひつじのショーン UFOフィーバー!」とか別に押しつけがましい演出とかなく、面白いシーンばかりなのに、最終的には感動させられたんですよ。だから今回の「ドラえもん」もSFギャグ漫画として面白い上に感動させられるような、そんなバランスの映画が観たかった…ってのは無理な話なんでしょうな。まぁ、ハッキリ言って、「時間を無駄にした」と強く思った次第。
 

 

本作を観た僕の気持ちを代弁する範馬勇次郎を貼っておきますね「グラップラー刃牙」第14巻より)

 

 

その他、思ったことを書いておくと「今の子どもたちって“レトロな昭和”を見せられて楽しいのかな?」とか「原作での『およめさんの顔がみたくなっちゃったよ』ってのはオチだから面白かったけど、その部分を広げられると少し居心地が悪いし、『のびちゃんの弟はまだなのかねぇ… (´ω`*し』とかプレッシャーをかけるシーンを勝手に妄想して『82年生まれ、野比玉子』」とか「パンフや雑誌やネットでインタビューを読む限り、本作の監督2人はちゃんと仕事ができる人だと思うので(特に山崎貴監督は「アルキメデスの大戦」を観て以来、好感は抱いてる)、なんか…働くって大変なんだろうな… (´・ω・`)」とかとかとか。気になっている人は観れば良いと思うけど、僕は1ミリもオススメしません。おしまい。

 

 

 

 
前作。僕の感想はこんな感じ。
 

サントラ。好きな人は買えばいいんじゃないかな。「虹」は入ってないです。

 

 

小説版。これはこれで面白いのかもしれないけど、さすがに読む気ゼロです。

 

 

映画に合わせたTV版のエピソードを集めたDVD。たぶん映画よりこっちの方が面白いと思う、マジで。

 

 
昨年観た同監督タッグによるアニメ映画。僕の感想はこんな感じ。

 

山崎貴監督への好感度がグッと上がった戦争映画。僕の感想はこんな感じ。

 

 

当ブログでは、むしろドルフ・ラングレンで泣く=ドル泣きを提唱したい。僕の感想はこんな感じ。