ドラゴンクエスト ユア・ストーリー(ネタバレ) | 三角絞めでつかまえて2

ドラゴンクエスト ユア・ストーリー(ネタバレ)

ドラゴンクエスト ユア・ストーリー



2019/日本 上映時間103分
総監督・脚本:山崎貴
監督:八木竜一、花房真
原作・監修:堀井雄二
共同製作:畠中達郎、松田洋祐、谷和男、島村達雄、石川豊、加太孝明、阿部秀司、森田圭、中西一雄、安部順一、舛田淳、田中祐介、坪内弘樹、昆野俊行、赤座弘一、大鹿紳、小櫻顕、毛利元夫
エグゼクティブプロデューサー:阿部秀司、臼井央、伊藤響
プロデューサー:藤村直人、依田謙一、守屋圭一郎、渋谷紀世子、川島啓太
全体監修:市村龍太郎
画コンテ:八木竜一
アートディレクター:花房真
CGスーパーバイザー:鈴木健之
音響監督・サウンドデザイン:百瀬慶一
リレコーディングミキサー:佐藤忠治
編集:八木竜一
音楽:すぎやまこういち
声の出演:佐藤健、有村架純、波瑠、坂口健太郎、山田孝之、ケンドーコバヤシ、安田顕、古田新太、松尾スズキ、山寺宏一、井浦新、賀来千香子、吉田鋼太郎
パンフレット:★★★(800円/世界観を大事にした感じのパンフ)
(あらすじ)
少年リュカはゲマ率いる魔物たちに連れ去られた母マーサを取り戻すため、父パパスと旅を続けていた。しかし、道中での魔物たちとの激闘により、パパスはリュカの目の前で非業の死を遂げてしまう。それから10年後、故郷に戻ったリュカは「天空のつるぎと勇者を探し出せば、母を救うことができる」と書かれた父の日記を発見。パパスの遺志を受け継ぎ、冒険へと旅立つ。(以上、映画.comより)

予告編はこんな感じ↓




50点


※今回の記事は、「LEGO(R) ムービー」「レディ・プレイヤー1」のネタバレに触れているので、できれば両作品とも観てから読んで!
※今回の記事は、映画とは関係ないどうでも良い駄文が垂れ流されているので、そういうのが苦手な人は読まない方が良いです。


毎月アップしている「観たい映画の覚え書き」で本作に「△」を付けたのは、それなりの「話題作」だったからであり、本当のところはあまり観る気はなかったんですけれども。愛聴しているラジオ番組「ライムスター宇多丸とマイゲーム・マイライフ」を聴いたり、劇場で本作の予告編を観たりしていたら、元ネタのゲーム「ドラゴンクエストV 天空の花嫁」がスゲーやりたくなって、つい買っちゃってね…(遠い目)。で、睡眠時間を削りながら日々プレイしていたんですが、あの有名な「フローラとビアンカのどちらと結婚する?」という選択に直面してみれば、まったく選べなくて。現実逃避として、カジノに入り浸ったり、海でレベル上げをしたりと、数日間、無駄な時間を過ごしてみた…という経緯はこちらの記事に書いてみますた (・∀・) ミマスタ


ちくしょう、これほどまでに僕を悩ませるとはな… (`Δ´;) ヌゥ



そんな時、ちょうど愛聴しているラジオ番組「アフター6ジャンクション」の週刊映画時評コーナー「ムービーウォッチメン」の課題作品に山崎貴監督作「アルキメデスの大戦」が選ばれましてね。この「ドラゴンクエスト ユア・ストーリー」もまた「総監督」という立場で山崎貴監督がかかわっている作品だし、「天空の花嫁」を原作とした本作を観ることで「結婚を決断するヒント」を得られるのではないかと思って、急遽観ることに決定。8月5日(月)、仕事帰りにTOHOシネマズ日比谷にて、auマンデイを利用して観てきました(その後、「アルキメデスの大戦」をハシゴ)。「僕はフローラが好きだ!Σ(°д° ) クワッ」と気付かされましたよ。


11番スクリーン、7割ぐらい入ってたような。



結婚前までしかゲームをやっていない立場で、本作のあらすじを雑に書いておくと、主人公リュカの誕生から幼少期の冒険あたりをゲーム画面風にササッと流してスタート。父親のパパスがゲマに殺されて、ヘンリー王子と奴隷として10年過ごしてから脱出して、サンタローズの実家に帰ってきまして。魔物にさらわれた母親マーサを探す&勇者にしか使えない「天空の剣」を入手するため冒険の旅に出ると、スライムのスラりんやらキラーパンサーのゲレゲレやらが仲間になったり、いろいろと経験を積んだりしましてね。サラボナの町に着いてみれば「街を荒らす怪物ブオーンを倒した者は天空の剣をもらえる&フローラと結婚できる」なんて状況だったので、ルイーダの酒場にいた幼なじみビアンカと協力して見事にブオーンを退治して、天空の剣をゲットだぜ!ヘ(゚∀゚*)ノ ヤッタゼ!

で、フローラが身を引いたのもあって、ビアンカと結婚すると、息子アルスが生まれまして。親子3人で暮らしていたら、大魔王ミルドラースを召喚しようとするゲマ一派に襲われて、リュカとビアンカは石化させられたんですが…。8年後、アルスが魔法の杖をゲットしてリュカの石化を解除し、さらには息子こそが「伝説の勇者」だったことが判明。ゲマに囚われたビアンカと母親マーサを救うため、マスタードラゴンの力を借りて、あーだこーだって敵の本拠地エビルマウンテンに乗り込むと、ビアンカの石化を解除しまして。さらにヘンリー王子 with 軍隊やブオーンも協力してくれて、憎きゲマを倒した…と思いきや! 死んだマーサの能力を取り込んだゲマが自らの命と引き替えに魔界の門を開いてしまって、大魔王ミルドラースがやってきたんですが、問題なのはここからじゃ(突然、創作物にありがちな老人口調で)。


なんとなく徳川光成を貼っておきますね(「バキ」より)。



リュカの目の前に現れた大魔王ミルドラースはコンピュータ・ウイルスでしてね。実は今まで観客が見せられていたのは最新のVRゲームであり、スーパーファミコン時代に「天空の花嫁」にハマった主人公(今はすっかり大人)がプレイしていたんですが(プレイ中は普段の記憶がなくなって、ゲーム内に没頭できる仕様)、このウイルスを作った人はゲームが大嫌いらしく、ミルドラースったら「大人になれ (`∀´)」とか興醒めな台詞を吐いてくるというね。だがしかし、実はスラりんはアンチウイルスであり、ロトの剣に化けてくれたので、それを使って倒すと、世界に平和が戻りまして。「ゲームで得た経験や思い出だって本物なのさ (´∀`=) ウフフ」ってな調子で主人公も納得して、映画は終了。エンドクレジットが流れきると「Continue your adventure」なんてテロップが出て終わってた気がします、たぶん。


なんとなく徳永英明さん「夢を信じて」を貼っておきますね↓




ううむ、僕的には“決して嫌いではない作品”なんですが(汗)、単純に映画としての出来が良くなかった印象。まず、「ドラクエ」の映像化として微妙だったなぁと。そりゃあ「天空の花嫁」は長い話なんだろうから、内容を改変したり、ダイジェストっぽくなったりするのは仕方ないんでしょうけど、それにしてもいろいろと省略&足早すぎて、感情移入がしづらい作りだったというか。僕はまだゲームをやっていたからついていける部分が多めでしたが、例えばキラーパンサーのゲレゲレが仲間になるくだりはあまりに忙しなくて笑ったし、ビアンカは映画序盤のゲーム画面に少し出てきただけだから「記号的な幼馴染み」感が強いし、「一度は結婚を申し込んだ女性を振った直後に同じ町で別の女にプロポーズかよ!Σ(゚д゚;)」と思ったし(ゲームもそういうところはあるけど、まだゲームだから飲み込めるワケだし、ゲーム以上に無神経な主人公だと思う)、ずっと主人公たちに仕えているサンチョなんて「で、結局、コイツは誰?(゚Д゚)」って感じだったし…。ゲームをやっていない観客でも「まぁ、こういう話なんだろうな」と理解はできる作りだと思いますが、僕は「あらすじ」を見せられている気分だった…って、伝わりますかね。

そして、メタ的な展開も微妙でした。いや、メッセージ自体は好きというか、本作で山崎貴監督&堀井雄二さんが言いたかったのは「ゲームをやっていた時間だって大切なんだから、『大人になれ』なんて言葉は気にすんな」ってことなワケで、「レディ・プレイヤー1」の「オレはゲームのおかげで恋人ができたし世界有数の富豪にもなれたけど、ゲームばかりやりすぎるのは良くないよな ( ´_ゝ`)」なんてオチよりも全然マシというか、ゲームをやる人に対する「愛がある」とは思うんですよ。それに「VRゲームだった!」というオチになることで、それまでの描写の変なところ(話が妙に駆け足だったりとか、フローラが「冒険」を「クエスト」と言ったりとか)も「昔のゲームのVR化だったら、そうなるかもな」と思えなくもないし、その発想自体は悪くないんじゃないかと。

ただ、そうなると逆に「VRゲーム」としての設定の作り込みの甘さにイラッとしてくる。もうね、「プレイが数時間かかるの?(料金はいくらよ?)」といったところはスルーするとしても、そもそも「ゲーム中は現実の記憶がなくなる」のって、相当ヤバいですよね。例えば「6歳の子どもが目の前で最愛の父親を殺されて奴隷にされる」なんてハードすぎる状況を現実だと思い込まされたら、その時点で精神を病んでゲーム終了になる人が続出すると思うんですが…。要は本作って「今回のオチを思いついたからそうしてみただけ」に見えるんですよ。例えば、「実は子どもが遊んでいた!Σ(゚д゚;)」というメタ展開で有名な「LEGO(R) ムービー」「レゴ世界の出来事によって現実の主人公たちも成長する」ところが素晴らしかったワケですが、本作の場合は単に「店員さん、今回のプレイはゲームキャラに変な説教されて面白くなかったよ (・ε・) ブー」とプレイヤーが店に文句を言って終了な話でしかないじゃないですか(もちろん「そういうVRゲームだった」という可能性もありますが、それも別に面白いとは思えない)。パンフのインタビューによると、脚本には堀井雄二さんも絡んでいたようですけど、本作のメタ展開はあまりに安易すぎてガッカリ。特にあの「スライムがロトの剣になる」という取って付けた展開には思わず失笑しちゃった次第。


パパスが殺されるシーン、ゲームでもムカつくのに、現実だと思い込んでたら憤死しますよね。



こういった映画を作る際、「元ネタに愛がある」云々はどうでも良いとしても「世界観を学んで細部に気を配る(もしくはわかった上で無視する)」ということは、とても大事だと思うんですね。例えば、本作の主人公の名前を「リュカ」にしたせいで、「昔、『天空の花嫁』の小説を書いた人に訴えられている」という状況があって。別に法的にはまったく問題ないだろうけど、どう考えたってその小説から拝借しているんだから、あのメタ展開になった時とか主人公に「小説版の主人公の名前が好きなんで、『リュカ』にしてください (´∀`)」とか言わせれば、「おっ、そういう小ネタだったのか!」と観客は感心するワケじゃないですか(まぁ、そうした場合、逆に「あの主人公は小説を読む前にゲームをプレイしているハズだから、その名前に愛着があるのはおかしい!」という指摘もできますが、それはそれとして)。例えば、妖精のところに行く試練をスライムを使った力業で乗り越える描写とか「ドラクエ」っぽくなかったし…(あくまでゲームなんだから理屈でクリアできるようにしないと)。僕は決して「ドラクエ」強者ではありませんが、なんか全体的にそういう部分が足らない印象。脚本を書く際、もっと“プレイヤー目線の人”の意見を聞くとかすれば良かったんじゃないかしらん。


なんとなくDS版「天空の花嫁」のCMを貼っておきますね↓




って、散々文句ばかり書いちゃいましたが、本作のおかげで結婚相手が決められたので、感謝はしているのです。終盤のメタ展開の中、主人公が「いつもビアンカにしちゃうんだよなぁ」なんて言っていて、「やはり『人としてビアンカ』なのか (`Δ´;)」とは思ったんですが、とは言え、映画にまで「普通はビアンカ」みたいな流れを見せられることにイラッとする。いや、僕はDS版で船にフローラが乗りこんで来た時は「あっ、可愛いな」と幼心に思ったし(ゲーム内の話ですがー)、そんな彼女とサラボナの街で再会できた時、僕に気があるってムードだったから素直にうれしかったんだよ(ゲーム内の話ですがー)。…僕はフローラが好きだ。僕はフローラが好きだ!Σ(°д° ) クワッ そんな風にやっと自分の本当の気持ちに気付いた僕は、劇場をダッシュで飛び出して、RADWIMPS「愛にできることはまだあるかい」を脳内BGMにしながら山手線の線路上をマラソンしてから帰宅すると、フローラと結婚したのでした(途中、乱暴なウソ)。


この瞬間、僕はフローラに恋をしていたのです。


ということで、結婚いたしました…って、このくだり、どうでも良いですかね (´∀`;) スミマセン



いや、正直、「日本でもこのレベルのCGアニメが作れるんだな」と、CGの技術には感心したし、アクション演出にも良いところはたくさんあったし。僕的に本作は「作品の改変振り&監督からのメッセージにイラッとする人が多いものの、評価する人もそこそこいる」という点で、実写版「デビルマン」というよりは実写版「キャシャーン」を連想したというか。なんて言うんですかね、上映時間をあと30分ぐらい足す&メタ展開ナシで「天空の花嫁」をキッチリ映像化するか、メタ展開にするにしても「スパイダーバース」みたいに各作品の勇者とプレイヤーが共闘するような内容にするとか、なんにせよ、どちらかに振り切っていたら普通に面白い映画になった気がするので、スゲーもったいないなぁと。ハシゴ鑑賞した「アルキメデスの大戦」が非常に良い作品だっただけに、山崎貴監督は間違いなく才能がある方なので、脚本を別の人に任せたらもっと良くなるような気がします。おしまい。




映画の元ネタになったゲーム。まだ途中までしかやってないけど、面白いヨ (°∀°)b イマサラ!



本作のノベライズ。これを出すから、過去の小説版は無視したのかなぁ。



問題が本作と同じところにあるような気がする山崎貴監督作。僕の感想はこんな感じ



なんとなく連想したスティーブン・スピルバーグ監督作。僕の感想はこんな感じ



なんとなく連想した作品。僕の感想はこんな感じ