クリード 炎の宿敵(ネタバレ) | 三角絞めでつかまえて2

クリード 炎の宿敵(ネタバレ)

クリード 炎の宿敵



原題:Creed II
2018/アメリカ 上映時間130分
監督:スティーブン・ケイプル・Jr.
製作:シルベスター・スタローン、ケビン・キング・テンプルトン、チャールズ・ウィンクラー、ウィリアム・チャートフ、デビッド・ウィンクラー、アーウィン・ウィンクラー
製作総指揮:ライアン・クーグラー、マイケル・B・ジョーダン、ガイ・リーデル
キャラクター創造:シルベスター・スタローン
原案:サッシャ・ペン、チェオ・ホダリ・コーカー
脚本:シルベスター・スタローン、ジュエル・テイラー
撮影:クレイマー・モーゲンソー
美術:フランコ=ジャコモ・カルボーネ
衣装:リズ・ウルフ
編集:デイナ・E・グローバーマン、サイラ・ハイダー、ポール・ハーブ
音楽:ルドウィグ・ゴランソン
音楽監修:ファム・ウデオルジ、ジェン・マローン
出演:マイケル・B・ジョーダン、シルベスター・スタローン、テッサ・トンプソン、フィリシア・ラシャド、ドルフ・ラングレン、フロリアン・“ビッグ・ナスティ”・ムンテアヌ、ラッセル・ホーンズビー、ウッド・ハリス、アンドレ・ウォード、マイロ・ビンティミリア、ブリジット・ニールセン
パンフレット:★★★★☆(850円/レビュー1本+コラム4本に「4」についての企画記事もあって、素晴らしい!)
(あらすじ)
ロッキーの指導の下、世界チャンピオンに上り詰めたアドニスは、かつて父アポロの命を奪ったイワン・ドラゴの息子ヴィクターと対戦することになる。ヴィクターの反則行為により試合には勝利したものの、納得のいく勝利を飾ることができなかったアドニスは、心身ともに不調に陥ってしまう。やがて婚約者のビアンカが出産して父親になったアドニスは、ロッキーから父親という存在の大切さを諭され、しばらく一線から遠のくことに。しかし、「ボクシングこそが自分そのもの」と気づいたアドニスは、ヴィクターとの再戦を決意する。(以上、映画.comより)

予告編はこんな感じ↓




97点


本作は、「ロッキー」シリーズ(全6作)から新たに始まったスピンオフ「クリード チャンプを継ぐ男」の続編ということでね。そりゃあ、確実に観る案件だったんですけれども。ハッキリ言って、前作があまりにも素晴らしすぎたから越えるのは無理だろうし、監督がライアン・クーグラーからスティーブン・ケイプル・Jr.に交代しちゃったのも不安だし、何よりも「アポロの息子とドラゴの息子が戦う」って、ちょっとケレン味が強すぎる舞台設定というか、「ネオ格闘王伝説 Jr.Wars」じゃないんだからさぁ…というわかりにくい例え。要は、まったく期待してなかったんですが、とは言え、試写などで観た人の誰もが「良かった!(°∀°)b ナイス!」と高評価だったりもしたので、一気に興味が加速しましてね。あらためて「ロッキー」シリーズをすべて観てから、1ヶ月フリーパスを利用して、TOHOシネマズ川崎TOHOシネマズ新宿で観て来ました。超感動したYO!ヽ(TДT)ノ ウワァァァァン!


フリーパス、今月いっぱい使えるのです ( ̄ー ̄) ニヤッ


川崎は公開日ながらも半分ぐらいの入りだったような(その後、「蜘蛛の巣を払う女」をハシゴ)。


観た後、グッズを買っちゃいましたよ。


昨日の新宿は1/4ぐらいの入りだった記憶(その前に「レッスル!」を鑑賞)。



最初にあらすじを雑に書いておくと、33年前(「ロッキー4」のお話)、母国ロシアでロッキーに破れて地位も名誉も妻も失ったイワン・ドラゴが“己のボクシングスキルのすべてを叩き込んだ息子”ヴィクターとともに渡米しましてね。前作で因縁があったダニー・“スタントマン”・ウィーラーに挑戦してヘビー級王座を獲得したばかりのアドニス・クリードに挑戦を表明するのです。イワン・ドラゴに父アポロを殺されていることもあって、アドニスは対戦する気マンマンなワケですが、ロッキーは「お前は何のために戦うんだ? (´・ω・`)」と反対してきて、2人は決裂。結局、ロッキーがセコンドに付かない状態でヴィクターと戦ってみれば、アドニスったら容赦なく半殺しにされまして。「ヴィクターがダウン時に加撃→反則負け」となったので王座は防衛できたものの、すっかり負け犬気分のエブリデイというね… (ノω・、) クヤシイ


王座防衛したばかりなのに、いきなりドラゴ親子に挑戦されまして。


ロッキーの制止を振り切って戦ってみれば、ボコボコにされたのでした。このメソメソ顔が美味!(o^-')b イイネ



念のため貼っておくと、イワン・ドラゴが登場した「ロッキー4」はこんな話でございます↓




ただ、ふさぎこんでちゃアタシらしくない(誰?)。ロッキーと仲直りしたり、婚約したビアンカとの間に娘アマーラが生まれたり、娘の面倒を看たりするうちに、なんとなく「オレにはボクシングしかない!Σ(°д° ) クワッ」と開眼! 落ち込みすぎてちょっと距離感があったビアンカとも和解すると、ロッキーの案内で、カリフォルニア州デスバレーにある“ボクサーの虎の穴”パーガトリア・エル・ボックスにて、「生まれ変わるために一度死ぬ」レベルのハードトレーニングを積みまして。今度は、あえて敵地ロシアに乗り込んで、ヴィクターとタイトルマッチだッ!ヽ(`Д´)ノ ブッコロスッ!


フィクション・ラインが一気に上がった感のある“虎の穴”での特訓シーン、大好物でした。



でも、ちょっと待って!(なんだこれ) ドラゴ親子にも負けられない事情があるのです。33年前の試合中に人間性を取り戻したかのように見えたイワンは敗北によってすべてを失い、すっかり毒親にトランスフォーム。ロッキーの店を訪れて恨み節を垂れ流すネガティブさは置いとくとしても、自分の復讐&悲願を息子に遂げさせるべく、接する時は常にハード対応であり、試合中も「弱いからあの女も出て行った!( ゚д゚)」と、自分の元妻ルドミラ(a.k.a.ヴィクターの母親)を引き合いに出してハッパを掛けるから超厭な感じ (`Д´) ヤナカンジ! 反則負けとは言え、ヴィクターがチャンピオンを圧倒したということで、お偉いさんたちはホクホク顔だったり、ネーム入りの赤いトランクスをプレゼントされたり、政治家と再婚したルドミラも上から目線ムードで褒めてきたりと、全ロシアが手のひら返しをしてきたので、イワン的にはやっと少し満足したムードが漂ったりもしたんですが、しかし。ここで負けたらまたすべてを失うのでね、お父さんから尊敬を勝ち取りたいヴィクターだって負けられないのだッ!ヽ(`Д´)ノ ブッコロスッ!


ヴィクターのトレーニングシーンもカッコ良かったですな〜。バトルロープ、やってみたい!



で、フタを開けてみれば、ヴィクターが敗北ですよ。体格で劣るアドニスは「ハンマーで荒野を掘る」という“薪割りトレーニング”と同様の効果をもたらしそうな訓練で筋肉を増量し、さらには「自分よりも体重のあるボクサーと1つのタイヤに片足ずつ入れて殴り合う」という特訓によってインファイトが上達していたため、戦闘力はほぼ互角になっていて。あとは気力の勝負となるワケですが、奥さんにお母さん、ロッキーまで側にいるアドニスは超強気で立ち上がりまくり。逆にヴィクターの場合は…。とうとうダウン→二度目のダウンを見たルドミラが見切りを付けて席を立つ→空席を見てヴィクターは超ショック!→アドニスが滅多打ち→息子を不憫に思ったイワンがタオルを投げたのでした… (ノДT) 最後は、アドニスファミリーがアポロの墓参りをする中、ロッキーがカナダにある息子の家を訪れたり、ドラゴ親子が仲良くランニングをしたりして、終わってましたよ、たぶん。


墓参りをするアドニスを貼っておきますね。



いや、まさかここまで良い映画だとは思わなかったです。本作は、「ロッキー」シリーズで例えると、「2」と「3」と「4」を足して3で割ったような“よくある話”なんですけど、そこにアドニスとロッキー、そしてドラゴという3つの家族の話を加えていて。しかも、過去作の要素を上手に抽出して作劇に活かしていて、よくできている脚本だなぁと。まぁ、ボクシングシーンは前作ほどの「ワンカットで来たか!」とか「この立ち上がり方をするか!」的なサプライズはなかったけど普通に迫力があったし、同じぐらい重要な特訓シーンは観客に「ハンマー、買わなくちゃ!ヘ(゚∀゚*)ノ」と衝動買いをさせそうなほどケレン味マシマシで熱く撮っていたしと、アクション的にも申し分なし。このクオリティはスゴいなと思いきや、スティーブン・ケイプル・Jr.監督はライアン・クーグラー監督の友人だそうで、「なぁんだ (´∀`)」とスムースに納得いたしました。

もうね、とにかくドラゴ親子にやられました。当ブログでは「専用の項目」を作るほどにドルフ・ラングレンの主演&出演作を積極的に鑑賞してきましたが、まさに今世紀最高のベスト・ラングレン。「33年間、不遇だった」というドラゴの物語にグッときただけでなく、その渋い演技だけでも唸らされたというか。あんなに厳しさしかなかったイワンが、ラスト、哀れな息子のために(って、父親のせいなんですがー)タオルを投げるシーンの感動的なこと! 「ロッキー4」をあらためて観てみると、僕には100点の映画ですけど、やっぱり「ロッキーがタオルを投げないのは相当アウト」なワケですよ。その点において、最後に息子を思ってタオルを投げたドラゴは、ある意味、「試合に負けて勝負に勝った」感があって。見事な展開だし、その時のラングレンの演技は100点としか言いようがなくて。もちろんヴィクターを演じた新人フロリアン・“ビッグ・ナスティ”・ムンテアヌだって良かったし(母がいない席を観た時の顔が!)、ブリジット・ニールセンにルドミラを演じさせて重要な役割を与えたのも見事だったし(出てきた時はかなり驚いた)、「今までは車に乗っていたのに一緒に走るようになったラスト」も素晴らしいし、僕的にはドラゴ親子要素だけで十分名作だと思ったり ( ;∀;)イイオヤコダナー


本作のドルフ・ラングレンは褒めても褒めても褒め足りないほど良いのです。


実に強そうだったヴィクター。日本でいう「勝利(かつとし)」っぽい名前なのがまた…。


ヴィクターを演じたフロリアン・ムンテアヌは、今もラングレンと仲良しで、一緒に買い物に行ったりするとか。


ブリジット・ニールセンの再登場にはビックリ!(「ロッキー4」より) 近年は「エクスペンダブルズ・レディス」で頑張ってましたな。


ちなみに「マッスル&フィットネス」の「12月号」には息子が、「1月号」には父親が載っているので、マスト・バイ!m9`Д´) ビシッ



あと、「ロッキーが息子の元を訪れる」というラストも好きでした。なんて言うんですかね、僕的に前作「クリード チャンプを継ぐ男」の不満を書くと、アドニスの物語を盛り上げるために、せっかく「ロッキー・ザ・ファイナル」で仲良くなった息子ロバートを疎遠にさせたように見えて、そこだけは好きじゃなかったんですよ。ところが本作は、クライマックスの試合後、ロッキーがアドニスに「お前の時代だ」と告げる→アドニスが独り立ちする(=2人が別の道を行く)ようなムードが漂っていて。その上で「肩の荷が下りたロッキーが自分の人生にあらためて向き合う」というラストを描くことで、前作で息子と疎遠になったことも“物語上の必然”に変えていたから、「お見事!m9`Д´) ビシッ」と心底感心いたしました。あと、息子役をちゃんとマイロ・ヴィンティミリアが演じていたのもうれしかったですねぇ…(しみじみ)。


本作でロッキー自身の物語は完結したんでしょうな… (ノω・、) サビシイ


息子のロバート、ずっと気になってたからホッとしましたよ(「ロッキー・ザ・ファイナル」より)。



そして、アドニスの物語としても良かった。1回目はドラゴ親子の人生があまりにヘビーすぎ&インパクトが強くて、アドニスサイドは若干、コク不足に感じたというか、「らあめん花月嵐」だったら壺ニラもやしを大量投下するところでしたけど、ドラゴ親子への恋心を押さえながら2回目を観てみれば、アドニスの「父親になる葛藤」がビンビン伝わってきたアタシ。特に、ヴィクターに負けたアドニスが「父親になるのに… (ノω・、)」と涙を流すシーン、痛いほど実感る。1人で抱えてしまうのは、「いつでも頼れる夫でありたい→弱みを見せたくない」であり、だからこそ苦しむんだよなぁと。ハッキリ言って、奥さんが歌いながら入場する格闘家ってあまり好きじゃないけど(「いつもの入場曲は?」とか思うし)、率直に自分のことを話すビアンカとの和解シーンは良かったし、僕も奥さんとああいう関係でいたいなぁ…なんてね。それと、アドニスを演じたマイケル・B・ジョーダン、特訓シーンを経ての肉体は最高のひと言でしたな (´∀`=) ウフフ


今回のアドニスの涙を見て、なんとなく「箱舟はいっぱい」のお父さんを思い出しましたよ。
泣くお父さん

最終決戦で見せる肉体はさすがでした。



そんなワケで、僕的に“好き度”では前作以上だったんですけど、ちょっと不満を感じたのは「ダウン後のパンチ、昔の『ロッキー』ではアリだったな」とか「アドニスがウダウダする時間が長い」とか「トニー・“リトル・デューク”・バートンをもう少し活躍させてほしかった」とか「最終決戦でアドニスがダウンから立ち上がるシーンの音楽が『アイ・オブ・ザ・タイガー』のアレンジだったらなぁ…」といったことではなく。「ロッキー」シリーズの未回収の要素がまだあるから。僕的には「ロッキー2」に出てきたアポロとメリー・アンの子どもたちが気になっていて、今回、ドラゴ親子をアメリカに連れてくるプロモーターが黒人だったから、「とうとう兄貴が出てきたか!(*゚∀゚)=3 ムッハー」と思いきや、まったく関係ない人だったから結構ガッカリしたというね。まぁ、これから「ドラゴ親子のスピンオフ」を作るべきなのはもちろんですけど(2人でチェルノ・アルファに乗ったりする)、どうせ「クリード3」も作るのだろうから、できれば「地下格闘技界に君臨する長兄ハデス・クリードと戦うため、アドニスはアポロのボクシング技術を“全局面対応型の闘争術”にまで高めてーー?」といった内容だったらいいのにな、そうだったらいいのにな


「クリード3」、こんな感じで長兄ハデス・クリードが登場するのではないか(「餓狼伝」より)。


そしてアドニスはこんな感じで戦うのではないか。ないか(「バキ」より)。



ううむ、例によって無駄な文章多めになっちゃいましたが(汗)、トータルすると、超感動したYO!ヽ(TДT)ノ ウワァァァァン! シリーズを観た方が間違いなくグッとくるけど、たぶん未見でも十分楽しめる映画なので、ぜひ劇場に足を運んでみてくださいな。何はともあれ、僕は現在、本作の影響を受けてすっかりハートに火が点いてしまってボーボーと燃えていて「トラの眼」とまではいきませんが、「とらのこちゃんの眼」にはなっているのでね(苦笑)、あと1回は観に行くと思います…って、なんだそりゃ ( ゚д゚)、ペッ


ここまで読んだ人の気持ちを代弁するジェイソン・ステイサムを貼っておきますね(「ブリッツ」より)。
三角絞めでつかまえて-なんだそりゃ


おしまい。




ライアン・クーグラー監督による前作。僕の感想はこんな感じ



デジタル盤のサントラ。国内CD盤もあります。



一応、貼っておきたい「ロッキー」シリーズ全作。各作品への僕の距離感はこんな感じで、「4」に関してはこんな感じ



非常にタメになる「ロッキー」特集が載った「映画秘宝」を貼っておきますね。



ドルフ・ラングレンとジャン=クロード・ヴァン・ダムの5作目の共演作。僕の感想はこんな感じ