いちごの唄(ネタバレ) | 三角絞めでつかまえて2

いちごの唄(ネタバレ)

いちごの唄



2019/日本 上映時間114分
監督:菅原伸太郎
原作:岡田惠和、峯田和伸
脚本:岡田惠和
製作:小西啓介、岡本東郎、宮崎伸夫
プロデューサー:小西啓介
企画プロデューサー:馬上千明
アソシエイトプロデューサー:南陽
撮影:岩永洋
照明:加藤大輝
録音:岡本立洋
美術:小竹森智子
ヘアメイク:荒井智美
スタイリスト:伊賀大介、高田彰久、伊藤佐智子
VFXスーパーバイザー:木村康次郎
サウンドエディター:勝俣まさとし
編集:日下部元孝
音楽:世武裕子、銀杏BOYZ
主題歌:銀杏BOYZ
助監督:内田貴史
制作担当:中川聡子
ラインプロデューサー:鈴木嘉弘
協力プロデューサー:長井龍、飯田雅裕、筒井史子、松岡周作
出演:古舘佑太郎、石橋静河、和久井映見、光石研、清原果耶、小林喜日、大西利空、泉澤祐希、恒松祐里、しゅはまはるみ、渡辺道子、ポール・マグサリン、山崎光、蒔田彩珠、吉村界人、岸井ゆきの、峯田和伸、宮本信子、麻生久美子、みうらじゅん、田口トモロヲ、宮藤官九郎、曽我部恵一、やついいちろう、今立進、村井守、村井香、赤坂真之介、yucco
パンフレット:★★★(815円/コラムの他、楽曲解説なんかもあって良かった)
(あらすじ)
冷凍食品の製造工場で働く笹沢コウタの大親友・伸二は、2人が「天の川の女神」と崇拝していたあーちゃんを交通事故から守り、あーちゃんの身代わりとなって死んでいった。それから10年、コウタは偶然あーちゃんと再会する。伸二の「死」を背負いながら生きていたコウタとあーちゃんは、伸二の命日に1年に一度「逢うこと」を約束。毎年逢瀬を繰り返すコウタは、次第にあーちゃんに恋心を抱くようになる。(以上、映画.comより)

予告編はこんな感じ↓




70点


最初は「どうせ若いころの初恋の相手が云々といった程度の話なんでしょうよ!( ゚д゚) シルカ!」と思って、全然観る気はなかったんですよ。ところが、付き合いで「小さな恋のうた」を観たら、なんとなく似たタイトルの本作も押さえておきたくなったので、思わず前売り券を買ってしまった…という複雑な男心。しかも、観る予定だったアップリンク吉祥寺は「劇場窓口までいかないとムビチケが使えない仕様」なので、仕事の合間に足を運んでみれば、ちくしょう、満席で入れなかったりしてね…(遠い目)。結局、都内での上映はすべて終わってしまったものの、人生において損をするのが何よりも嫌いな僕ですよ、どうしても前売り券を使うべく、10月28日(月)、小山シネマロブレにて、「見えない目撃者」を観てから同劇場でハシゴ鑑賞いたしました(その後、新宿で「ジェミニマン」を観た)。観て良かったです (´∀`=) ヨカッタワー


前売り特典は「峯田和伸イラスト入りオリジナルエコバッグ」でした。


劇場は僕を含めて2人。劇場限定販売のCD、買えば良かったなぁ… (・ε・) ウーン



最初にあらすじを“驚きの読みにくさ”で書いておくと、7月7日=七夕の日、冷凍食品の製造工場で働く笹沢コウタがこの日に死んだ親友の伸二を思い出しながら高円寺を歩いていたら、偶然、中学時代の同級生・天野千日と会いまして。コウタは伸二と2人で彼女を「あーちゃん」と呼びながら「天の川の女神」と崇拝していたこともあって、すぐ近くにあったラーメン屋に入って、現在の境遇などを話しまくりましてね。別れ際、勇気を出して誘ってみたら、年に一度、高円寺の同じ場所で会うことになるのです。で、コウタが同じアパートに住むパンクロッカーの女性に犯されてまんざらでもなかったり、震災が起きてボランティアに行ったりする中、3回目の逢瀬の時、「千日をかばって交通事故で死んだ伸二は、実は同じ孤児院(いちご園)で育った幼なじみだった」「千日は捨て子だったゆえに自己肯定感が低くて、コウタの崇拝振りを苦痛に感じるようになった」といったことが明らかになりまして。千日との年に一度の逢瀬は終わってしまうのでした… (ノДT) アーチャン...


「憧れの人との再会」というシチュエーションに憧れる人類は少なくないのではないかな?(偉そうに)



その後、「1年後の七夕で千日を待ってみるも、やっぱり来ない」とか「“彼氏っぽい男”にぞんざいな態度をとられる千日をコウタが目撃→彼氏に殴りかかる→返り討ちにあって前歯を折る→そのまま食べてしまう」とか「千日が孤児院の先生と再会してカフェへ→捨てた親が『千の日と書いて“チカ”と読みます』と名付けてくれたこと知る」といった出来事があった挙げ句、2人は田舎で偶然再会すると、コウタが伸二と中学生時代によくやっていた「坂道を自転車で下ってレタス畑にダイブ」という儀式を実行! レタス畑は、伸二が好きだった花「ストロベリーフィールズ(千日紅)」の畑になっていた→その花言葉は「永遠の愛」なんてことが明らかになると、コウタが「前歯を食べちゃった話、聞く?(゚∀゚)」なんて朗らかに話しかけて、映画は終わってた気がします。


ということで聴いてください、銀杏BOYZで「いちごの唄」(ラジオパーソナリティ風の口調にドヤ顔を添えてーー)。




とても素敵な青春映画だと思いました。主演の2人がスゲー良くて、まず、主人公のコウタは“少し頭が弱いけどとことん善良な青年”という、「こんなこいるかな? (゚⊿゚)」的なあざとさを感じなくもないキャラなんですけど(汗)、古舘佑太郎さんが実に痛々しくもキュートに演じられてましてね。正直、僕は全然存じ上げなかったんですけど(古舘伊知郎さんの息子だそうな)、良い役者さんだなぁと感心いたしました。そして、知日役の石橋静河さんも、なんか“ちょうど良い「憧れの美人」”っぽさがあって。この2人の会話シーンを観ているだけでもホッコリした…って、伝わるでしょうか。特に3回目の逢瀬の時に別れる場面はね、千日の自己肯定力の低さに共感して泣きつつ、「ぽあだむ」を聴きながら&泣きながら走るコウタにも感情移入して涙が止まらなかったし、名シーンだと思った次第 (iДi) イイシーンダナー


銀杏BOYZの「ぽあだむ」を貼っておきますね↓




つーか、世界観が優しいんですよね。例えば、本作のコウタは「弟に勉強を教わるレベル&友だちもいなさそう」という感じなので、弟は「このバカのせいで、友だちに恥ずかしいYO!( ゚д゚) クソガ!」なんてことを言いだしたりするのだろうよ…と勝手に危惧していたら、「お兄ちゃんは面白いなぁ (´∀`=) ンモウ!」ってムードだから、アタシの心、汚れてた!ヽ(TДT)ノ ウワァァァン! コウタを観ていると、今年観た「町田くんの世界」の町田くんを思い出したというか、善良で何が悪いのかと。七夕の日に同じTシャツを着る姿勢にはスゲー共感したし(僕も記念日には毎年同じTシャツを着るタイプなので)、自社製品の冷凍食品を自慢するのも最高で、冷凍食品否定派のラサール石井さんの両目に「いいね」代わりの親指を押し込んでやりたいと思うほど(「ゲーム・オブ・スローンズ」のマウンテンのようにーーという1ミリも優しくない文章)。コウタの両親が愛情に満ちていたり、宮本信子さん演じる「いちご園」の園長先生も気まずさを感じる千日に“大人として”優しかったのもスゲー良くて、そりゃあ現実は常にハードで無惨な出来事ばかりで殺伐としていたりするけれども、それでも「優しさ」を信じる心は大事なのではないか…と思ったり、思わなかったり (゚⊿゚) ナンダソリャ


コウタの家族描写は非常に優しくて良かったというか。


思わずこんな愚地独歩気分になったのでした(「範馬刃牙」より)。



ただ、ごめんなさい、ハッキリ言って、ノイズを感じて乗れないところもあって。千日は孤児だった→引き取られて育ったワケですが、彼女の悩みの独白シーンが説明的で長いというのは置いとくとしても、その悩みを聞けば聞くほど、彼女の養父母の存在がスルーされてたのが気になったんですよね(「ケアできなかったの?」と)。百歩譲って、そこも目をつぶるとしても、スゲー気になったのが、園長先生が落ち込んだ知日を励ますくだりですよ。「あなたは捨て子だけど、あなたの名前は親が名付けてくれたのよ?」みたいなことを言ってましたが、逆に「じゃあ、親に名付けられなかった子はダメなのかよ ( ゚д゚)」と思ってイラッとしたというか、これって全然「イイ話」じゃないなと。そして、何よりもノイズだったのが「自転車で坂道を下ってダイブする儀式」で、画的にあまり速度を感じられなかったし、いくら落下点が畑だとしても、あの高さから落ちたら普通にダメージがあると思うんですが…って、どうでも良いですかね (´∀`;) エヘヘ


千日が想いを吐露する場面では共感して泣きながらも…。


ちょっとこんな宮本武蔵気分になりまして(「刃牙道」より)。


この感動的なラストのダイブシーンも…。


なんとなく烈海王気分になった…って、すみません、この画像を貼りたいだけでした(「範馬刃牙」より)。



その他、思ったことを書いておくと、「伸二役の小林喜日さんは若いころの井浦新さんみたいでいいね」とか「ラーメン屋役の峯田和伸さんは可愛かった」とか「ブロンソンズのカメオ出演はうれしかった」とか「ああいう『女神崇拝』も良くないんだよなぁ(身に覚え有り)」とかとかとか。正直、終盤における「テーマの処理の仕方」があまり好みではなかったけど、主演の2人は魅力的だったし、劇中曲も良かったし、普通にとても素敵な青春映画だったというか。わざわざ小山まで観に行った甲斐がありましたヨ (´∀`=) ヨカッタワー 12月にはソフト化されるので、気になる人はぜひチェックしてみてくださいな。


ということで聴いてください、ビートルズで「Strawberry Fields Forever」(ラジオパーソナリティ風の口調にドヤ顔を添えてーー)。




おしまい (´∀`=) ヨカッタワー




岡田惠和さんが銀杏BOYZにインスパイアされて書いた小説。本作のベースになったそうな。



12月4日にはソフトが発売される予定なのです。