愛がなんだ(ネタバレ) | 三角絞めでつかまえて2

愛がなんだ(ネタバレ)

愛がなんだ



2019/日本 上映時間123分
監督・脚本:今泉力哉
原作:角田光代
脚本:澤井香織
撮影:岩永洋
照明:加藤大輝
録音:根本飛鳥
美術:禪洲幸久
装飾:うてなまさたか
スタイリスト:馬場恭子
ヘアメイク:寺沢ルミ
編集:佐藤崇
音楽:ゲイリー芦屋
主題歌:Homecomings
助監督:八神隆治
制作担当:柴野淳
出演:岸井ゆきの、成田凌、深川麻衣、若葉竜也、穂志もえか、中島歩、片岡礼子、筒井真理子、江口のりこ
パンフレット:★★★(800円/巻末の「仲原青 写真展『一瞬の夢』」がいいね)
(あらすじ)
28歳のOL山田テルコ(岸井ゆきの)。マモル(成田凌)に一目ぼれした5カ月前から、テルコの生活はマモル中心となってしまった。仕事中、真夜中と、どんな状況でもマモルが最優先。仕事を失いかけても、友だちから冷ややかな目で見られても、とにかくマモル一筋の毎日を送っていた。しかし、そんなテルコの熱い思いとは裏腹に、マモルはテルコにまったく恋愛感情がなく、マモルにとってテルコは単なる都合のいい女でしかなかった。テルコがマモルの部屋に泊まったことをきっかけに、2人は急接近したかに思えたが、ある日を境にマモルからの連絡が突然途絶えてしまう。(以上、映画.comより)

予告編はこんな感じ↓




83点


※本作については、映画評論家の町山智浩さんの「映画その他ムダ話」の解説(220円)を聴くと良いんじゃないかしらん(「紙の月」との類似点の指摘が素晴らしい!)。
※今回の記事は、我ながら何が何やらな気持ち悪い内容になってしまったので、そういう文章が苦手な人は読まない方が良いです。


現在、「2019年に観たにもかかわらず感想をアップできなかった映画」が83本あって、粛々と更新すべく頑張っているんですが(汗)、今回は「課題作品にならなかったリスナー枠の映画トップ10」の第6位に入れた本作の記事を更新しておきますよ。4月26日&5月17日放送の「ムービーウォッチメン」のリスナーカプセルに選ばれた→近頃はリスナー枠の映画も観るようにしている…というだけでなく。昨年観た今泉力哉監督作「パンとバスと2度目のハツコイ」が良かったので、観る気マンマンでしてね。なかなか劇場へ足を運べなかったものの、4月19日の公開から3ヵ月以上経った7月30日、アップリンク吉祥寺にて、「主戦場」と連続で鑑賞してきました(その後、「僕たちは希望という名の列車に乗った」をハシゴ)。「目を覚ますのだ!!! (`Δ´し」と思ったり。


劇場はそれなりに混んでいた記憶。伊良コーラを飲んじゃいました (°∀°)b ビミ!


僕の気持ちを代弁するアルバート・ペイン博士を貼っておきますね(「刃牙道」より)。



最初にストーリーを乱暴かつ適当に書いておきますと。主人公は、デザイナーの田中マモルに夢中な山田テルコ(28歳)。いつ何時でもマモルのもとに駆け付けられる行住坐臥、すべて恋愛」の心構えであり、当然ながら仕事よりも優先してしまうエブリデイながらも、マモルの方に恋愛感情はゼロ…というか、すみれという年上の女性に片想いしてまして(で、テルコを“都合の良い女”として扱う)。そこに、テルコの親友の葉子&彼女に片想い中のナカハラも絡んでくる…という、ちょっとした恋愛群像劇。「あーだ!川`Д´)ノ キィィッ」「こーだ!m9`Д´) ビシッ」「そーだ!ヘ(゚∀゚*し ヤッタァ!」といろいろあった結果、ナカハラは葉子と距離をとって写真家の道を歩み始めて、テルコは「別にマモちゃんのことは友だちとして好きなだけ 川 ゚д゚)」と擬態してマモルの側に居続ける人生に覚悟完了。「どうしてだろう。いまだに私は田中マモルではない」なんてつぶやくと、象の飼育係になっていたのでしたーー。


ということで、Homecomingsによる主題歌「Cakes」を貼っておきますね↓




本作の分析については、尊敬する映画評論家の町山智浩さんの「映画その他ムダ話」の解説(220円)を聴けば十分なんですけど、一応、自分なりの感想を残しておきますよ。別に今泉力哉監督作をすべて観ているワケではありませんが、パンフを読むまでオリジナル脚本と思っていたほど(角田光代さんの同名小説が原作)、実に今泉力哉監督っぽい題材というか。恋愛映画…というより「恋愛を観察する映画」という印象があって。上手く書けないんですけど(汗)、本作は「登場人物たちと一定の距離を保ちつつも優しい眼差しで眺めている」という雰囲気があって、それが不思議と心地良いのです。役者さんたちの演技も素晴らしくて、岸井ゆきのさんが良かったのはもちろんこと、マモル役の成田凌さんの「イイ男だけど、ちゃんとダメに見える」のが見事でね。あと、「パンとバスと2度目のハツコイ」で主演だった深川麻衣さんが本作では葉子役だったんですが、最初は気づかないほど別人に見えたので、ビックリしましたよ。


主演の2人、好演してましたな。


そういえば、ナカハラ役の若葉竜也さん(一番左)もいじらしくて良かったです。



そして本作の何が面白いって、自分自身の恋愛観について考えさせられる上に、「あれ、どう思うよ!? (゚⊿゚)」と他の人と話したくなるということ。昨年の4月に公開されたのに、都内では11月ぐらいまでロングラン上映されていたほどの人気だったのは、そういう部分が大きいんじゃないかなぁと。ハッキリ言って、僕はこの47年の人生において、片想いされたことなんてないというか(「みんな、誰かの初恋だったーー。」というキャッチコピーに激怒したタイプ)、「自分から告白して付き合った」経験しかないので、テルコを“都合の良い女”扱いするマモルの気持ちは全然わからないものの、マモルに恋するテルコの気持ちはスゲーわかった。僕も初恋の時は彼女中心のスケジュールだったもんなぁ…(遠い目)。つーか、マモルというキャラクターはスゲーあざとくて。例えば、この場面ですよ↓


自分の家で料理を作るテルコの方に、馴れ馴れしくアゴをオン!


そして、素手でピーマンの肉詰めを口にイン! この時点で冷や汗が流れるワケですが…。


さらにケチャップを人差し指につけるから、何をするのかと思いきや。


相手の口に入れて、こ、こっ、コイツ、「追いケチャップ(笑)」なんて言いやがった! 


このシーンを観た僕の気持ちを代弁する加藤清澄を貼っておきますね(「グラップラー刃牙」より)。



連続写真で見ると結構簡単そうな技ですが…。例えば僕のような素人が実践しようと試みれば、「ピーマンの肉詰めを口に入れる」まではできるとしても、最後の「ケチャップを付けた指を相手の口に入れる」は間違いなく「なにすんの (゚Д゚し」と、スムースにウィービングされることでしょう。本作におけるマモルは「実はテルコの目には“成田凌顔”に見えているものの、世間的には普通の男」という見方ができる説もありますが、この一連の動作はどう考えてもモテモテの人生を送ってきた男の技。ううむ、我ながら何を伝えたいのかわからなくなってきましたが(汗)、要は、こんな“相手を好きにさせる技”を繰り出しておきながら、「オレは君のこと、好きじゃないんだよね ( ´_ゝ`)」みたいな態度をとる奴は死の翼触れるべしであり、僕はすっかりテルコに感情移入して見ていた…と書きたいところですが、しかし。さすがに「あそこまでの片想いはなぁ ┐(´ー`)┌ ヤレヤレ」と引いたりもするのです。というのは、やっぱり相手が嘗めているから。


なんとなく愚地克巳を貼っておきますね(「範馬刃牙」より)。



本作のテルコは「永遠の片想い=終わりがないからいいんだ」という境地に到達していましたよね。確かに「君が幸せなら、相手は僕じゃなくていい」というのが本当の愛なのかもしれませんが、だからと言って、自分を都合良く使おうとする、自分のことを1ミリも尊重してくれない相手を好きで居続けるのは無理というか、そんな奴を好きになれなくないですか? 例えば、そりゃあ僕的に「妻子への愛」については相手からの見返りなんて求めないけど、とは言え、少しは優しくしてほしい…って思うのもダメなんですかぁ!?(突然、キレながら) たまには優しくしないとロバだって拗ねる昨今、葉子を諦めるナカハラの方が人間味が感じられますよ(まぁ、製作者サイドもそういう風に作っているワケですがー)。もうね、自分を嘗める相手に片想いしている人は、さっさと見切りをつけてほしいというか、「目を覚ますのだ!!! (`Δ´し」と思った次第。って、自分で書いておいてアレですけど、スゲーどうでも良い文章をダラダラと垂れ流した気がしてなりません。


ということで、もう一度、愚地克巳を貼っておきますね(「範馬刃牙」より)。



つーか、アタシ、片想いされてみたかった。本作のテルコみたいに自分のことを全肯定してくれてさ、「マモちゃんはいろいろ見えちゃってるんだろうね (´∀`=し」なんて褒めてくれる子がいてくれたら!  どんな時も自分らしく生きてゆくのに、あなたがそばにいてくれたら!ヽ(TДT)ノ ウワァァァン ううむ、ごめんなさい、あまり寝てない&風邪を引いているので、情緒不安定気味な感想になってしまいましたが(汗)、本作はこんな感じでいろいろと考えさせられるスゲー面白い恋愛映画であり、話のネタにもなるので(実際、練馬の「か和もっち」で本作を見た女性客から恋愛相談をされた)、興味がある方は観てみて!




すでに配信がスタート&ソフトが販売中というね。



角田光代先生による原作小説。ちょっと興味あります。



デジタル盤のサントラ。CD盤もあります。



昨年公開された今泉力哉監督作。僕の感想はこんな感じ