さらば大戦士トゥギャザーV(ネタバレ) | 三角絞めでつかまえて2

さらば大戦士トゥギャザーV(ネタバレ)

さらば大戦士トゥギャザーV



2018/日本 上映時間71分
監督・脚本・編集:松本純弥
撮影:池本富美枝
録音:鷲岡豊司
ヘアメイク:理櫻
擬斗:三ノ宮健
小道具制作:ふくだみゆき
セット美術:芳澤仁
特殊造形:内田伊久
編集・カラーグレーディング:神林裕介
整音:鷲岡豊司
作曲:光田晋哉
監督助手:原田康平
製作補:上田慎一郎
キャラクターデザイン:田畑宏樹
タイトルロゴ:荒木由衣
出演:KENTA、職業怪人カメレオール、畠山智行、宮本浩平、原田達也、中田ゆき、神保明子、市原叶晤、渡邊津弓、三ノ宮健
(あらすじ)
大戦士トゥギャザーVこと中野正は、悪の組織デスブラック団との長い戦いを終えて平穏な日々を満喫していた。しかし、週刊誌にトゥギャザーVの批判記事が突如として掲載されたことにより、正は仲間を頼りながら記者から逃げる身となってしまう。憤りと不安に揺れる正の前に怪人カメレオールが現れ、正の世界を一変させる、ある事実を告げる。(以上、映画.comより)

予告編はこんな感じ↓




75点


※本作はネタバレを知らないで観た方が絶対面白いので、興味のある方は読んじゃダメ!
※今回の記事は、「ライズ ダルライザー NEW EDITION」のネタバレに触れているので、気をつけて!


今年は「アクアマン」「スパイダーマン スパイダーバース」「キャプテン・マーベル」「シャザム!」「アベンジャーズ エンドゲーム」「X-MEN ダーク・フェニックス」「スパイダーマン ファー・フロム・ホーム」だと海外産ヒーロー映画が公開されまくるということで、なんとなく「国産ヒーローも応援しなくては!(`・ω・´) キリッ」という気分になりましてね(ここまでコピペ)。で、本作は「映画秘宝2019年4月号」で取り上げられていて面白そうだったので、前売り券を購入したんですが…。なんと池袋シネマ・ロサでの1週間限定レイトショー上映だったのをすっかり忘れて見逃してしまい、前売り券を無駄にしたという体たらくですよ。


無駄になった前売り券を貼っておきますね (ノω・、) クヤシイ


前売り特典は「電脳ひみつ大百科(限定ブログへのリンク)」でしたよ。



1ヵ月ほど枕を涙で濡らす日々を送った後、「こうなったら舌を噛み切って死ぬしかない… ('A`)」と思い詰めていたところ(ちょっとウソ)、なんとTwitterを相互フォローしているひだっちょさんが「さらば大戦士トゥギャザーV サウンドトラック同梱版」(劇場で販売されていたそうな)をプレゼントしてくれたのだから、捨てる神あれば拾う神あり、ですな(知った風な口調で)。そんなワケで、4月下旬某日、自宅のテレビで鑑賞いたしました。「頑張りましたな ( ´_ゝ`) エラソウ」と思ったり。


ということで、ひだっちょさんからいただいたDVDでございます。


サントラCDやら何やらが入ってました。



お話を超雑に書いておくと、中野正(KENTA)a.k.a.大戦士トゥギャザーVは、いわゆる“おやっさん”的存在の白石(畠山智行)と組んで、悪の組織デスブラック団と戦って、とうとうボスのクロイ(宮本浩平)を倒しまして。平和な日々が戻った…と思いきや! 週刊誌記者の住吉(原田達也)に「街を破壊した」等の批判記事を書かれた上に、付きまとわれて大変…と思いきや! 実はトゥギャザーVが殺した怪人たちは“医療実験で怪物化してしまった人間”であり、研究所から怪人を逃がしたクロイと白石がマスコミの気をひくために怪人vsヒーローの芝居をしようとしたところ、正が勝手に介入して大暴れしたため、とりあえず彼をヒーローとして活動させていたことが発覚!Σ(゚д゚;) ナンダッテー! 真実を知った正は心底落ち込むものの、あーだこーだあって、「ヒーローじゃなくていい… ( ´_ゝ`)」と悟ると、実験を隠蔽しようとする政府の刺客・ブルーがカメレオールを襲っているところに登場→戦わずに「君の話を聞かせてくれないか?」と対話を求めて、映画は終わってましたよ。


1975年あたりの特撮番組を意識して作られたヒーローが、己の価値観を揺さぶられまくるというね。



本作で一番褒めたいのはストーリーですね。まぁ、“ヒーローを相対化する試み”自体は昔からあって、たぶん僕が最初にそういうことを意識したのは藤子・F・不二雄先生の「ウルトラ・スーパー・デラックスマン」で、最近の特撮番組やヒーロー映画でもそういった話自体はあったと思うんですけれども(例えば「スーパー!」は自警団系ヒーローの相対化だし)。本作がユニークだったのはその視点を“昭和特撮の世界”に持ち込んだところで、トゥギャザーVを単純化&オーバー気味に描くことで、「こいつ、単に正義に酔って暴力を振るっているだけなんじゃないか?(`Δ´;) ヌゥ」と、“ヒーローの暴力性”を浮かび上がらせていたのは面白かったです。つーか、昭和の特撮ヒーローを今の視点で観ちゃうとなかなか乱暴な時があるものね…。


「ウルトラ・スーパー・デラックスマン」は読んでおくと良いです(「藤子・F・不二雄SF短編<PERFECT版>」より)。



なんて言うんですかね、そういう「正義の暴走」って昨今の排他主義的な若者を想起する…なんて他人事ではなく。例えばネットでニュースの見出しを読んだだけで「おのれ、上級国民め!ヽ(`Д´)ノ」などと見当外れの怒りを安直にボーボー燃やしがちな僕(46歳)も当てはまったりする部分であり(汗)、非常に良いテーマを扱ったんじゃないかしらん。「敵に対話を試みる」というラストも大好きなんですが、最近観たインディーズ系ローカルヒーロー映画「ライズ ダルライザー NEW EDITION」が同じような展開をしていたから「シンクロニシティ ( ゚д゚)」と思ったし、とは言え、向こうと違って本作は「ヒーローを捨てている」というのも考えさせられましたね(そういう点で、本作は「ヒーロー映画」ではなく「ヒーローじゃなくていい映画」って感じ)。その他、正が“昭和特撮の世界”から“現実”に目覚めると、スタンダードサイズ(4:3)だった画面がシネスコサイズになるのも工夫が感じられて良かったですな。


職業怪人カメレオールもいい味だしてましたな。監督曰く、モグラ獣人の影響を受けているとか。



だがしかし、残念ながら、物語と世界観に予算が追いついていない印象もスゲー強くて。序盤の昭和特撮風の場面ではまだチープさがプラスに働いていたものの、後半の真剣なムードになると画面の安さが結構キツく感じた次第。ただ、松本純弥監督が自費で約10年かけて作ったインディーズ映画だから仕方ないということでね、僕的には「頑張りましたな ( ´_ゝ`) エラソウ」という感想でございます。とりあえず特撮モノが好きな“特撮者(とくさつもの)”なら、ぜひ優しい目でチェックしてみてくださいな。何はともあれ、DVDをプレゼントしてくれたひだっちょさん、ありがとうございました!ヽ(`Д´)ノ オシマイ




すでにサントラ付きDVDが発売されているのです。



なんとなく一番好きなヒーロー映画を貼っておきますね。僕の感想はこんな感じ