ビール・ストリートの恋人たち(ネタバレ) | 三角絞めでつかまえて2

ビール・ストリートの恋人たち(ネタバレ)

ビール・ストリートの恋人たち



原題:If Beale Street Could Talk
2018/アメリカ 上映時間119分
監督・製作・脚本:バリー・ジェンキンス
製作:アデル・ロマンスキー、サラ・マーフィ、デデ・ガードナー、ジェレミー・クレイマー
製作総指揮:ミーガン・エリソン、ブラッド・ピット、サラ・エスバーグ、チェルシー・バーナード、ジリアン・ロングネッカー、マーク・セリアク、キャロライン・ヤーツコー
原作:ジェームズ・ボールドウィン
撮影:ジェームズ・ラクストン
美術:マーク・フリードバーグ
衣装:キャロライン・エスリン=シェイファー
編集:ジョイ・マクミロン ナット・サンダース
音楽:ニコラス・ブリテル
音楽監修:ゲイブ・ヒルファー
出演:キキ・レイン、ステファン・ジェームズ、コールマン・ドミンゴ、テヨナ・パリス、マイケル・ビーチ、デイブ・フランコ、ディエゴ・ルナ、ペドロ・パスカル、エド・スクレイン、ブライアン・タイリー・ヘンリー、レジーナ・キング、フィン・ウィットロック
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パンフレット:★★★★(800円/タメになるコラムを4本も収録。「アナログ盤のサントラ」を意識したようなデザインも素敵)
(あらすじ)
1970年代、ニューヨーク。幼い頃から共に育ち、強い絆で結ばれた19歳のティッシュ(キキ・レイン)と22歳の恋人ファニー(ステファン・ジェームズ)。幸せな生活を送っていたある日、ファニーが無実の罪で逮捕されてしまう。2人の愛を守るため、ティッシュとその家族はファニーを助け出そうと奔走する。だが、その前には様々な困難が待ち受けていた……。(以上、MovieWalkerより)

予告編はこんな感じ↓




70点


※本作については、はちごろうさんのレビューを読むと良いです。

2月22日に公開されて、3月中旬に観た映画の感想を8月にアップする…なんて状況になったことについては、海より深く反省するとして。バリー・ジェンキンス監督の前作「ムーンライト」には感動させられたものの、基本的には半裸のマッチョが「オッス!(`Д´)ノ」「オッス!ヽ(`Д´ )」と殴り合うような映画が好きなのでね(苦笑)、本作に関してはそれほど観る気がなかったんですけれども。日々愛聴しているラジオ番組「アフター6ジャンクション」にて、敬愛する宇多丸師匠が監督にインタビューしていたとなれば、なんとなく観に行かなくてはならない気分になってしまうのがファン心理。そんなワケで、3月14日=TOHOシネマズデイを利用して、仕事帰りにTOHOシネマズ シャンテで鑑賞いたしました(その後、「トラさん 僕が猫になったワケ」をハシゴ)。「確かに良い映画だけど… (´・ω・`) ウーン」と思いましたよ。


スクリーン3、それなりに混んでいたような記憶。


劇場ロビーには、監督のサイン入りポスター&記事の切り抜きがありました。



まず、原作者のバリー・ジェンキンス「テメェ、ふざけるなよ ( ゚д゚) コロスゾ」と激怒して墓から蘇りそうなほど雑なあらすじを書いておくと、舞台は1970年代のニューヨークのハーレム地区。ティッシュ(19歳)が幼馴染みで恋人になったファニー(22歳)の子どもを身籠もるも、ファニーったら白人警官ベルの恨みを買っちゃって、強姦罪の濡れ衣を着せられまして。まったくの冤罪だったので、それを証明しようと「あーだ!ヽ(`Д´)ノ」「こーだ!ヘ(゚∀゚*)ノ」「そーだ!m9`Д´) ビシッ」と頑張ってみたけど、結局、無理。レイシスト警官は裁かれないし、ファニーは服役することになるものの、「オレたちの心は折れないぜ!川`Д´)人(`Д´)ノ ウォォォォッ!」ってな調子で終わってたんじゃないかしらん。


なんとなく“心が折れないヂギール戦士”ユリー・チャコフスキーを貼っておきますね(「グラップラー刃牙」より)。



そりゃあ、とても良い映画だとは思うのですよ(奥歯に物が挟まったような文章)。簡単に書くと、上品で美しい社会派純愛メロドラマという印象。フィクションではありますが、キャスリン・ビグロー監督作「デトロイト」の題材になった酷い事件が実際にあったように、こんな酷い黒人差別も普通にあったんだろうなと思わせるリアリティがあって。とは言え、そんな理不尽かつハードな状況を男色暖色を意識した美しい撮影&ムーディーな音楽で詩情たっぷりに描くことで、「冤罪で服役することになりました&差別白人警官ベルは何の責任もとりません」という最悪なオチにもかかわらず、鑑賞後は「理不尽な社会に対する怒り」だけでなく、「でも、人が愛し合うって素敵やん (´∀`)」的な余韻が残るのだから、バリー・ジェンキンス、恐るべし!Σ(°д° ) クワッ! 

様々な助演女優賞を受賞した母親役のレジーナ・キングを始めとする役者さんたちも素晴らしかったし(主演に新人女優のキキ・レインを起用した姿勢も好き…というか、この人が超可愛い!)、社会的マイノリティたちが助け合う姿を見せたり、実はマチズモが事件の遠因になっていたり(白人警官ベルだけでなく、ファニーも)、偽証した「レイプされた女性」をちゃんと被害者として描いたりしているのも見事だなぁと(「せっかくプエルトリコまで行ったのに…」という絶望感が半端ない展開でしたな)。その他、本作の原作小説を書いたのはアメリカの作家ジェームズ・ボールドウィンということで、昨年、彼が“主要人物の1人”として登場する「私はあなたのニグロではない」をなんとなく観ておいてスゲー良かったと思ったり。


「私はあなたのニグロではない」の予告編を貼っておきますね↓




ただね…。パンフに載っていた本合陽先生のコラムによると、ジェームズ・ボールドウィンは「愛」の力を信じている作家だそうで。それってバリー・ジェンキンス監督の「ムーンライト」にも通じるところがあって、ううむ、僕だってビスケット・オリバ「愛以外に人を強くするものなどあるものか」という言葉を信じていたりしますけれども。とは言え、ごめんなさい、やはり「レイシスト警官ベルが何の裁きも受けずに終わる」というオチに納得がいかないというか、ああん、「ビール・ストリートが語ることができたなら!ヽ(TДT)ノ キィィィッ!」と、ほとばしるほどモヤモヤしたので70点という心の狭いアタシ (´・ω・`) スミマセン まぁ、前述したように、基本的にはとても良い映画なのでね、もうすぐソフトも発売されるし、気になる人は観てみてくださいな。


ビスケット・オリバの名言を貼っておきますね(「バキ」より)。



ということで、聴いてください、magical²「愛について」(ラジオパーソナリティ風にドヤ顔を添えてーー)。




おしまい。




ジェームズ・ボールドウィンによる原作小説。ヘビーそうですな… (`Δ´;) ウーム



デジタル盤のサントラ。国内CD盤輸入アナログ盤もあります。



バリー・ジェンキンス監督の前作。僕の感想はこんな感じ



8月21日にはソフトが発売される予定でございます。