何度か平泉は訪れていましたが、一か所だけずっと未訪問だったのが、毛越寺庭園です。
とせぅも、先入観で「お庭?」という感覚と、建物群が無いものとばかり思っておりましたので、ず~と行かずじまいだったのです。
それが、今回、訪れてみようと思い立ったのは、ここが紅葉の名所だったと一応、知っていたからです。
で、達谷窟毘沙門堂さまをお暇しまして、15分くらいでしょうか、車で4号線方面へ走りますと、ちょうど毛越寺庭園の正面に出ます。
道路からは中の様子は全くうかがえませんので、ここにこれだけ素晴らしいお庭と景色と仏さまが居られることは、拝観料を払って中に足を踏み入れた方しかわからないようになっていいるのです。
2019/11/01撮影 毛越寺庭園 浄土庭園
大泉が池と出島石組/池中立石、対岸は阿弥陀さまの居られる
常行堂前の紅葉
本堂でお薬師さまをお詣りした後、浄土庭園へと向かう道すがらでもう、この景色↓が目に入ります。
ちなみに毛越寺庭園は天台宗毛越寺、というれっきとしたお寺様の境内となります。ですから復元とはいえ、立派な本堂と仏様がおわします「本当の!」浄土庭園なのです。
このお庭が800年前にすでにこの地にあったと聞かされますと、もう、驚異としか思えませんでした。
〃 築山脇の杉林
〃 開山堂前の紅葉
この時期はまだモミジはこんな感じの紅葉でした。あれからもう10日以上たっていますので、お庭は真っ赤に染まっているのではと思います。
〃 嘉祥寺跡の基壇杉林
こちらの木はまだ若いせいか、すでに赤く染まっていました!。
〃 常行堂前の大泉が池のモミジ
この時期は厳美渓方向にお日様が沈むようで、池越しに逆光で撮影すると、こんな風↑に綺麗に撮れます。
〃 鑓水と一本モミジ
平安時代の唯一の遺構です。800年経った現代でも、古の時代と同じく「曲水の宴」が催されるそうです。
発掘された姿のままでも、高度にしかも緻密に設計されたことが伝わってくる、実に印象的な「人工」の流れです。
〃 常行堂前の地蔵菩薩さま
〃 常行堂扉と鑓水紅葉
常行堂には実に印象的でお優しいお顔の阿弥陀如来さまが居られます。さらに秘仏の「摩多羅神」さまが祀られておられるそうです。
小生はこの阿弥陀さまに惹かれるものがありました。
〃 鐘楼
今の時代の鐘楼です。授与所で500円をお支払いしますと一回だけ鐘を突けます。その祭、「そっと優しく突いてください・・・」と言われます。
さらに阿弥陀如来さまの梵字が書かれた木札が渡されて、氏名を書いて木札を二枚に割り、一枚を願掛けしながらお供えして、もう半分をお守りとしてお持ちいただけます。
お供えした半分は阿弥陀如来さまへお焚き上げしていただけるそうです。
このような手順での「鐘突き」は初めてでございまして、毛越寺さまでの浄土庭園訪問が実に趣深いものになった次第でございます。
藤原氏三代で築き上げられた、この毛越寺さまと浄土庭園は惜しくも灰燼に帰して、大半は自然へと戻ってしまいましたが、今また発掘されて往年の輝きを伝えてくれます事物は、絶対に一見の価値がございます。
清浄な平泉の地の景色と相まって、実に際立ってくるこの時期の浄土庭園は訪れた方々にきっと、何かを印象付けていただけると思います。
もし、往時の建物群が残されていれば、宇治の平等院鳳凰堂を優にしのぐ壮麗なお堂群が、この浄土庭園を前景にして浮かんで見えていた!!、と想像するだけでワクワク致します~。