大和民族のルーツを訪ねる旅   黒潮の民の物語り | 西尾浩史のブログ

西尾浩史のブログ

元kamekichihiroこと西尾浩史と申します
先祖の産土から採ったペンネームです
簡単な経歴を申し上げておきます
中部地方某県生まれ
学歴は以下の通りです
国立大学附属小学校、同中学校卒
地元高校進学後、国立大学卒業
経済学学士、土壌医
元金融機関職員です

未だ秋が深まる前、山の木々が色づき始めたばかりの新月の晩、雷鳴のような音と共に峠を越えて、ひと塊になった騎馬軍団がイ族の村を襲った

彼らは馬に跨ったまま次々と火の付いた矢を放ち、村の民は悲鳴をあげて逃げ回っていた

男共も反撃のための弓を手にすることさえ出来ず、ただ家族を安全な場所に移動させようと必死であった

この晩、この村の民は生まれて初めて遥か北方より峰々を越えてやってきた異国の民に襲われたのだった

おそらく、イ族がチベットからこの西江の山奥に移り住んでから一度もこの日のような出来事は無かったのだろう

村の長老たちも年中雲に隠れた峰々を越えて夷狄が攻めてこようとは考えるべくもなかった

口伝えされてきた民族の歴史にもそのような話は無かったのだ

先祖から受け継いだ村を突然捨てなければならくなってから暫くして、いつの間にか村の民は散り散りとなり、多くの家族が急ごしらえの筏に乗って西江を下って行った

 

なぁ、シエよ

ここはどこなのだろうか

お前に分かるはずもないが、私にも何か果てしもなく水の広がる大平原のまっただ中を漂っていることしか分からない

 子供は大丈夫か

 

はい、この子は生まれた時から良く寝る子ですから、ずっと何事もなかったように眠り続けています

大丈夫ですよ

マニ、あなたの子ですからきっと丈夫な子供なんですよ

 

そうか

米を干したものと、去年穫れた豆を麻袋に詰めてきたから今しばらくは心配ないが、子供に与える乳が出なくなることだけが心配だ

どうもさっきから、筏の周りに小さな魚が寄ってきているが、川に住む魚とはちょっと様子が違うようだ

とにかく数が多いし、しかも皆鱗が光っている

眩しいくらいだ

米粒を落としておけば手桶で掬えるかもしれない

川で捕れるものとは違うが同じ魚なのだから、多分食べられるだろう

ところで、シエよ

さっきから丘の風景が少しずつ変わってきているが、この穏やかな水の平原は自然と動いているのだろうか

川のように流される感じはしないのだが

んっ

この水は塩の味がするぞ

 

 

 

以前の私のブログを再掲しました

いまこそ私達大和民族は原点に立ち還るべきではないでしょうか