弁当箱

　正月、実家に帰ったのだが、その

時、母が

これいるか？

と、ある物を私の前に差し出した。

中学生の時に使っていた弁当箱だ。

懐かしい。私は弁当箱を貰い受け、

その後、姉家族たちと初詣に行っ

たりして過ごし、実家を後にした。

部屋に戻りカバンから弁当箱を取り

出し再び眺める。それにしても懐か

しいな…

と、ここである光景を思い出した。

おかずが千切りした大根の漬け物

のみの真っ白弁当。中学生の私は

その日、家に帰り母とケンカした。

もちろんそのようなことは稀で、

いつも弁当は美味く、毎日昼が来る

のを楽しみにしていたのだが、なぜ

か思い出す光景は、不思議とそのよ

うな出来事だったりする。

私は苦笑しつつ、弁当のフタを開け

てみた。

なんと、私が幼稚園に通っていた頃

使っていた弁当箱が弁当箱の中に

入っていた。

と、ここである光景が閃光のごとく

脳裏に蘇った。

真っ黒な巨大昆布巻きが2つ入った

黒光り弁当。

巨大昆布巻きは園児の私にはキツか

った。残せばいいのではと思う方が

いるかもしれないが、私の通う幼稚

園では弁当を残さず食べなければな

らず、空になった弁当箱を先生に見

せに行かなければならないというシ

ステムであった。泣きながら食べる

可哀想な私。

　強烈だった弁当2選を思い出してし