エンタメジャンキー記録。映画、マンガ、小説など消費したソフトの感想。 -30ページ目

世界の終わり、あるいは始まり

歌野晶午


小学生連続誘拐殺人事件が発生

身代金要求は子供の携帯から、親の会社アドレスにメールで連絡が

要求金額は事件ごと200万から50万程度

他の誘拐事件に比べると安価であり、被害にあった各家族が現金ですぐ用意可能な現実的金額だった

いずれの事件も警察が身代金受け渡し現場を張るが犯人は現れず

後日、児童が死体で発見された

一連の事件で殺害に使われた凶器が同じ拳銃であったため、同一犯と断定

拳銃は女性や子供でも撃てるくらい軽量で小口径のものだった


主人公は会社員

小学六年生の息子と一年生の娘がおり、近所で起こった事件を恐ろしく思いながらも、どこか他人事として構えていた

ところが、息子の部屋で犯行に使用された拳銃と、被害者の親の名刺を見つけてしまい…


以下ネタバレ


自分の息子が事件に関与している

もしくは、

犯人かもしれない

この戦慄すべき現実を前にした父親の、妄想シュミレーションが数章に渡ってパラレルワールド的に展開される

しかしどの妄想も結末は絶望的悲劇にしかなりえない

いずれ警察の捜査が我が家に及ぶその時までに

息子を問いただし真実を知り、共に修羅の道をゆくか

あるいは

気付かないふりをして、崩壊までのゆるやかな安穏を過ごすのか


ラスト

幸福な日常世界の終わりなのか始まりなのか

その結末には賛否分かれるだろう

ただ、この物語の終わり方としては、それしかないだろうなぁと思った

いずれの選択にも正解はないが

もし自分が主人公なら、逆の結末を選ぶかもしれない

ミステリとしては実験的だから好き嫌いはあるだろうが、読みごたえのある衝撃的な作品であることは間違いない

ドロップ

正直ちょっとナメてたけど認識を改める

ドロップは間違いなく青春映画の傑作だ


こんなにも面白いとは予想すらしていなかった

笑えて泣けて感動できる

娯楽のツボを全部おさえて、バランスよく配合している


初めての長編監督であれだけ撮れるとはすごい才能だ

そして脚本が抜群に素晴らしい

シナリオの秀逸さは、北野武「キッズリターン」や「GO」宮藤官九郎に肩を並べるほどだ

これだけの才能を持った書き手が、いまの日本にどれだけいるだろう


北野武が言っていた


例えばお葬式のシーンで泣き崩れる人物を見せるよりも、犬が何も知らず嬉しそうにシッポ振って吠えてるのを見せたほうが悲しい


品川は北野武になるかも知れない

GOEMON

なんていうか、

すごかった

CGのクォリティがどうだとか、そんな議論はもういい

この物語はこういう寓話的ビジュアルの世界観で話をすすめるが分かったな

とでも言わんばかりに、

冒頭から圧倒的パワーで観客をカタにはめようと挑んでくるから

素直に乗ってけば、ザッツ紀里谷ワールドを楽しめる

アニメっぽすぎるスペクタクルバトルシーンも、個人的には好きだった


新たな発見は、

江口洋介がメチャクチャかっこいいってこと

謎を追う捜査官とか、お悩み系の役が続いてたが

こんなにもカッコよいとは知らなかった!


正義の暴れん坊であり、大胆不敵な野獣戦闘マニア

ワイルドな男の魅力全開で五衛門という役を嬉々として演じている


言いたいことをそのままの言葉で登場人物に喋らせてしまう、ヒネリのない脚本は前作から進歩がなくいただけないが

エネルギーの塊をド直球で投げつけてくる作り手の少年のような純粋な勇気に

ちょっとグッときた