『わたしを離さないで』カズオイシグロ
「介護人」キャシーの回想録として物語は綴られていく。
キャシーが語るヘールシャムというプライベートスクールでの生活。
いわゆる学園ドラマなのかと思いきや、
実はこの学園が特殊な施設であることが徐々に明かされていき、
中盤で突如、近未来SF的設定が明らかになって驚かされる。
(ある程度予測はしていたが「ここでか!」って場面でいきなりくる)
そして最後にはキャシーと関わりを持った人物たちの、生命と愛の結末が描かれていく。
叙述的ないくつもの挑戦を、それと気づかせず文章に迷彩する、筆者の自制心と技量が凄まじい。
娯楽と文学が最高のバランスでブレンドされた大傑作。
登場人物たちの背景や真意が少しずつ明かされていく設定も面白く、ぐいぐい物語に引き込まれた。
読後、静かな感動がずしんとお腹にたまった。
キャシーが語るヘールシャムというプライベートスクールでの生活。
いわゆる学園ドラマなのかと思いきや、
実はこの学園が特殊な施設であることが徐々に明かされていき、
中盤で突如、近未来SF的設定が明らかになって驚かされる。
(ある程度予測はしていたが「ここでか!」って場面でいきなりくる)
そして最後にはキャシーと関わりを持った人物たちの、生命と愛の結末が描かれていく。
叙述的ないくつもの挑戦を、それと気づかせず文章に迷彩する、筆者の自制心と技量が凄まじい。
娯楽と文学が最高のバランスでブレンドされた大傑作。
登場人物たちの背景や真意が少しずつ明かされていく設定も面白く、ぐいぐい物語に引き込まれた。
読後、静かな感動がずしんとお腹にたまった。
『雪冤』大門剛明
タイトルの雪冤とは、冤罪を雪(そそ)ぐ、という意味
主人公の息子が殺人事件の犯人として、死刑判決を受けた
しかし息子は犯行を否認、冤罪を主張している
死刑執行が刻一刻と迫るなか、息子の無罪証明に奔走する父
そんなとき、真犯人を名乗る人物からの電話が…
父は息子の冤罪を晴らすことができるのか
死刑制度に問題提起する、社会派ミステリー
物語中盤にショッキングな展開があり、一気に盛り上がっていくかと思いきや
残念ながら後半はボロボロ
失速してバテバテに
小手先のどんでん返しに終始して、肝心の主題まで白々しく感じてしまった
ミステリーを読んでいてよく疑問に思うのは、
そんな理由で人を殺すかなぁ
ということ
犯行動機にリアリティーがない作品が多い気がする
例えば、石持浅海作品などはミステリー的な物語設定はどれも秀逸で面白いが、いかんせん犯行動機が脆弱すぎて、解決編で興ざめしてしまう
一方、宮部みゆき作品は殺害や自殺の動機を、すんなり読者に納得させる
「理由」「模倣犯」のように、犯行の動機が常人の理解を超える場合でも、読者に考えさせる工夫をきちんとしている
本作は犯行動機や真相が、物語を展開させるための装置でしかなく
訴えたいテーマを色んな登場人物に、直球でしゃべらせているが
逆に白けてしまった
もっと丁寧に登場人物のキャラクターを描けていれば、面白くなったかもしれない
主人公の息子が殺人事件の犯人として、死刑判決を受けた
しかし息子は犯行を否認、冤罪を主張している
死刑執行が刻一刻と迫るなか、息子の無罪証明に奔走する父
そんなとき、真犯人を名乗る人物からの電話が…
父は息子の冤罪を晴らすことができるのか
死刑制度に問題提起する、社会派ミステリー
物語中盤にショッキングな展開があり、一気に盛り上がっていくかと思いきや
残念ながら後半はボロボロ
失速してバテバテに
小手先のどんでん返しに終始して、肝心の主題まで白々しく感じてしまった
ミステリーを読んでいてよく疑問に思うのは、
そんな理由で人を殺すかなぁ
ということ
犯行動機にリアリティーがない作品が多い気がする
例えば、石持浅海作品などはミステリー的な物語設定はどれも秀逸で面白いが、いかんせん犯行動機が脆弱すぎて、解決編で興ざめしてしまう
一方、宮部みゆき作品は殺害や自殺の動機を、すんなり読者に納得させる
「理由」「模倣犯」のように、犯行の動機が常人の理解を超える場合でも、読者に考えさせる工夫をきちんとしている
本作は犯行動機や真相が、物語を展開させるための装置でしかなく
訴えたいテーマを色んな登場人物に、直球でしゃべらせているが
逆に白けてしまった
もっと丁寧に登場人物のキャラクターを描けていれば、面白くなったかもしれない
『それでも恋するバルセロナ』
大好きなウディ・アレン監督の最新作
いつもどおり面白かった
ウディ・アレン作品の登場人物たちはいつも、モラルとかルールをふわっと軽妙に踏み外しちゃう
えっ、そりゃダメだろ?
という小さなビックリがいくつも仕掛けられていて面白い
そして毎度ながらキャストたちが素晴らしい
ハビエル・バルデムが遊び人を演じているのだが、なるほどこいつはカッコいい、と説得力のある雰囲気を醸している
そして、奔放なアーティストを演じるペネロペ・クルスは、カリスマ全開で悪魔的魅力を放っている
この二人が突出して素晴らしかった
いつもどおり面白かった
ウディ・アレン作品の登場人物たちはいつも、モラルとかルールをふわっと軽妙に踏み外しちゃう
えっ、そりゃダメだろ?
という小さなビックリがいくつも仕掛けられていて面白い
そして毎度ながらキャストたちが素晴らしい
ハビエル・バルデムが遊び人を演じているのだが、なるほどこいつはカッコいい、と説得力のある雰囲気を醸している
そして、奔放なアーティストを演じるペネロペ・クルスは、カリスマ全開で悪魔的魅力を放っている
この二人が突出して素晴らしかった