劇団ヘロヘロQカムパニー第41回公演「悪魔の手毬唄」 | 錆びた館 分館3

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のつづき

声優としての仕事が多い関智一さん座長の劇団公演、これまでも何度か手掛けてきた横溝正史原作金田一耕助ものから『悪魔の手毬唄』

これがねえ、どういうわけか未だに原作読んでなくて。なものだからなのか、市川崑の映画版もこれは劇場で見てなくてずっと後でテレビで流し見しただけ。多分前宣伝でシリーズとしてはゲスト出演俳優が今度犯人役をやるんですよなんてたくさん出てたので見る気なくしちゃったんだろな。というわけであらすじすごくうろ覚えというある意味理想的な観劇前知識持ち。

関さんの当たり役ではないかと思う金田一耕助、今回も絶好調。

最近『逃走中グレートミッション』でお仕事ご一緒してる置鮎龍太郎さん今回見た目はバシッとした警部補なのに時々コメディ担当という意外さ。

客演の三石琴乃さん期待以上の素晴らしさ。若手の小野賢章さんも爽やかで、佐倉綾音さん劇団と同い年とか。

最初にこの劇団の公演見たのが『獄門島』で(もう10年以上も前だったか!)このときも磯川警部演じられてた辻親八さん続演。これがすごく良くって、この話全体磯川のためにあるような話ですよね、そこのところを港南使い分けながら奥行きのあるリアルな人としてられてて、ずっと惹きつけられました。

そしてこの劇団の特色と言ってもいいのではないかと思う舞台転換の見事さ。話からして色んな場所が次々に登場して、多分脚本段階で読んだだけではどうやって舞台にするんだろと不安になるくらいではないかと思うのですが、中央の大きな回り舞台を何通りにも使い分け、左右にも小規模な回る装置を配し、高低差もあり、幕を下ろすとそこにプロジェクションマッピングでまた違う光景と。6時開演で途中15分休憩挟んで終演が9時半過ぎという長丁場なのですが、飽きることないどころか。ずっと目を引きつけられっぱなし。

あらためて話を理解すると、横溝原作ではだいたい重要な要素になる血の問題に、美醜や外見による疎外感とこれは時代関係なくどころか今なおさら重要な事になってるのではないかというものが、犯人の動機とそれ以外の人の動機への組み込まれ方が巧みで、中心にこの死体は誰かというミステリの古典的主題置くものだからまたうまく目くらましになってるし、とまあ今更な感心したり。

そしてもう一つ。最近テレビで音楽が人体、人の心などにいかに深く影響するかというのをやってたようなのですが、この話も手毬唄が連続殺人のきっかけの一つともなってるだけでなく、歌が人を救うことにもなるというとこまで入れ込んでて、題名に『唄』の文字を入れ込んでるだけのことはあるなあとこれまた今更な感心なのでした。

それにしてもこの劇団の公演で『犬神家の一族』『八つ墓村』など見逃してたのが悔やまれる。公演期間中こちらの仕事の都合がうまくつかないときだったのかな。DVDなどもあるようですが、やっぱり生でみたいですよねえ。再演してくれないかな。