マーベル映画『シャン・チー』ではラスボスお父さんだった梁朝偉トニー・レオンと、若手の二枚目王一博ワン・イーボーの共演で汪兆銘政権、日本軍による傀儡政権下の上海を舞台に大体1937〜46年あたりの複雑な情勢のなかの密謀やらなにやらの秘密工作などというエスピオナージ映画。ただでさえちょっとややこしい設定なのに始まって30分くらいは誰がどこで今の場面は何、と意味を取りかねるところが続きますが、それでも面白く見ていけるのはどういうわけなのか。すべての場面の意味は映画終わる頃にはやっとわかってくんですが、役者に力あって撮影がちゃんとしてると(そしてもちろん、場面の意味を監督が完全に把握してると)意味なんかわからなくても見てられるんだなあというのが驚き。それにしてもそんな傀儡政権下で日本軍とも協力してる政治保衛部員の映画をよく今の中国で作れたなあと思うのも見終わるとなるほどですが、と、登場する日本人、主に軍人の台詞まわしがどうもあやしいのを気にしなければ全編の張り詰めた画面、映像を楽しめるのではと思います。この映画のちょっと前にはもっとスパイ活動に重点置いた張芸謀チャン・イーモウ『崖上のスパイ 懸崖之上 』もあったし、流行ってたのかな。
ともかく硬軟いろんな顔を見せる梁朝偉、ずっと何かを秘めてる王一博の主演二人を見てるだけでも楽しいしもちろん美女も出てきます。