最後に地域医療の情報共有システムについてお伺いいたします。
感染症における医療体制では、いかに早く関係機関と情報を共有し対応できるかは、
患者の命を救えるかどうかを左右する重要な課題でありますが、
今回の新型コロナウィルス感染症対策について、感染者の情報の連絡をFAXや電話、メールなどで行い、その情報共有の在り方が問題となっておりました。
このような現状から、他の自治体では早期にIT企業とコラボし情報共有システムを立ち上げた
自治体もありました。
私は本年5月に医療、介護、教育関係者らと新型コロナウィルス感染症対策推進協議会を立ち上げ、現場のヒアリング、アンケート調査、医療行政への政策立案を行っておりました。
その政策立案の中の一つとして広域災害、救急医療情報システムを準用したプラットフォームを
整備し、救急車と保健所、医療機関、介護現場とを情報を共有し連携するシステムを
提案してまいりました。
その後全国共通の情報共有システム「ハーシス」が運用されることになり愛媛県も6月に導入することになりましたが、現在「ハーシス」は運用上の問題が報道されています。
利用する医療機関は11月時点で4割しかなく、運用については利便性が悪く、
入力項目が症状、感染経路など約100項目にも及び、
最低限の入力でよいとしながらもパソコンで画面をずっとスクロールしなければならず、
プリントアウトは何枚にもわたるという苦情が出ていると聞いています。
これでは現場の負担をさらに重くし本末転倒といえます。
またハーシスでは救急現場、介護現場との連携は入っておりません。
患者情報は生命に関わるため関係機関と迅速に連携していくことは喫緊の課題であります。
医学博士の奥真也氏は「世界のトレンドは医療情報の活用に向かっている。すなわち、医療情報が個人のプライバシーに密接にかかわる存在であり、
プライバシーが優先されるべきことを前提としつつも、
社会の共有財産としての医療情報の価値を最大化し医療の発展に役立てようとしている。」
と述べています。
今回のパンデミックにより、医療に関する情報活用の精度が高まり、それを活かしていこうと世界中が動いています。
現在、全国でオンライン診療、遠隔医療などが広がってきておりますが、コロナ禍で急速に進められた情報共有システムはデジタル化によってさらに進化しようとしています。
厚生労働省では、2018年から医療、介護、個人の健康管理情報など、これまで分散していた情報を連結させ、ビッグデータを構築し、これを基にAI解析などを加えデータをより実効性のある
サービスにしようとする「データヘルス改革」を進めてきました。
これは今後予防医療、健康増進、創薬にも生かしていくことができ、
日本の未来の医療はさらに大きく発展していくことが予想されます。
公衆衛生は組織的な努力を通じて、病を予防し、健康増進を図るものであります。
その地域に住んでいる全員が互いに意識を高め合い、協力していくことが重要です。
その情報をどう共有し、生かしていくのかについて
今回の新型コロナウィルス感染症を通して、今一度考えていく必要があると思います。
そこで、愛媛県の地域医療の情報共有について3点お伺いいたします。
第一に、愛媛県内で活用している情報共有システムハーシスについての運用状況や医療機関の登録の現状についてお教えください。
第二に、救急車と保健所、医療機関、介護現場との情報共有についての現状と今後の方針についてお聞かせください。
第三に、今後の医療の発展のため、国が進めているデータヘルス改革に向けての県の現状についてお聞かせください。
以上で質問を終わります。