質問に先立ちまして
この度の新型コロナウィルス感染症でお亡くなりになられた方に対しまして
ご冥福をお祈り申し上げますとともに感染された皆様の一日も早いご回復をお祈り申し上げます。
そして日々感染リスクを向き合い対応に当たられているすべての県民の皆様に感謝申し上げ、
中村知事はじめ県職員の皆様のご努力に敬意を表します。
また、この度は報道関係者の皆様におかれましても連日詳細な情報を発信していただき、
深く感謝申し上げます。まことにありがとうございます。
さて、質問も最終日になっておりますので、わたくしからは新型コロナ対応について、総括的な内容として、愛媛県の危機管理体制、そして住民に向けてどのように情報発信していくのか、
最後に地域医療の在り方について取り上げてまいりたいと思います。
わたくしは医療の現場で20年以上働いて参りましたが、医療を学んだ場所や働いた場所は岡山、大阪、神奈川、東京など全国にわたり、またアメリカの病院で学んだこともありました。愛媛県においては愛媛大学病院の地域連携室や基幹病院、開業医にも勤務し
議員になる前までは介護の現場で働いておりました。
学生時代の友人には保健師をしている人もいます。
そのため友人やかつての同僚など、幅広い分野から今回の新型コロナウィルス感染症に関して直接話を聴くことができました。
その中で感じたことはいかに迅速に、正確に情報を共有していくことが何よりも重要であるということでありました。
ウィルスが感染していく速度はこのグローバル社会においては世界中に広がるスピードは速くまた今回の新型コロナウィルスは非常に強い感染力を持っていると早期から警告されていました。
住民の命を救うのはどんな小さなことでも見逃さない情報収集能力と事態を早期に予測していく分析力、そして積極的に情報発信をしていくことが重要であります。
今回は各専門家の提言を参考にしながら「情報」を一つのキーワードとして質問をしてまいりたいと思います
まずはじめに、危機管理における対策本部の在り方についてお伺いいたします。
愛媛県下における新型コロナウィルス感染症対策において、意思決定を行う最高機関は対策本部にあると考えております。世界同時多発的に発生したパンデミックにおいては県内外、そして海外の動向など情報を集め、各部局と情報を共有し、愛媛県としての方針を決定していかなければなりません。
そして県民にわかるように意思決定プロセスを明確にし情報公開を行っていく必要があります。
今回のように未知のウィルスに関しては世界中の研究者が様々な研究発表を出しており、
ウィルスに関する情報や対策についても時間の経過とともに変化しておりました。
そのため第三者的立場の専門家を交える際には意見の偏りがないよう多方面から人材を集め、
判断していく必要があります。
感染症の対策は自然災害と違って事態が起きる前から事前に協議しておく必要がありますが、他県では中国武漢の発生のニュースが報じられてすぐに対策に乗り出し、
国内で初めて感染者が発生した1月には対策本部を立ち上げている自治体もありました。
しかしながら愛媛県の対策本部では県内で初めて感染者が確認された3月2日の日に立ち上げており、事態が起きてからの対応となってしまっておりました。
組織体制の整備については初動が遅かったと考えております。
また対策本部会議の議事録を拝見してきましたが、松山市との合同会議の議事録は知事からの報告と松山市長のあいさつのみで5分程度で終わっておりました。
これではあらゆる分野で協議がなされたとはいえないのではないでしょうか。
その後県内20市町との合同会議は開催されていたものの重要な意思決定機関である対策本部会議は6月から11月初旬まで開催されておらず、
感染者が急増した11月20日に再開していますが、感染症は長期にわたる対策が必要であり、
常に各部局と密に情報共有していく必要があったと思います。
国の新型コロナウィルス感染症対策分科会会長の尾身茂氏によると、
感染症対策は感染症が発生する前の平時から、さまざまな事態を想定して
対応や体制を事前に計画、準備しておくことが基本である。
同じように緊急時のリスクコミュニケーションにおいても、それを担う組織やスポークスパーソンのトレーニングなど体制を整えておくことやメディアとの連携の構築を含めて、
平時における事前準備が欠かせないと述べています。
あらゆる事態を想定し計画、準備していくために、どのような想定をしていかなければならないのでしょうか。
災害対応マネジメントではアメリカに学ぶことが多く危機管理の世界標準とされる
インシデントコマンドシステムは緊急時における標準化された組織マネジメントの手法として、あらゆる災害に当てはめることができるとされ日本でも普及し始めています。
たとえば複合的な災害では一度に多くの人が一人の監督者に報告してしまうことで
対応しきれなくなることや、関係機関の間での調整が困難となるため、
事前に役割分担など十分な計画を立てておく必要があります。
愛媛県には伊方原子力発電所もあり、南海トラフ大地震の発生も懸念されます。危機管理の組織体制づくりは愛媛県の最大の課題であると考えております。最悪な状況を想定し、危機を乗り越えていくためにも組織マネジメントの重要性を感じております。
これまでの愛媛県の感染症に対する危機管理体制について検証し、さらには今後、自然災害や原発事故、テロなどといった緊急事態が複合して発生する恐れもあり、その際にも迅速に対応できるよう組織体制の在り方について改めて検討していただきたいと思います。
そこで次の4点についてお伺いします。
第一に愛媛県の対策本部の役割は何か、設置時期やこれまでの対策本部会議の在り方について、どのように考えているのでしょうか。
第二に今後、各担当部局と連携し情報共有や県民に対しての情報公開をどのように行っていくのでしょうか
第三に幅広い知見に基づく意思決定を行うために第三者的立場での専門家を交えた情報収集の在り方、検討の仕方について県はどのようにお考えでしょうか。
第四に感染症の対応下において、自然災害や原発事故、テロなどが同時に発生した際の
危機管理体制はどのようになっているのでしょうか。