次に、3つ目のテーマである「次世代につなぐ」から2点、質問いたします。
はじめに、森林の多面的機能の回復等についてお伺いいたします。
森林は、我々の暮らしに必要な木材や食料の確保をはじめ、景観、信仰などの文化として人の心に潤いを与えるほか、
生態系や生物の種を守り、大気を浄化し、水を確保し、
さらには、洪水、土砂崩れから守るなど、多面的機能をもっています。
また、落ち葉は腐葉土となり、分解されてできた有機物が川に流れ海に注がれるため、
山を守ることは海を守ることにもつながります。
昨年は、本県でアコヤ貝の大量へい死などが発生しましたが、海が悲鳴を上げていることと、森林の機能低下との間に関係がないとは言えないと思います。
現在の森林は、違法伐採や放置森林の増加、環境汚染により本来の機能を失いつつあり、
近年の異常な集中豪雨に耐え切れず土砂が崩れ、ひいては地球の温暖化を招く要因ともなりかねず、
また、川や海に必要な栄養分を供給できていない、いわば、栄養失調の状態となっています。
こうした中、森林の機能回復を図るための取組みが全国各地で行われており、
例えば、久万高原町のNPO法人は、拾い集めたブナの種を使って苗木を育て、
それを一本ずつ植え育てていくことで、
半世紀前まで保守されていた奥山を復元するため「ブナの森づくりプロジェクト」に取り組んでおり、時間や手間はかかりますが、次の世代のためにもその取組みの意義は大きいものと考えます。
現在、県では林業躍進プロジェクトの第二期に入り、令和元年度からの5か年計画でスマート林業の導入による円滑な林業の体質強化をはじめ、
木材需要とのマッチングの円滑化、林業や木材産業の担い手の確保・育成など、林業の成長産業化に取り組まれております。
また、「愛媛県木材の供給及び利用の促進に関する条例」の制定により、山地災害の防止、土壌、地球環境及び生物多様性の保全などを行っていくことを目的とした取組みも進められており、
森林の多面的機能の回復と向上のためには、林家の収益向上を図り、林業を維持発展させることは必要不可欠であります。
特に、台風・集中豪雨等による被害が頻発する中、雨水を吸収し水源を保つとともに、河川の流量を調整し水質の浄化が図れる水源かん養機能を高めることで洪水を緩和するなど、
山から海まで連動した環境整備が、今後はより一層重要になってくるのではないかと考えます。
そこでお伺いいたします。
森林の多面的機能の回復と向上に向け、今後どのように取り組んでいかれるのか、お教えください。
愛媛県議会インターネット議会中継
石井智恵(録画)