【苦しむ人を助け看取ってきた四国遍路の「お接待」と世界遺産について】
なぜ、「世界遺産登録」を目指すのか?
そんなことをして何になるのか、と思う方もいらっしゃるかもしれません。
しかしながら「世界遺産」はその地域の人にとって、だけではなく「世界の人にとって価値がある」ということを認め、世界にその存在を知らせ、世界規模で保護をしていく、ということになります。
四国遍路は1200年前から始まり、救いを求めて歩き、
「お接待」は修行する人を「お遍路さん」といって歩く姿に手を合わせ敬い、応援し、助けてきました。
行き倒れて亡くなった方がいたら地元の人が弔い、「遍路墓」を立てて供養してきました。
病気になった方がいて、故郷に帰りたいという方がいたら地元の方が隣の村に連れていき、また隣の村の人が次の村へ連れていってあげるという「遍路送り」をして故郷に返してあげていました。
四国遍路とともに「お接待」が今もなお受け継がれているということは世界に類のない貴重な財産であると思っています。
私は2007年、2008年に松山東雲エクステンションセンターで愛媛の古建築と「四国遍路お接待文化」について社会人講座を受講し、「お接待」について学んだことがあります。
「お接待」の中には今の社会保障といった制度がない時代に生活に困窮した人や病に苦しむ人、犯罪をしてその土地に住めなくなった人を励まし、またそのお遍路さんから学び、そして最後を看取りました。
尊い文化であり、世界の人に知ってもらい次の世代にも伝えていきたいと思っています。
そしてそのために、「世界遺産登録」は必要であると考えています。
「四国遍路を世界遺産に」するためには
『顕著で普遍的価値』があることが必要であるといわれています。
それが何であるかを「言葉」で表さなければならない課題があります。
そして、ガミニ氏は登録には「コミュニティ」が重要である。と言われました。
地域住民の人がその資産を理解し、利害関係がある人も含めて「すべての人を巻き込むこと」そして永続的に保全、管理ができること。
「世界のどんな人でも、貧しい国、豊かな国、どの国籍の人も誰もがそれに触れて感動し、そして価値があると認めること」
現在世界遺産登録されている1121の遺産の仲間入りをすることはその責任も伴う、ということ。それをどうやって果たすのか。価値を維持していく地元の人の心が大切である。
というお話をされました。
四国が本当に一つとなり、この財産をどう守るのか。それも重要な課題です。
平成22年に「四国八十八箇所霊場と遍路道」世界遺産登録推進協議会が四国四県の知事が発起人となり設立され協議が長年行われてきました。
今年は愛媛県が担当で今回のシンポジウムが開催されました。
↓
https://88sekaiisan.org/
「世界遺産」になるこということは一方で観光公害などの問題も起きてきます。
しかしながら、今の四国の風景や苦しむ人を救う人の心は後世に残しながら、それを通じて自然環境を守り、社会保障を考える機会にしていけたら、と願っています。
四国全体で再度世界遺産登録の必要性を認識し、そして四国遍路の「顕著で普遍的価値」を地域が共有していく必要があります。
この課題についてもぜひ引き続き、取り組んでいきたいと思っています。