私が働いていた吉原のお店には名物になるほどのボーイさんがいた。
この人は松下さん、良い意味で有名だったのではなく、悪い意味で他店でも有名だった。
松下さんは酒癖が悪く、酔うと手が付けられないほどに乱れてしまう。
その状態で他のソープに遊びに行くものだから、吉原で出入り禁止になったお店は数知れない…。
私が遅番から早番に移ってすぐの頃、出勤してみるとお店の入り口が開いていない。
裏口に回ってみてもカギがかかっている。
少しすると他の早番の女の子も出勤して来た。
ユキ「おはよう。入り口が開いてなくて、電話しても出ないんだよね。」
静香「ええっ、そうなの?裏口に回ってみようよ。誰か一人くらいボーイさんが起きるかもしれないよ。」
困った私達は、裏口に回ってドアをガンガン叩いてみた。
お店の裏口はボーイさん達の寮の入り口でもあったため、お店の入り口を叩いたり電話するよりも効果があるはずだった。
ユキ「聞こえないのかなぁ、そろそろお客さん来ちゃうよ…。」
お店が潰れたのかもしれないと心配になるほどの長い時間でした。
当然お店の入り口で女の子数人と最初の予約のお客さん達が、お店が開くのを待つことになる。
他の子のお客さんにも顔を見られることになるし、なんとなく私服姿を見られるのも慣れていなくて嫌な感じ…お客さんたちもなんだかそわそわしている。
そんな状態で長い時間居られないので、何度もお店に電話してみるけれど、一向に電話に出る様子もない。
30~40分も待った頃、ようやくお店の入り口のシャッターが開いた。
そこには、Tシャツにトランクス姿でボサボサの頭をした松下さんが立っていた。
お酒の臭いをプンプンさせているし、足元もフラフラでジッと立っていられないほどに酔っている。
朝だというのに、まだ酔っ払っていたんです。
松下「どうぞどうぞ、皆さんお待たせしました!」
嬢もお客さんもゾロゾロと一緒にお店の入り口を入って行くなんて経験はこのときしかしていません(汗
この松下さんは他の事でも問題を起こしています。
ある日いつものように酔っ払った松下さんは、寮に帰る途中で出勤途中の女の子に大きな声で呼びかけたんです、彼女の本名(苗字)で!
それを見ていたお客さんが嬢に
「本名は○○っていうんだね。」
なんて言ったものだから彼女も怒ってしまって、これが原因で松下さんはこのお店をクビになってしまいました。
その後も何店か吉原のお店を転々としていましたが、彼の勤まるお店は吉原にはなかったようで、他の街へ行ったようです。
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