SOHGUN-将軍- | まきばちゃんのブログ

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日々の気ままな日常を書いていきたいと思います。

ディズニープラスで配信されていた

『将軍』を見ました。




ジェームズ・クラベルのベストセラー小説をハリウッドが描くドラマシリーズです。


真田広之さんプロデュース/主演です。

役者さんは日本人でほぼ日本語。

外国人から見た日本の侍や

日本女性の偏ったイメージが変わるよう細部にまで本物にこだわって作られた作品でした。


侍といえば、全員前頭部から頭頂部にかけて髪を剃っているイメージでしたが実際には総髪といって剃らずにちょんまげを結っている人もいたそうです。

因みにドラマで剃っているように見えるちょんまげ頭ですが、実際には剃られておらず全員カツラだそうです。


日本人である私ですら、何故昔の侍はあんなおかしな頭をしていたのかよくわかっていませんでした。


侍は鎧と兜を被るのですが兜には頭が蒸れないように隙間が空いていて、その隙間に合わせて熱がこもらないように髪を剃っていたそうです。


徳川家康ら、歴史上の人物にインスパイヤされた「関ヶ原の戦い」前夜、窮地に立たされた戦国一の武将虎永と、その家臣となったイギリス人航海士按針、2人の運命の鍵を握る謎多きキリシタン鞠子。歴史の裏側の壮大な謀り事。そして待ち受ける大どんでん返し。将軍の座をかけた、陰謀と策略が渦巻く戦国スペクタルドラマシリーズです。


映像が美しかったです。

村も船もお城の塀もCGではなく全て本物です。

能の舞台も本物。

茶室も本物。

さすがはハリウッド。

お金の掛け方が違いますね。


決してわかりやすい内容ではないと感じたのですが、日本人の持っているちょっと何を考えているのかわからないところがよく表現されていて、でも最後まで見ると、「ああ、そうだったのか!」という全てが繋がるドラマでした。


私は1回観ただけでは理解できないのでもう1度観ています。

2回目の方がやっぱり内容が深く理解できる気がします。



ドラマの中でこんな言葉が出てきます。

『日本には諺がある

人の心は3つ。

1つ目は口の中、世間に見せる心。

2つ目は胸の中、友だけに見せる心。

3つ目は見つからないよう隠してある秘密の心。』


生き残りたければその心を誰にも見せてはいけない。


言葉通りに受け取ると騙されてしまいます。

現代社会でもありますよね。

社交辞令的な物言いやとりあえず場に合わせた言葉を使うなど。

決してそれが本心ではないとみんなわかっています。


怖いなぁって思いますが、私は日本人にはそういう価値観が、差こそあれ根付いていてそれがずっと受け継がれているのだと思っています。


虎永は野望をおくびにも出さず、常に策を考えています。

手懐けられない人間などいないと、虎永は敵味方関係なく人を操ります。

そんな虎永の策略は秘密の心が見えない者からすると虎永の行動が最後までわからないのです。

それを表していた人が藪重です。彼はずっとどっち付かずで結局最後まで虎永に信用されなかった家臣です。

浅野忠信さんが上手く演じていました。



鞠子役のサワイアンナさんがとても良かったです。



雰囲気も声も役にピッタリで見惚れるほどです。

八重垣の話は悲しいです。

人生は耐えられない程の試練がありその宿命からは逃れられない。

自分の心の自由の為に、その心を誰からも攻撃される事がない安全で孤独な場所、八重垣へと移すのだと鞠子は按針に話し、按針を諭します。


私は出来る事なら世の中の全ての人や生き物が八重垣など作らなくても幸せに生きていける人生になったらいいなぁと思います。

弱い立場の人や動物は辛い目に遭う事が多いのは今の時代も同じです。

自分の感情を殺して生きていく事が美徳とされていた時代に生きていた人はこうして自分の心を守っていたのかもしれません。


広松を演じた西岡徳馬さんと虎永とのシーンはちょっと手に汗握るほどでした。

紅天を諦めたと敵に思わせるには

広松の死は虎永に敵対する石堂達を油断させるには有意義な死でした。

生きる事と死ぬ事は同じで、どう死ぬかはどう生きたかと同じなのだという事が理解出来るシーンでした。


按針役のコズモ・ジャーヴィスさんは辿々しい日本語がとても良かったです。

私の実家がある横須賀にも安針塚駅があります。

なので按針という人がどのように日本で生きていたのか興味もありました。

実際に家康は按針から得られた大砲を関ヶ原の戦いでも使っています。


最初は日本人を甘く見ていた按針ですが、虎永とはじめて言葉をかわした時に、自分が敵にする相手ではないと悟ります。

その気持ちの変化も良く描かれていました。

日本語がわからないから心の目で相手を良く観察出来たのかもしれません。


そして虎永を演じている真田広之さんのオーラが半端なかったです。

かっこいいです。

いるだけで威厳が感じられました。

息子である長門を恫喝する場面ではあまりの迫力に虎永が乗っていた馬が驚いて暴れました。

リアルな暴れ方でヒヤッとしました。

すぐに抑えて演技は続いていましたがとても印象に残りました。



他にも魅力的な役者さんがたくさん出演されています。

二階堂ふみさん

阿部進之介さん

穂志もえかさん

平岳大さん

竹嶋康成さん

倉悠貴さん

金井浩人さん


本当に役者さん達全員演技が素晴らしいのですが、樫木央海役の金井浩人さんの存在も光っていました。

こういう、ちょっと憎まれ役をする役者さんってつい応援したくなるんですよね。


長門役の倉悠貴さんの死に様はある意味1番ショックでしたが、侍がみんながみんな切腹と斬首とは限らないし、そういうリアルさもなんか良かったです。

彼もとても上手でした。


死は人が生きていた証だと虎永は言います。


藪重はそんな長門の死を、釜茹でよりは下、犬に食われるよりは上だと話しています。

死に様に対してのこだわりを持っている藪重らしい言葉です。

そんな藪重を按針は「ろくなやつではないが勇敢である」と見ています。


鞠子の夫の戸田文太郎は武士としては強く腕が立つのですが考えが浅い人なのです。

鞠子が好きすぎるあまり、鞠子に心を開いて貰えないことで酷い仕打ちをするDV野郎です。

すぐに反省はするのですが鞠子を前にすると冷たい態度を取られることに耐えられずに同じ事を繰り返します。

鞠子にバッサリ切り捨てられてちょっと可哀想な人でしたがまあ、嫌われるのは仕方がないですね。


落ち葉の方が何故虎永をこれほどまでに憎むのかの描写があるともっとわかりやすかったのですが、史実でも人間的に何枚も上手の家康の手中に落ちる事になります。

実際には石田も淀君もその息子も家康に殺されますからね。


見れば見るほど奥の深さが見えてきて面白いドラマでした。



もう10話終わっちゃったの?っていうくらい面白かったです。


最後までお付き合いくださり至極光栄にございまする。

                         完