1.ペルシャ帝国とギリシャ帝国
ダニエルに再びビジョンが与えられます。まず彼が見たのは、一頭の雄羊のビジョンでした。
「目を上げて眺めると、見よ、一頭の雄羊が川岸に立っていた。二本の角が生えていたが共に長く、一本は他の一本より更に長くて、後ろの方に生えていた。」(ダニエル書 8:3 新共同訳)
この雄羊は勢力を拡大して行きます。その性質の特徴は、高ぶりです。
「見ていると、この雄羊は西、北、南に向かって突進し、これにかなう獣は一頭もなく、その力から救い出すものもなく、雄羊はほしいままに、また、高慢にふるまい、高ぶった。」(ダニエル書 8:4 新共同訳)
さて、ダニエルがこの幻について考えていると、もの凄い勢いで、一頭の雄山羊が飛んで来て、先の雄羊に向かって行きます!
「これについて考えていると、見よ、西から一頭の雄山羊が全地の上を飛ぶような勢いで進んで来た。その額には際立った一本の角が生えていた。 この雄山羊は先に見た川岸に立っている二本の角のある雄羊に向かって、激しい勢いで突進した。」(ダニエル書 8:5-6 新共同訳)
そして、先の雄山羊は、この雄羊によって打ち負かされてしまいます。
(ギリシャ帝国に滅ぼされるペルシャ帝国)
「みるみるうちに雄山羊は雄羊に近づき、怒りに燃えてこれを打ち倒し、その二本の角を折ったが、雄羊には抵抗する力がなかった。雄山羊はこれを地に投げ打ち、踏みにじった。その力から雄羊を救い出すものはなかった。」(ダニエル書 8:7 新共同訳)
2. 四つに分かれる王国と小さな角
雄羊を滅ぼした雄山羊は、当然のようにひどく高ぶりますが、あの特徴的な一本の角は、あっさり折れてしまい、代わりに四本の角が生えて来ます。そして、四本の角の一本から、妙な角がまた生えて来ます。そして、何と麗しい地、即ちイスラエルの地にまで、攻め込んで来るのです!
雄山羊は非常に尊大になったが、力の極みで角は折れ、その代わりに四本の際立った角が生えて天の四方に向かった。 そのうちの一本からもう一本の小さな角が生え出て、非常に強大になり、南へ、東へ、更にあの「麗しの地」へと力を伸ばした。(ダニエル書 8:8-9 新共同訳)
こうして、エルサレムは侵略され、神殿が汚されてしまいます。
「これは天の万軍に及ぶまで力を伸ばし、その万軍、つまり星のうちの幾つかを地に投げ落とし、踏みにじった。 その上、天の万軍の長にまで力を伸ばし、日ごとの供え物を廃し、その聖所を倒した。 また、天の万軍を供え物と共に打ち倒して罪をはびこらせ、真理を地になげうち、思うままにふるまった。」(ダニエル書 8:10-12 新共同訳)
ダニエルは、このようなエルサレム侵略と神殿が汚されてしまう期間がどれだけ続くのかを聞きます。
わたしは一人の聖なる者が語るのを聞いた。またもう一人の聖なる者がその語っている者に言った。「この幻、すなわち、日ごとの供え物が廃され、罪が荒廃をもたらし、聖所と万軍とが踏みにじられるというこの幻の出来事は、いつまで続くのか。」 彼は続けた。「日が暮れ、夜の明けること二千三百回に及んで、聖所はあるべき状態に戻る。」(ダニエル書 8:13-14 新共同訳)
3. 解き明かされる幻
ダニエルが見た幻の意味を知りたいと願っていると、何と御遣いガブリエルが近づいて来ました。
わたしダニエルは、この幻を見ながら、意味を知りたいと願っていた。その時、見よ、わたしに向かって勇士のような姿が現れた。 すると、ウライ川から人の声がしてこう言った。「ガブリエル、幻をこの人に説明せよ。」(ダニエル書 8:15-16 新共同訳)
ダニエルは、畏れて、平伏しますが、御遣いは、彼を立たせて、この終わりの日に関するビジョンの解き明かしを与えます。
彼がわたしの立っている所に近づいて来たので、わたしは恐れてひれ伏した。彼はわたしに言った。「人の子よ、この幻は終わりの時に関するものだということを悟りなさい。」 彼がこう話している間に、わたしは気を失って地に倒れたが、彼はわたしを捕らえて立ち上がらせ、 こう言った。「見よ、この怒りの時の終わりに何が起こるかをお前に示そう。定められた時には終わりがある。」(ダニエル書 8:17-19 新共同訳)
最初の雄羊は、メディア・ペルシャ帝国、次の雄山羊は、ギリシャ帝国です。その特徴的な一本の角は、世界征服を実現した若きアレキサンダー大王で、彼の突然の死後、帝国は、四つに分割されます。
「お前の見た二本の角のある雄羊はメディアとペルシアの王である。 また、あの毛深い雄山羊はギリシアの王である。その額の大きな角は第一の王だ。 その角が折れて代わりに四本の角が生えたが、それはこの国から、それほどの力を持たない四つの国が立つということである。」(ダニエル書 8:20-22 新共同訳)
そして、四つに分かれた王国の一つであるセレウコス朝シリヤの王アンティオケ・エピファネスが、エルサレムを侵略し、神殿を汚すことを預言しています。
「四つの国の終わりに、その罪悪の極みとして 高慢で狡猾な一人の王が起こる。 自力によらずに強大になり 驚くべき破壊を行い、ほしいままにふるまい 力ある者、聖なる民を滅ぼす。」(ダニエル書 8:23-24 新共同訳)
しかし、この罪悪の極みである悪王は、滅ぼされます。
「才知にたけ その手にかかればどんな悪だくみも成功し 驕り高ぶり、平然として多くの人を滅ぼす。 ついに最も大いなる君に敵対し 人の手によらずに滅ぼされる。」(ダニエル書 8:25 新共同訳)
4. アンティオケ・エピファネスと宮清め
歴史的事実として、この預言は、紀元前2世紀にものの見事に実現しました。
「一本の小さな角」(9節)、「荒らす者」(13節新改訳聖書)、「高慢で狡猾な一人の王」(23節)と預言されたアンティオケ・エピファネスは、謀略により王位につき、BC168年にエジプトに攻め込むも、ローマ軍の介入により、撤退を余儀なくされると、腹いせとばかりに、エルサレムに侵入し、城壁を壊し、民家を焼き払い、何万人ものユダヤ人を殺害し、また捕虜にしたり、女性や子供達を奴隷にして売り払ったのでした。
そして、神の民を徹底的に迫害し、律法を守ることを禁じ、安息日や聖書の祭りを祝うものは、死罪としたのです。
さらに、あろうことか、ギリシャ神話の神々の一つであるゼウス神の偶像をエルサレム神殿に置き、ユダヤの人々にその像を拝むようにと強要したのです。
「一本の小さな角」(9節)、「荒らす者」(13節新改訳聖書)、「高慢で狡猾な一人の王」(23節)と預言されたアンティオケ・エピファネスは、謀略により王位につき、BC168年にエジプトに攻め込むも、ローマ軍の介入により、撤退を余儀なくされると、腹いせとばかりに、エルサレムに侵入し、城壁を壊し、民家を焼き払い、何万人ものユダヤ人を殺害し、また捕虜にしたり、女性や子供達を奴隷にして売り払ったのでした。
そして、神の民を徹底的に迫害し、律法を守ることを禁じ、安息日や聖書の祭りを祝うものは、死罪としたのです。
さらに、あろうことか、ギリシャ神話の神々の一つであるゼウス神の偶像をエルサレム神殿に置き、ユダヤの人々にその像を拝むようにと強要したのです。
まさに、前の章で預言されていた通り、「時(聖書にあるカレンダー)と、法(神様の律法)を変えようとたくらむ」(ダニエル書7:25)とある通りです。
しかし、遂にマカバイと呼ばれるユダとその軍勢が立ち上がり、アンティオケ・エピファネスが派遣した軍を打ち破り、エルサレムを奪還しました。
そして、BC164年の第九月の二十五日、神殿の聖所を清め、祭壇の奉献を八日間にわたって祝ったのが、ハヌカ、宮清め、神殿奉献記念祭の始まりです。
5. 終わりの日に再び成就する預言
しかし、遂にマカバイと呼ばれるユダとその軍勢が立ち上がり、アンティオケ・エピファネスが派遣した軍を打ち破り、エルサレムを奪還しました。
そして、BC164年の第九月の二十五日、神殿の聖所を清め、祭壇の奉献を八日間にわたって祝ったのが、ハヌカ、宮清め、神殿奉献記念祭の始まりです。
5. 終わりの日に再び成就する預言
ここで、重要なのは、これらの出来事が決して、過去の歴史的事実では終わらない、ということです。
「見よ。私は、終わりの憤りの時に起こることを、あなたに知らせる。それは、終わりの定めの時にかかわるからだ。 」(ダニエル8:19 新改訳聖書)
と御遣いが、主の御心を伝えた通り、過去に一度、紀元前2世紀に起きたこの出来事の最終成就版とでも言うべき事が、そう遠くはない将来、やはり実現してしまうのです。
「預言者ダニエルの言った憎むべき破壊者が、聖なる場所に立つのを見たら――読者は悟れ――、」(マタイ24:15 新共同訳)
アンティオケ・エピファネスは、自らを神の化身と自称し、エルサレムの神殿を汚しましたが、彼を彷彿させる者が、再び、臆面もなく、エルサレムに乗り込んで来るのです。
「この者は、すべて神と呼ばれたり拝まれたりするものに反抗して、傲慢にふるまい、ついには、神殿に座り込み、自分こそは神であると宣言するのです。」(2テサロニケ2:4 新共同訳)
この恐るべき、また御怒りの日が来る前に、私達は、神の憐れみによって、エルサレムに、また、もちろんこの日本に、一刻も早く造り主に立ち帰るようメッセンジャーとして遣わされているのです‼️アーメン‼️
「見よ、わたしは 大いなる恐るべき主の日が来る前に 預言者エリヤをあなたたちに遣わす。 彼は父の心を子に 子の心を父に向けさせる。 わたしが来て、破滅をもって この地を撃つことがないように。」(マラキ書 3:23-24 新共同訳)
燭台に油を絶やさず、絶えず目を覚ましていることができますように🔥🔥🔥