五月病は長引けば不登校になり、病院に行くと適応障害の病名がつく。不思議なものでそういう時に親御さんは原因をあれこれ探すのよ。確かに外野が無責任に「育て方に問題がある」とか「甘やかすからだ」とか言ってくることがあるけれどそんなのは相手にする必要はない。不登校に「なった」ということはそれまでは学校に行っていたわけで不登校の前後で教育方針が変わるなんてことは普通ないからね。
何度も書いているように不登校の原因が同級生その他やバカ教員の暴言、暴力であるなら登校の必要はない。特に公立ね。ただ、子供さんが登校したいのにできなくて苦しんでいるのならこちらの方は対策を考える必要がある。
不登校の(全部じゃないかも、だけれど)原因は自律神経がバランスを崩したこと。正直に話すとね、オレは不登校の治療が得意じゃなかったの。子供さんの困りごとのケアはオレのライフワークで、学習の問題(集中力がない、成績が良くない)とか夜尿症とか吃音(これは2例しか経験がないから偉そうなことは言えないかも)とかは頭蓋仙骨療法に反応してくれるのに、不登校の子供さんは反応が薄い。
どうしたことか悩んでいるときにコロナ禍が起きた。そうしたらね、コロナに罹患してから学校に行けなくなった、という患者さんが見えたの。コロナと不登校はどう考えても無関係よね。ただしコロナ後遺症と不登校を訴える子供さんの症状は似ているどころかそっくり。それであーだこーだ考えているうちにポリヴェーガル理論に行きついた。ようはコロナ後遺症も不登校も背側迷走神経系が優位になることですべての活動がシャットアウトされている、と考えると両者の症状が似ていることも通常の頭蓋仙骨療法が奏功しないことも合点がいく。それで普段の頭蓋仙骨療法とは違い、心身を交感神経優位に導くような手技を処方してみようと考えた。
オレは二十数年間にわたり定期的に広島の心療内科のクリニックへ頭蓋仙骨療法の施術に伺っている。ちょうどコロナ後遺症で「何もする気力が起きない」という患者さんを数名拝見したら、みんな数回以内の施術で日常生活に戻られたの。それから不登校の患者さんを拝見する機会もあって、こちらもなかなか良好な経過を見せてくださっている。
五月病とか不登校の原因は、と言われたら自律神経のバランスの乱れ、と答える。コロナの後遺症が保護者のせいではないのと同じことで家庭の教育のしかたが悪いわけでは決してない。