ちょっと以前に記事にした「指つかみ」。左の手指を右の手でつかむと心身の不調が改善するというセルフケア。オレの逆流性食道炎も随分と改善している。それでね、オレはセルフケアでも何でもやり方を聞いた通りにやって「効いた」「効かなかった」を判断してそれで終わり。効いたら臨床で使うしセルフケアでも勧める。でもひょっとしたら「右手じゃダメなの?」と思う人もいるかもしれないね。

 

実は左側限定、みたいな手技は他にもある。これも何度か記事にしたヒュー・ミルン先生の「左手つなぎ」。クライアントとセラピストが左手で握手することで蝶形骨の調整ができるという。はじめこの手技を書籍で読んだ時にはその意味することが全く分からなかった。ただ実際にやってみると確かに効果的ではあるし、ホームケアにも使える。「右手じゃダメなの?」とは全くオレは考えない。「やった」「効いた」「治った」の3「た」治療がオレの臨床のすべてなの。

 

ただクラニオセイクラルでは「左側」を重視する手技があるのは事実でね。蝶形骨を調整する「コロナルシャ」「スタッキング」という手技があって、どちらも術者はクライアントの左の蝶形骨(翼状突起)を固定しておいてあれこれ調整を行う。こちらもテキストを見てみてもなぜ、という理由は載ってはいない。

 

aVANSという耳介に低周波電流を流して自律神経を調整する手技がある。こちらは医療機関で最近行われるようになった治療法なんだけれどね、不眠とか機能性ディスペプシア(ここでも出てくるか)、てんかんや頭痛、慢性疼痛なんかに適応とされる。それでこの療法でも通電を行うのは左耳なんだって。こちらの方は理由が挙げられていて、左耳に通電すると洞房結節への刺激が少ないからと説明される。通電による心臓への影響が少ないのね。

 

東洋医学ではカラダの左側が「陰」の働きを反映しやすいと言われている。「陰」は調整、鎮静の働きを持つとされるから「指つかみ」でも「左手つなぎ」でもクラニアルの手技でも電気刺激でも、症状緩和のための操作を行うのが「左側」のみというのは理にかなっている。

 

名著、「ポリヴェーガル理論がやさしくわかる本」で著者の吉里恒昭先生は自律神経の不調を訴える人にセルフハグを勧めておられる。それでね、こんなことを書いておられるの。「一般的に赤の神経(交感神経)が反応しているときは、ハグやタッチを強めにしたほうが心地よく感じるようです。一方、青の神経(背側迷走神経系)が反応しているときは、そっと触れるくらいの方が心地よく感じるようです。」強めの刺激は「瀉」、そっと触れるくらいの刺激は「補」と言ってそれぞれ陰陽(というか正確には虚実というらしい)のケアの方向性を指す。そうであれば自律神経の緊張を緩めるクラニオセイクラルで「左側」にアプローチすることは理にかなっているよね。そうしてそれからー、

 

背側迷走神経優位のしんどさに「右」手つなぎが効くんじゃないかな。まだだれもやっていないけど周りに困っている人いない?

 

 

 

ケイシー療法を実践していて、

「CAREは一通り整えているはずなのに、何かもう一歩、足りない気がする」

 

そんな感覚を持ったことはない?

 

ウチの治療院には、時折エドガー・ケイシー療法を実践されている方が来院されるの。

 

ケイシーが、さまざまな症状の患者さんにオステオパシーを受けることを勧めていたということをご存じで、ネットで検索して当院を見つけてくださるみたいね。

 

これは、本当にありがたい。

 

では、ケイシーはなぜそこまでオステオパシーを重視していたんだろか。

 

彼のリーディングを要約すると、

だいたいこんな感じになるのね。

 

「オステオパシーは、患部だけを調整する療法ではない」

 

「中枢神経と自律神経のバランスを整える療法である」

 

「あらゆる予防法・治療法の目的は、心身のバランスを整えること」

 

「個々の臓器の働きは、神経系によって統合されている」

 

「だからこそ、神経系を整えることが全身の調和につながる」

 

ケイシー療法の原理として知られるCARE、

 

Circulation(循環)

 

Assimilation(同化)

 

Relaxation / Rest(休息)

 

Elimination(排泄)

 

この中でも、最初の**C=サーキュレーション(循環)**を、ケイシーはとりわけ重要視していたという。

 

実際のケイシー療法の現場では、ひまし油湿布や食事療法などが指導の中心よね。もちろんこれらは、どれもとても大切なアプローチではある。

 

ただ、オレの知る限りでは、ケイシー療法を指導しているサロンや施設でオステオパシーの手技そのものが実践されているケースは、まだほとんど見かけない。

 

多くの場合、オイルマッサージなどがオステオパシーの代替として行われているみたいね。理由はシンプルで、体系的な手技療法としてのオステオパシーを学ぶ機会が、常に限られているという現実があるからだと思う。

 

ただし、膨大な医療体系であるオステオパシーの中には、侵襲性が低く、サロンでのケアにも応用できる手技が、ちゃんと存在している。

 

オレが臨床で主に用いているクラニオセイクラル(頭蓋仙骨療法)も、オステオパシーの流れから生まれた手技のひとつ。頭蓋骨と仙骨の関係性を通して硬膜の緊張を調整し、脳脊髄液の循環や自律神経のバランスに働きかける。

 

そう聞くと難しそうに感じるかも、なんだけれど、最初の一歩は、とてもシンプル。

 

正しく、クライアントに手を当てること。

 

それだけで、クライアントは深いリラクゼーションに入り、多くの場合、そのまま眠ってしまう。施術後は頭がすっきりし、眼精疲労、頭痛、顎の違和感、腰の不調などに良い変化が見られる。

 

もし、ケイシーが重視した「サーキュレーション(循環)」を、自分の手で、具体的に支えることができたら。あなたのケイシー療法は、さらに確かな手応えを持つはずよね。

 

そのための入り口として新大阪で「クラニオセイクラル入門講座」を開催します。5月24日(日)開催。

 

この入門講座では、オステオパシーの考え方に基づいた「循環に働きかけるタッチ」を体験的に学んでいただくことが可能。入門講座の内容だけでも、サロンで行っているケイシー療法は十分にアップデートできるし、さらに深く学びたくなれば、その先の学びの道も用意しています。

 

講座は独自の指導法で進めるから、医療関係者から手技療法がまったく初めての方まで参加可能。これまでにも、未経験者、リハビリ専門職、医学部の学生さんが同じクラスで学ぶことがあったけれど「難しすぎる」とも「物足りない」とも言われなかった。

 

ケイシーが勧めたオステオパシーを、現代の臨床で“自分の手で使えるもの”にするための第一歩。「本当にちゃんと学べるのか」と思われた方はセミナーサイトの受講生のご感想をぜひご覧ください。こちらから受講のお申し込みもできます。

 

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医学知識は全く不要。受講生の半数は一般の方なので未経験の方もどうぞいらしてくださいね。

 

クライアントから「どのくらいしんどくなったら治療に来た方がいい?」というお尋ねがあった。「風呂に入るのがめんどくさくなったとき」と「それなのにいつまでもスマホ見てるとき」という答えがヒットしたみたいで「それわかるわ」と仰ってお帰りになった。

 

「風呂に入るのが面倒くさい」というのは「風呂キャンセル界隈」という新語になってすでに定着している。入浴は清潔のためだけではなくリラックスのための行為であるわけよね。温泉旅行なんてのを考えてみれば少なくとも日本人にとっては入浴はリラクゼーションのひとつであるわけですよ。

 

風呂に入るのもしんどいくらい疲れているのなら早く寝ればいいものをいつまでもスマホを眺めていることとあわせて、「リラックスすることを心身が拒否している」状態と考えることができると思う。

 

到底かなわない敵(に比肩するくらいの強烈なストレス)に遭遇すると生き物は「凍りつく」。心身をシャットダウンして動けなくなってしまう。このときに優位になるのが背側迷走神経系。それでね、この背側迷走神経系は、リラックスするときに優位になる腹側迷走神経系と同じ「副交感神経」に属する。心身はリラックスする必要があるんだけれど、背側迷走神経=副交感神経がすでに優位の状態なので腹側迷走神経系がうまく働けない。

 

例えが適切かわからないんだけれどチョコレートをいやというほど食べて「もう甘いものはいらない」状態の時に別の甘味、たとえばお饅頭なんかを勧められても食べられないようなイメージと言えばわかってもらえるだろうか。

 

眠い目をこすりこすりそれこそ最後の力を振り絞るようにしてスマホでゲームをしていたりするのは、それによって心身を交感神経優位(戦闘モード)に切り替えようとしているのだろうか。そうすることで背側迷走神経優位の状態を解除しようとしているのかもしれないね。

 

もちろんそういう状態でもいずれ「寝落ち」してしまう。ただそういう状態の睡眠は回復のためのリラクゼーションではなくて心身の物理的な限界、いわばバッテリーが上がってしまった状態。「寝ても寝ても眠い」とか「起きられない」とか言うのはバッテリーが上がった状態が継続していて休めていないということなのよ。

 

しんどいのに心身が「休むことを拒否している」状態はかなりよろしくない。そういう兆しが見えたらぜひ早いうちにケアにおいでください。