シャープ、東芝の身売り、3重機大手企業の非常事態でアベノミクスの破綻証明 | 昼は会計、夜は「お会計!」

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シャープが遂に台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業に買収された。日本大手家電業界としては初めてのことだ。「目の付け所がシャープでしょ」で、ザウルスやプラズマクラスター、アクオスなど独自技術で名を馳せ、吉永小百合を起用したCMもイメージも含めて、液晶の亀山ブランドと言われた頃が絶好調だったのか。
 報道に寄れば、官民ファンドの産業革新機構は何としても国内技術の流出問題もあるので、何とか産業革新機構傘下で再建をと進めたが、負債の多くを持つ大手銀行などが出資額などでホンハイ側の方が有利だと遂に海外企業に日本のブランドが売られることになったと言うが、もう一つの要因は不正会計問題でこれまた大幅な欠損を出すと言われている東芝の家電部門を含めてシャープと一緒の再建を考えていたところ、東芝は白物家電事業を中国の美的集団(Midea Group)に約537億円で売却することが発表され、そのことがシャープの国内企業による再建が無理となったといわれる。
また東芝は、稼ぎ頭だった医療機器部門・東芝メディカルシステムズをキヤノンに655億円で売却した。それで東芝不正会計問題の結果の損失といまだ計上していない原子力発電所ののれん代等の2000億円を超える減損処理もしても、債務超過を避けられると東芝側は行っているようだが、独占禁止法との関係等で二〇一五年度決算にキャノンからの売却益の計上ができるかどうか微妙らしい。東芝はこれで、主要な事業が原子力発電事業に特化されていくという。
 一方、総合重機大手企業三社が聞危機的状況に見舞われているという。
三菱重工、IHI、川崎重工、総合重機大手3社の非常事態宣言
<プレジデント 3月30日>
■矢継ぎ早に重機大手3社を襲う「トラブル禍」
 三菱重工業、IHI、川崎重工業の総合重機大手3社がそろって、多額な損失を伴う相次ぐ技術的なトラブルに見舞われている。それは、日本のものづくりを支えてきた「機械の総合デパート」の屋台骨を揺るがしかねない非常事態にほかならない。
 この危機的状況にIHI、川重がそれぞれ経営陣を刷新し、三菱重工は約2000億円の資産売却に踏み切るなど、ものづくり死守に背水の陣を敷く。3社を矢継ぎ早に襲う「トラブル禍」は、さながらものづくりで満身創痍に陥った各社の姿を象徴している。
 最大手の三菱重工は、度重なる設計変更や3度にわたる火災事故などで建造する大型客船2隻の引き渡しが大幅に遅れ、2015年4~12月期で530億円の特別損失を計上し、累計すると特損は1872億円に脹れ上がる。当初、2015年3月を予定していた1隻目の納入は大幅に遅れ、3月14日にようやく引き渡しにこぎつけた。2隻目の納入への影響も避けられず、2隻で約1000億円とされる受注額は丸ごと吹き飛び、特損は受注額の2倍に膨らむ可能性も捨て切れない。
 造船事業は同社の祖業なものの、中国・韓国勢の攻勢を前に昨年10月、商船部門などの分社化に踏み切った。しかし、客船建造に限っては「大型客船を建造できる日本唯一の企業」との自負もあり本体にとどめた。その結果は完全に裏目に出てしまった。「国産初」で期待を集める小型ジェット旅客機「MRJ(三菱リージョナルジェット)」も開発が大幅に遅れ、やっと初飛行にこぎ着けたものの、初号機の納入は17年4~6月期から18年半ばにずれ込むなどトラブル続きだ。
■復活を目指す経営変革は時間との戦い
 IHIはさらに深刻な事態に襲われている。国内外工事での事故や不具合に、愛知工場(愛知県知多市)の海洋構造物事業でのトラブルなどが重なり、16年3月期は300億円の最終損失を計上し、7期ぶりの最終赤字に転落する見通しだ。同期は四半期ごとに立て続けて業績を下方修正する体たらくで、斎藤保社長兼最高経営責任者(CEO)から「ものづくりの力の低下は否めない」と自戒を込めた発言も飛び出すありさまだ。
 川重もブラジルでの合弁船舶事業が原油安の影響から資金繰りに逼迫し、15年10~12月期に221億円の損失を計上しており、3社のものづくりに対する“基礎体力”の衰えは否めない。その意味で、経営変革は待ったなしで、IHI、川重はそれぞれ社長交代をてこに、製造現場の刷新に臨む。
 IHIは4月1日付で、満岡次郎取締役常務執行役員が社長兼最高執行責任者(COO)に昇格し、斎藤氏は代表権付きの会長兼CEOとなり、二人三脚で経営の建て直しの陣頭指揮に当たる。満岡氏は稼ぎ頭の航空エンジン畑出身で、同社初のCOOに就くと同時に、トラブルが相次ぐ現場を自ら統括する異例の体制でものづくり力の再生を急ぐ。
 川重は6月末に村山滋社長が代表権のある会長に就き、後任に金花芳則常務が昇格する。同社は13年6月に三井造船との経営統合を巡って当時の長谷川聡社長ら統合推進派の役員が解任された経緯があり、村山氏が社内の“しこり”をほぐした後を引き継ぐ金花氏には人心一新により新たな成長軌道乗せを託すと同時に、ブラジル合弁事業で甘さを露呈したリスク管理の強化が求められる。
 一方、三菱重工は客船事業のトラブルを教訓にリスク管理体制を整備するほか、保有株式や遊休不動産など約2000億円の資産を18年までの2年間で売却し、毀損した財務体質を立て直す方針とされる。総合重機大手はものづくり力が生命線なだけに、その復活を目指す経営変革は時間との戦いであり、否応なしにその実行力が試される。
                    経済ジャーナリスト 水月仁史=文

*** 引用終わり

3つの重機大手メーカーがいずれも自衛隊の装備品など軍需産業の大手でもある。民生部門といわれる非軍事部門でのこうしたもたつきや損失の計上があっても軍需部門に影響がないのか。
要は家電関係もシャープ、東芝が台湾・中国企業に買収され、重機大手三社のこの不振な状況は、一方ではアベノミクスで政権からの株価上昇策、研究開発費など法人税減免措置から法人税減税など大企業優遇策を受けながら、日本の物作りの大手企業がこの状態というのは、日本経済ひいては、日本社会が実に深刻なところに来ていることを示している。
 このレポートにでは出ていないが、裏では内調レベルも加わって相当な議論が行われているに違いないのだが、目に見える大企業本位の政治を進めているにも拘わらず、また「アベノミクスの効果をどの地方にも」とか「トリクルダウン(したたり落ちる)」というごまかしの理論で地方や中小企業にもしたたり落ちる、と宣伝してきたことが、なかなかうまく行っていない。だから原発輸出をトップセールで展開しながら、武器輸出三原則の見直しや安保法制化の強行などから軍需産業の輸出へと大きく舵を切り始めた安倍政権は、いよいよ「死の商人」化で切り抜けようとしているのか。