昨年の入院騒ぎの後、自宅を生活の基礎にしているのだが、通勤電車で座って行くために、3月頃から駐輪場を使っている。そしたら様々な変化が起きていた。10数年前に毎日使っていた頃、その駐輪場はいつ頃か、サドルが盗られたり。ベルが盗られるなど日常的に起きるようになっていた。しかも、どうやら連鎖するらしく、サドルを盗られた人が別な人のを盗るので広がるばかりだ。サドルが無い自転車が並ぶ駐輪場は、すさんだ街のような雰囲気が漂っていた。
そのうち、自転車そのものまで盗難に遭うことも起きた。しばらくして市の自転車保管場所に行くと見つかるということなどおきて、駐輪場を使うことを止めていた。それが今年になって同じ駐輪場に行ってみたら、朝から市が委嘱したのか人が自転車の整理をしていた。夕方にも人が居た。そのせいかサドルを盗まれて無残な姿をさらす自転車も無い。それと、自転車のランクが一昔前と数ランク上がっていた。むかしは、全国的にもそうだったようだが、如何にも中国製の安い自転車があふれていて、パンクしただけも少しなんか合ったら捜しも無い、修理もしない、それもあって放置自転車問題が深刻化したようだ。四谷で私が日本メーカーの自転車を買ったが、その自転車屋さんはまもなく潰れた。パンクをしたときにようやく四谷で見つけた自転車屋さんに行ったら、メーカー品を使ってくれてると喜んでくれたものだ。きけば、9千円くらいのスーパーで買った自転車は、ろくに修理もしないので簡単に乗り捨てされる、駅前放置自転車問題はそんなことが背景だから、問題は深刻なんだよ、とそのお店の人は言っていた。
それから10年。今年になって、私も自転車に対する考えを変えて、待ち乗り用も外装6段を新規に購入し、さらにスポーツ用にクロスバイクを乗り出した。その待ち乗り用で市の駐輪場に行くのだが、以前のように盗難に遭うのかと心配していたが、まず驚いたのが、置かれている自転車のランクが上がっていることだ。安い1万円以下のものもあるが、最低でも内装3段のママチャリタイプ。外装6段以上のクロスバイク、ロードバイクがかなりの比率で置かれている。もちろん、原産地中国というのもかなりあるのだろうが、それにしても自転車文化が明らかに変わってきていることを痛感した。街中でもそうなのだが、小さな子供用の自転車なのに、クロスバイクのような外装変速機がついた、マウンテンバイク・ロードバイクタイプが実に多い。
そしたら、この4月頃初めて知ったのだが、いつも使っている駐輪場が有料化するということで(市内ですでに有料化しているところもあるが残っていたところも6月から有料化)工事が始まった。で、先日、申し込んだら、SuicaやPASMOが兼用できて、1カ月分や3カ月分の利用料を機械に通して入金するとい入庫時、退庫時にはタッチするだけとなった。1カ月ほぼ千円程度で、機械化されるとともに、朝・夕は数時間ずつらしいが、委託会社の人が居てくれる。以前の駐輪場を知っている人も多いせいか、この有料化にそんなに批判はないようだ。先に書いたように、明らかに使用する人たちの自転車のレベルも上がっているので、少々お金をかけても管理が行き届く方が歓迎されるようだ。中には、退庫時に入っていったら、「お帰りなさい」とか、出て行こうとしたら「お気をつけて」などと声をかけられるなどして、びうっくりするやら。こんな景色が犯罪を無くしていくのだろうと気がする。市民のモラルだけをいうだけでなく必要な対応の中から新しい市民秩序もできていくのではないかという気がする。
コミックで自転車漫画が人気にもなっていて、子どもの世界でも昔のような自転車感覚では無くなってきているようだ。それで気がついたが、テレビでもやっていたが、幼児用「バランス自転車」というのか、最初はペダルが無くて脚で蹴って乗る。それで乗れるようになるとペダルや駆動系を継ぎ足すことができるという自転車上達の最新手法として人気を呼んでるのが、街中を走り始めている。だから、随分小さな子どもがその小さな自転車を巧みに歩道をかき分けながら漕いでいる。
この6月から始まった自転車に関わる道路交通法の改正は様々な議論を呼んでいるが、本来軽自動車として特別な許可がある歩道は別に車道を入らなければならないが、子どもの自転車の低年齢化が始まっているが、それも歩道は駄目というわけにはいかないだろう。
国民の幸福度や満足度などの調査で上位に入る北欧諸国などでは、自転車通勤の比率が6割を超えていたり、電車などに自転車をそのまま乗せる事ができる場が多いなど、自動車を使わない生活と共に身体を使う自転車の普及で国民の満足度や幸福度が急速に上がってきているという都市もあるらしい。自分のように最近自転車を始めた者でもなんとなくわかる気がする。日本では、NHKBSの「こころたび」でもあるように、自転車が困難なところや遠距離には、「輪行」という手段を使うのが普通だ。これは鉄道法や輸送業法など難しいこともあって、自転車を前輪・後輪を外したり、折りたたんで、「輪行バック」というバックに入れた状態だと、列車などで輸送することができるという法律が適用されている。これが面倒そうで、私も輪行バックをまだ買っていないし、タイヤを外したり、再度組み立てるなどのトレーニングも必要だろう。
あるいは、車であればSUBタイプやワゴンなどに、そのまま積んだり、のセダンタイプだとルーフにキャリアーなどつける方法もあるようだが、それも大変だ。もう少し便利になるといいのだが。
日本の場合は、観光地でも都市でもレンタサイクルという形で、少し自転車を取り入れた文化が始まっている。先月も、平泉でもレンタサイクルで便利に観光した。また田舎では、ビジネスホテルで自転車が無料で借りられるのでそのおかげで、タクシーで無く、買い物しながら墓参りもできた。都心部では三区が共同したレンタサイクルを始めたようだが、何とか成功させたいところだ。残念ながら、国内ではこうした都市型のレンタサイクルは、返却しないとかモラルが疑われる事態で、事業から撤退した自治体もあるようだ。
そういう意味で微妙な問題を含むが、自転車の普及は間違いなく、国民のスポーツ文化を広げるだけで無く大きな影響をあたえることだろう。