いよいよ始まった女子サッカーワールドカップ。何しろ先発発表にも驚いた。もともと今回のW杯メンバー選考でも、がっかりさせられたものだ。
それまでのアルガルベカップなどでの若手活用で思い切って先発全員交替などで様子を見ていたものと思われたが、結局監督は、我慢して使い続けることはしなかった、4年も前の前回覇者になった時のメンバー主体という今回のメンバーになった。おおよそ1年、代表にも選ばれてこなかった澤選手を代表だけでなく先発でも起用してきた。大儀見、安藤のツートップも少し驚きだが、結果的には安藤がとったPKのみだったので、結果、ここは成功したかもしれない。
先発選考最大の疑問は川澄選手の先発なしであったが、これはスーパーサブとして使うつもりだったのかもしれないが、澤選手の先発も後半早い時間の交代は、いったい何だったのか、疑問を持たざるを得ない。結局、代表選抜から若手抜擢というリスキーな方法ではなく無難な方法をとったと思わざるを得ない。澤選手を選ばなかったときのマスコミ等の批判を恐れたものと思わざるを得なかった。
さて試合内容だが、前半はほぼ安定したが、確かに澤選手はよく走ってはいたが、結構狙われているのわかっているのに、パスカットされたり、ボールを奪われるシーンも多かった(体力よりも、このことで、後半早い時期の交替だったかもしれない)。後半は、両サイド突破を何度も許していた。3~4人が振り切られたりしていて、相手のミスでゴールに入らなかっただけ。これは、どうも選手たちが中央のライン突破を恐れて、むしろサイドへ誘い込んだ作戦の成功ともいえるが、実際には突破をとめるだけの力量不足を棚上げにした作戦だと意味がない。
守りでは、私的には先発選考のお手柄が山根選手だった。あの187センチもある高さは何物にも代えがたい。ゴールエリアの混雑した中で、日本人のこれまでのキーパーでは、外交選手のヘディングにも勝てなかった。そう意味で高さのある外交選手相手の時に、山根選手の高さは救われる。ただ、アルガルベカップの時もそうだったが、基本的に飛び出しが早すぎることが多いことと、後半になるとなぜかゴールキックのロングフィードで逆襲を食らうシーンが多いこと。昨日も前半はバックの選手に慎重にボールを投げたり、転がしたりしていたが、こともあろうに最後の5分になっているのに、何回かゴールキックをロングフィードしていた。彼女より他のキーパーよりキック力があるせいか、遠くに飛ばせるという意識があるせいかもしれないが、いくらなんでも残り時間を考えたら上手にパス回しで時間を稼ぐというのは常識だ。それを何回も蹴っては、相手ボールにになっていた。ベンチから声を出して止めさせようしていたかどうかは、わからないが中継解説でも触れていなかったが、彼女の危険な性癖のように思えるのだが。その点を考慮しながらも、あの高さを考えたら、よほどのことがない限り今大会の先発キーパーにした方がいいと思う。
攻撃陣は、何回かいい形があったが、安藤選手負傷で交代した菅澤選手が力みがあったのか決定機を何回も外したのが印象に残る。最初に書いたように後半11分での澤選手の交代の意味を監督も語っていないが、先に書いたようにマークされすぎたことなら、後半菓子から変えても良かったし、なんで川村選手なのかもよくわからない。澤選手に変えて川澄選手なら、攻守にわたって意味はあっただろう。終了1分前の大野選手との交代は、時間稼ぎのための交代でしかなく、前回大会でシンデレラガールになって、以降なでしこの中心選手としてきた川澄選手に対してあまりにも失礼な態度だ。もしかして、彼女は故障をしていたのだろうか。そんな報道も耳にしていないので、少なくとも監督が考えていることが伝わってこない。
ともかく、流れの中からのゴールが得られなかったし、前回大会でも示したセットプレーからのゴールもなかったという点では、本当に連覇どころか、上位進出も難しいのではなかろうか。数少ない若手メンバーをぜひ出場させてほしい。田中明日菜、横山久美選手や前回大会も代表にはなったが出場機会がなかった岩淵選手などをどんどん使ってほしい。でなければ、今W杯は、女子サッカー史上次の世代に引き継がれない。
もちろんまだ始まったばかりなのだが、何とかがんばって試合数を増やして多くの選手がピッチに立てるようにしてほしいものだ。