ゴジラ アニメ作品のざっくり感想 | 怪獣玩具に魅せられて

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ゴジラ・ガメラ・ウルトラマン、その他たくさんの特撮怪獣玩具を紹介します。

来る11月3日、ゴジラ映画最新作『ゴジラ マイナスワン』が公開決定しました。

すでに特報や新版ゴジラのビジュアルもお目見えし、ムビモン・怪獣王シリーズ・モンアツなどフィギュア展開もなされています。僕も本日の16時、ばっちりモンアツを予約することができました。

 

少し前には、8月よりディアゴスティーニで東宝怪獣フィギュアコレクションが全国展開されるなど、今年はとにかくゴジラがアツい!! とりあえずこの機に、今まで機会がなく見てこなかったゴジラ作品に触れてみようと思って、国産アニメ版の「ゴジラ」を見ることにしました。

 

今、ネトフリのお試し期間であることもあって、視聴できたのが『GODZILLA』全三部作と、『ゴジラS.P』全十三話。前者は2017年から2018年にかけて。後者は、2021年と、比較的新しい作品です。

 

とりあえず、どちらともに言いたいことがあるので、ざっくりまとめてみようと思います。

 

 

GODZILLA 全三部作

『GODZILLA 怪獣惑星』

『GODZILLA 決戦機動増殖都市』

『GODZILLA 星を喰う者』

 

【所感】

 怪獣被害の究極を描いたような、ハードSF。どれくらいハードかと言うと、ゴジラのせいで人類が地球を放棄せざるを得なくなるくらい。これまでは、どんなヤバいことになっても、最後の最後では何とかなっていたのが、『GODZILLA』では、本当にどうにもならずに人類は極端に数を減らし、宇宙の放浪者になっている。これは、アニメだから描ける展開だったかも。『怪獣惑星』は、ゴジラの手に落ちてから2万年後の地球への帰還と、ゴジラへのリベンジ。ゴジラへの執着に燃える主人公の主導により、ゴジラを見事打倒したかに見える。ここのアクションは中々アクロバティックで、これまたアニメならではのダイナミックな動きの快感にあふれている。しかし倒したのは亜種に過ぎず、本当の脅威は進化に進化を重ねた結果、もはや地球そのものサイズにまで巨大化した、ゴジラ・アースだった……という終わり方も見事で、なんだかんだ『怪獣惑星』は、それなりに面白かった。

 が、続く『決戦機動増殖都市』で若干のトーンダウンというか何というか……。シティ化したメカゴジラなど、これまでにないスケールの大きい設定には興味を引かれたけれど、段々「これって、ゴジラ映画である意味はあるの?」って思ってしまう。なんだかんだ、やっぱり怪獣バトルは必要だったし、メカゴジラシティの防衛・迎撃システムとして、量産型メカゴジラとか、出てきても良かったじゃん。っていうか、あのヴァルチャーをメカゴジラデザインにしなよ。そうすればビジュアル的にも、もっと燃える展開になったかもしれないのに。あと、人間とビルサルドという二つの種族の対立も、正直ありきたりだし、究極の合理的算段に生きるビルサルドと、迷いの中で決断する人類というところまで徹底してくれない。仕方がないとは思うんだけど、全体の命運にかかわる決断を、主人公だけに背負わせ過ぎなんですよ。というか、三作通して、この主人公にそもそも好感があんまり湧かず、応援したくならない。ヒーロー的であれともいわないし、迷ったっていいけど、行動や感情に一貫性があるようで、感情任せなところが多い。まあ、それを言ったら、このシリーズに出てくる人間サイドは全てそうなんですが。何かね、誰も好きになれるキャラがいない。

 最終章の『星を喰う者』は、ギドラの設定が面白いし、超自然的な存在による殺戮が思ったよりもホラーで、そこは良かった。というか、このギドラだけで一映画やってくれよ。それくらいの存在感があって、エイリアンとはまた違うSFホラーとして、めちゃめちゃ良い素材になるはず。ただ、ギドラが良かったのは母船の壊滅シーンくらいで、ゴジラと闘い出してからは、大体よくある展開に。結局、ギドラとしての役割は、ちまちまとした人間のほぼ全滅くらいで、その設定や存在感に見合うだけの活躍の場が用意されていない。そしてラスト……結局、ゴジラをそういう位置づけにするんだ――ってことは、2作目・3作目、悉く要らなくね? いや、要るッちゃ要るんだけどさ、それを最後、主人公の独断専行で決着付けるって、ダメでしょ? 自分一人だけの問題じゃなくて、地球で生きる種族としての問題じゃないの? あの惑星に生きる「人間」たちは、最後の最後まで、あんたを信頼して着いてきた人たちじゃないの? その信頼を裏切って、あんなことするか普通? 人間存在に対する退廃的な価値観というか何というか……。1954年のゴジラと共通したテーマであるはずなのに、こっちはよりスケールがデカいからか、素直に納得することができなかった。

 とまあ、いろいろ言いたいことはあるんですよ。でも、一番不満なのは、そうしたゴタゴタじゃないんです。このシリーズにおける最大の不満というか、怒りポイントはね――ゴジラが、カッコよくないんですよ!! なに、あのムキムキマッチョなジジイ!!! どんな活躍をしようが、どんなアクションを見せようが、あのわしゃわしゃした顔と、変につぶらなお目目では、納得いきません! 今回のゴジラが対話不可能な、超然的な存在であるならば、もっとそういう風に描くこともできたはず。だからうちには、このアニメ版GODZILLAのソフビ、一個もないんですよ。何故なら、カッコよくないから!

 ってことで、面白い要素や、アニメでしか見られない展開もあったシリーズでしたが、そもそものゴジラのデザインというところで、個人的にはガッカリからスタートしたシリーズでもありました。ただ前述のとおり、ギドラの設定とか、破壊行為自体のホラー感は凄く良かったと思うので、次はギドラのスピンオフで、めっちゃ怖いやつやってください。

 

 

 



ゴジラ S.P(シンギュラポイント)

全13話。

【所感】

 放送前はかなり期待してました。まず、アニメーションをボンズが手掛けていること。ボンズと言えば、僕にとっては『ストレンヂア 無皇刀譚』。日本のアニメ映画の中で一番好きと言っても過言ではない作品です。そのボンズがですよ、まさか、ゴジラをやってくれるなんて! という喜びで、もうウッハウハでした。

 ところがねー、構成と脚本を円城塔氏が担当するこということで……『文字渦』を読み進めて困惑しかない今なら、ここで不安がることができたかも知れない。ストーリー展開が断片的で取っつきにくく、上の三部作以上に、「これって、ゴジラなの?」って疑問が常に浮上するシリーズでした。

 良かったところは、GODZILLA三部作と真逆です。怪獣のデザインとアクション。うちには、S.P版の怪獣のソフビがいっぱいありますし、ウルティマに関してはモンアツも持っています。それくらい、怪獣たちは良かった。往年の怪獣のデザイン変更も良かったし、新規のサルンガ、アクアティリス、アンフィビア、テレストリスも、東宝スター怪獣の面影の融合みたいなデザインで好ましかったです。

 ただ、勿体ないのは個々の活躍が少ないこと。特に終盤は、舞台を紅塵が覆う中でのアクションになるので、全貌が見えにくいんですよ。個人的には、怪獣アクションについては前半の方が良かった。特に、ラドン、アンギラス、クモンガ、この辺の、むしろゴジラに直結しない怪獣たちとのバトルが楽しかったです。中でも最高なのはアンギラスですね。晴れ渡る草原のなかでの追いかけっこが、凄く好きなんですよ。

 ストーリーはさっきも言ったように「断片的」で、作中に登場する「アーキタイプ」にまつわる話に繋がっていくので、正直興味の持続に欠ける。僕が頭悪いのは百も承知の上で、何が何だか分からない話を延々続けられる数十分で、けっこうキツイ。天才の話って詰まんないんだなって思った。しかも、とにかく多量の情報量をぶっこんだアイテムであるため、それにかかわって説明役を引き受ける人物たちの描写も、断片的というか、中身が良く分からない人物になっている。これは……いかがなものでしょうか。この辺は、完全に脚本の問題だと思った。『ストレンヂア』で、キャラクターのほんの些細な表情から、観客に全てを読み取らせて本気で泣かせにかかってきたボンズとは思えないほど、表現に乏しい気がします。要は、やっぱり彼らが好きになれない。主人公の男女二人も感情の波が全然読めないし、あのおやっさんも何? 戦いの最中に何を朗々とのたまってんの?? 狂人にしか見えないよ。あと、人間サイドのドラマの盛り上げ方、心底疑問です。さっきまで、あんなに重要そうに(ってか、この作品の中で一番真面そうに)していた人の退場、あんなにあっさりで良いの? しかもそれに対して、ヒロインは何をどう思ったの? こういうところの細かいところを描いてこそ光るドラマがあるんじゃないでしょうか。アーキタイプがどうたらなんていう、設定のための設定の説明に割く時間があるなら、もっと人間関係をちゃんと描いてほしかったところです。

 かなり手厳しい意見になりましたが、まあ、私見なんでね。怪獣たちのデザインやアニメーションが素晴らしかっただけに、それを十全に活かす話になっていなくて勿体ないです。変なこねくり回しをせず、本当に、ゴジラをはじめとする怪獣たちの日本蹂躙という展開だったなら、そして孤軍奮闘するジェット―ジャガーが、戦いの中で何かを見つける話だったなら、僕は、諸手をあげて歓迎したかもしれない。言い方は悪いですが、ゴジラ作品でこんな面倒くさい理屈をこねくり回してんじゃねえよと。しかも、リアルさの欠片もない人間キャラクターで。そこが、凄く残念だったところです。

 

 

 

ということで、二つのアニメ版ゴジラを紹介しましたが、個人的にはどっちも乗りにくい作品でした。

何だろ。ゴジラのような巨大怪獣モノって、アニメとの親和性があんまり良くないのかな。近々ネトフリでガメラの新作が公開されますが、あれもアニメですね。しかもガメラとなると、ゴジラとはまた違ったアプローチとなると思うので、まずは、ガメラの新作を待って、怪獣映画とアニメとの親和性については、もう少し考えてみたいと思います。

 

あ、何度も言いましたけど、あくまで私見ですからね。「読みが浅いんだよ!」とか、怒らないでね。