大人気放送中の「ウルトラマンブレーザー」。7月15日に第2話が放送!!
第1話も、「戦闘真っただ中からスタート、その一回の戦闘で1話やり切る」という、他のウルトラマンにはなかったストーリー展開と、確かな人物描写に惹きつけられましたが、第2話は今後のシリーズ展開やカラー、人物設定など様々な方向性を決定づける重要な回。はてさて、どんな話になるかと、一週間のうちに期待は膨らむばかりでしたが……。
今回も、やっぱり面白かった!!
ということで、ブレーザー第2話の見どころを、ざっくり紹介しましょう。
①怪獣バトルと同じくらいハマる、SKaRD挨拶シーン。
今回の対怪獣防衛チームである「SKaRD」。ブレーザーは、このチームの創設から始まる。これまでは、既にある防衛チームの一員がウルトラマンになる力を得るか、ウルトラマンの力を持つ者がチームに入隊するかが、基本のセオリーだった。ブレーザーでは、まさかのチーム創設メンバーの長に位置付けられるブレーザー=ヒルマ・ゲント隊長。SKaRD新設をめぐる第2話では、いわゆる「メンバー紹介」が話の中心になるわけだけど、これがね、非常に見ごたえがある。
前作にも登場して「謎の強者感」を出していたエミ隊員を年の離れたバディ的に同行させ、まずは2名のメンバーのところへ、配置転属の連絡と契約書へのサイン。ここでのそれぞれの隊員の反応や人柄が、本編を邪魔しない程度の「あるある要素」を以て語られ、ここでまず爆笑。テルアキ副隊長の、サインしたいがペンがない→みんなで探す→大雑把(乱暴)に書ける場所を確保→インクが出ない→日付間違える、みたいなところは、社会人なら誰しも経験があるはず(偏見)。アンリ隊員の、背中でサインはさすがにやり過ぎかと思ったけど、去り際にエミ隊員の背中にちょっかい出すゲント隊長など、そうした細かいところの描写で笑わせてくる――ばかりでなく、それぞれのキャラクターがある程度わかるようになっている。エミ隊員はエミ隊員で、最近の防衛チームにたまに出てくる、周りからは浮き気味の天才肌かと思いきや、隊長との伝票の奪い合いシーンでの、「よくある感」で、一気に「よく知っている」ような存在に。こうしたところが本当に上手い。
SKaRDの5人が一挙に揃うのではなく、ある程度の時間差を設けているのも良いし、それがストーリーの中で有機的に絡んでくるのも納得の工夫。とにかく上手い。上手いと言えば、SKaRDの面々の細かい仕草なども含めた演技が本当に上手い。コミカルな演技ややり取りを自然にやるって、すごく難しいと思うのだけれど、とにかく自然で、そういうところから「親近感」を持てるようになっている。これは、シン・ウルトラマン、シン・仮面ライダーにおいて、キャラクターの描写が、他とは違う癖であったり仕草であったりという「個のキャラ付け」でしか人物を描写していなかったのと対照的です。
②共通する世界観は、まさかの「ウルトラマンタロウ」?? 牧歌的なプロフェッショナル感
第1話でのざっくり感想でも、ゲント隊長の描写から、「何かZATに似てる」と評しましたが、第2話に来て、むしろ全体の方向性が「ウルトラマンタロウ」に近いものがあると分かりました。特に第2話は、怪獣の設定や描写、怪獣に立ち向かおをうとするおっさん(笑)、ブレーザーの即物的戦略など、タロウのテイストに近いものがあって、子どものときにタロウをよく見ていた世代としては、嬉しかったですね。
まず怪獣ゲードスの描写。まず特筆すべきは「目」ですね。あの、可愛いんだけど何考えているか分からない大味感のある目が、タロウ怪獣っぽい。タンカー・漁船・海上艦・潜水艦などを悉く撃沈するという強者感を出して登場しておきながら、上陸してまずやることがカマボコ工場襲撃っていう、やることが場当たり的っていうか、強さと行動にかなり解離性がある辺りも、すっごくタロウの怪獣っぽいんですよ。
続いて、怪獣に立ち向かおうとする一般人のおっさん。あれ、タロウだったら止められながらも一矢報いてたね(笑)さすがにそこまではしませんでしたが、怪獣に立ち向かおうとする市井の人々が出てくるのもすっごくタロウっぽい。
そして最後に、ブレーザーの即物的戦略。戦闘してしばらくはシリアスというか、迫力のある肉弾戦が続きますが、ゲードスが海中に逃げ込んだ後の、まさかの一手。ネタバレするけど良いよね。まさか、スパイラルバレードを釣り竿にするとは。引っ張っている時、リールを巻くような音を立てていましたが、あれは何だったんだ(笑)2万tもある巨体を吊り上げようと唸るブレーザーの姿に爆笑しつつ、頭の中では第2話のタイトルはこうだろう――っていうのを考えていました。
ウルトラマンブレーザー第2話「あの怪獣を串焼きにしろ!!」
うん。こっちの方がしっくり来る。もちろん元ネタは、タロウの伝説回「あの怪獣を塩漬けにしろ!!」ですね。
面白いなあと思うのは、SKaRDのデザインや武装などはシリアスな、それこそナイトレイダーに象徴されるようなミリタリー感のあるものである一方、隊員たちのキャラクターや、ブレーザーの世界観そのものは、タロウのようなどこか牧歌的なものであって、しかもこの二つが全然ムリなく両立しているという点です。リアル路線だからって、シリアスにする必要はない。デザインや武装の本格的なカッコよさと、物語の緩さ=取っつきやすさは、必ずしも相反するものではない、ということなんですよね。そういうところは、2012年の「アベンジャーズ」周辺のMCU映画に近いものを感じました。個人的に、一番、好きだった頃ですね。
もちろん、世界観が緩いことと、作戦行動その他が緩いことは違います。ZATが、非常に風通しの良い牧歌的な雰囲気でありながら、作戦行動については一流で、昭和防衛チームの中でも科学特捜隊と並んで怪獣迎撃成功回数が優秀だったのと同じように、今回のゲードス戦は現場での攻撃がたった3人だけでありながら、ちゃんと怪獣に効果的な一撃を3人とも与えている。この辺の、プロ感、できる感は、第1話から引き継いで、「このシリーズ、良いな」と思わせてくれるところでもあります。
③新規怪獣続々! 日常に怪獣が浸食してくる「画」の素晴らしさ。
今回のゲードスは、「深海怪獣」とうことで地球産の怪獣と見て良く、前回のバザンガとは異なり、アースカラーの「生物らしい」デザイン。これが最高。怪獣のバラエティ性が早くも発揮されている。戦いも、序盤はブレーザーとのプロレスから始まり、頭の触手による限定的に有利な展開、それが破られてからの急激な弱体化、水中への逃亡、大爆笑のアレなど、一回の戦闘の中でお腹いっぱいにさせてくれるのが嬉しい。特に、このブレーザーってウルトラマンが、今のところゲント隊長とも、彼の視線から物語を追う視聴者側ともあんまり意思疎通できていないところがポイントで、何してくるか分からないところが上手く活かされている、からこそのバトル終盤のアレがある。調べてみたら、2話続きで「新規怪獣」が登場するのは、ウルトラマンコスモス以来22年ぶりなんだって!! そういえば、コスモスにも「怪獣一本釣り!」って話があったよね。怪獣が暴れる画も、ウルトラマンとの戦闘の画も、抜けのある青空の中で非常に奥行きのある画作りになっていて、そこも良いところです。一昔前のハリウッド版ゴジラでも、暗かったり靄がかったりして視界が悪い中での怪獣アクションが多かったのですが、テレビシリーズで爽やかな青空での戦いで、ここまでリアルに迫ったものを見せてくれると、やっぱり嬉しいですよね。ちなみに、ウルトラシリーズに代表される現行の怪獣特撮のクオリティは、ニュージェネの段階でものすごくパワーアップしていて、本当に惚れ惚れするような特撮を堪能できるし、様々な視点からの画作りが本当にエレガント。これがあるから特撮観てるんだよ!! って悦びに溢れています。
以上、今日は長い!!(笑)これでも言い尽くせない。すごく満足度の高い30分でした。
第1話の、とにかく唐突な始まりで、引き込まれるんだけど置いてきぼりになる人も多そうな第1話から、細かいあるあるや、どこか牧歌的な雰囲気、魅力的なキャラ描写、サプライズの多い怪獣との戦闘など要素をふんだんに、かつバランス良く取り入れた、本当に大人から子どもまで楽しめる第2話となっていました。面白かった!! 来社にも期待大!!