ざっくり感想「ウルトラマン」第11話~第20話 | 怪獣玩具に魅せられて

怪獣玩具に魅せられて

ゴジラ・ガメラ・ウルトラマン、その他たくさんの特撮怪獣玩具を紹介します。

 

 

『ウルトラマン』第11話~第20話まで ざっくり感想 

【第11話】

「宇宙から来た暴れん坊」(脳波怪獣ギャンゴ登場)

 全39話中屈指のコメディ回で、5歳になる息子が大好きな作品。子どもたちの発見から、一人の大人の悪用、そしてあまりにも迂闊な「願い」による怪獣の出現とテンポの良いストーリー展開。特に大うけするのはウルトラマンとギャンゴの戦いで、ギャンゴのオタオタ感や空回り感が最高。久しぶりの市街地戦は港に面しており、海を使っての上下の戦闘がダイナミック。ギャンゴが格闘しやすい体躯なのでウルトラマンのアクションも冴えに冴える。底抜けに明るいテンションが最後まで徹底して続くので、見終わって爽快な気分になれる一作。

 

 

【第12話】

「ミイラの叫び」(ミイラ怪獣ドドンゴ登場)

 これは子どもの頃、ビデオで何回も観返してトラウマになっている。とにかく序盤~中盤のミイラ人間をめぐるサスペンスが本当に怖かった。ただ、最近見返して思ったのが、警備員? のおじさんの顔が一番のホラーでした。下水道に追いつめてからの大立ち回りなど、対怪人戦でも斬新な展開を試みている。発掘工事現場を舞台としたドドンゴとのバトルで一気にスケールが広がり、これまた見どころ目白押し。ビートル戦、新兵器バリアマシンを駆使した地上戦、ウルトラマンとのバトルと、次々戦いの形態が変わるの上に、ドドンゴがウルトラ怪獣の中でも特に面白い姿をした魅力的な怪獣なので、全39話中でも極めて印象に残るシーンに富む回となっている。ラストの後味も渋くて良し。

 

 

【第13話】

「オイルSOS」(油獣ぺスター登場)

 とかく大規模な製油所火事シーン。狭所感の全くない、日本特撮史上に残る大規模火事シーン。あそこまでの事態になるからこそ、責任を感じたイデ隊員の命がけの行動にも説得力がある。これまで怪獣と取っ組み合いしていたウルトラマンは今回は消火作業に徹しており、怪獣退治がほとんどない珍しい回で、これが成立するのも前述の火災シーンの規模の大きさあってこそ。ドドンゴ・ぺスターと面白い形&二人かかりでの着ぐるみ怪獣が続き、ウルトラ怪獣のデザイン的な面白さ、ここに極まれりといった感じか。海中を移動するときの青い怪光も良い演出。いつもは剽軽で視聴者と登場人物の橋渡し的な役割を果たしてくれていたイデ隊員の、いつもとは違う「必死さ」がドラマを上手く盛り上げている。

 

 

【第14話】

「真珠貝防衛司令」(汐吹き怪獣ガマクジラ登場)

 フジ隊員二回目のフィーチャー回で、今度は女性ならではの「乙女の戦い」。実相寺監督は『ウルトラマン』の中ではこうしたコミカル、かつキャラクター個人に肉薄するドラマを手掛けていて興味深い。汐吹き怪獣ガマクジラは、間抜けな顔をしていながら強敵で、一度は敗れ打つ手がなくなるのも、夜に怪獣の様子を見張るのも、同じ実相寺作品のコミカル回「空の贈り物」に通じる展開。ウルトラマンとの戦いは控えめに、あくまで本筋を科特隊との攻防に置き、ビートル2号機も第1話以来久しぶりに登場。ミサイルを発射する代わりに発射口が光ることでそれを演出するなど、新しい工夫をいくつも試みている。真珠を食う、だからこそフジ隊員最大の敵になるというのは良いアイデアだった。

 

 

【第15話】

「恐怖の宇宙線」(二次元怪獣ガヴァドン登場)

 「ストーリーの形の全てがウルトラマンの段階ですでにある」と信じる理由が、この第15話の存在。子どもたちの憧れの存在であるはずだったウルトラマンや科特隊が、完全なる子どもたちの敵になる。ウルトラマンに対して子どもたちが「帰れ!」と叫ぶ。これを15話の段階でやるところが凄い。やはり子供達にとってはウルトラマンより怪獣であって、作り手もそのことを分かっていたのだろう。「いるだけで人間社会にダメージを及ぼす存在」として怪獣を描くことで、後々「怪獣は所詮、人間社会に入れてもらえない哀しい存在」という「幻の雪山」のセリフが真に迫ってくるようにも図られている。後年、タロウのキングゼミラやコスモスの怪獣保護など全ての「怪獣との対峙のあり方」の原点にあるような作品だが、最高に痛快なのは単なる悲しい別れ話にはせず、最後に子供たちが落書きをしまくるシーンを持ってきたこと。大人たちの都合や目論見によって制限されようとも、そんな枠などに収まることがない子どもたちの逞しさを讃えるような、切れ味の良いラストになっている。

 

 

【第16話】

「科特隊宇宙へ」(宇宙忍者バルタン星人二代目登場」

 ついに舞台は宇宙へ進出。ただ一方で地球上での攻防も忘れず、物語はムラマツ・ハヤタ・アラシのジェットビートルによる救出組と、イデ・フジによる地球残留迎撃組と二つのパートで進行する。第2話以降、久しぶりの宇宙人との対決においてバルタン星人のリベンジ劇を持ってくるあたりも粋なところ。バルタン星人の計略もいよいよ手が込んだものとなり、R惑星での戦闘と地球攻撃を同時にやるというしたたかさ。イデ隊員のマルス133の見せ場でもある。ウルトラマンもR惑星から地球へと大忙し。前後編にしたっておかしくはないボリュームを、30分という尺の中で過不足なく纏め上げる手腕が凄い。さすがに宇宙でつながる二つの舞台での特撮には相応のコストがかかったらしく、地球攻撃のシーンでは、「オイルSOS」の火災シーンが流用。第13話の画の迫力が今一度際立つこととなった。

 

 

 

【第17話】

「四次元へのパスポート」(四次元怪獣ブルトン登場)

 抽象的な概念さえも怪獣化できるという、とんでもない傑作。まず、ブルトンが否定形怪獣なのが最高で、硬いのかと思いきや、ぶよぶよしていて素敵に気持ち悪い。ブルトンが引き起こす奇妙な四次元現象は、映像のマジックをふんだんに使った、凄まじく手の込んだものになっていて、しかもそこにイデ隊員のコミカルなキャラクターが入ってくるので、爆笑しながらも感心して観ることができる。ウルトラマンの戦い方も、いつも通りの格闘戦ではなく、次元を超越した相手との、これまでにない死闘が繰り広げられる。最初から最後まで、全てが最高に面白い回。今回ホシノ君はそれほど活躍したわけではないが、最後の最後の「ご褒美」については嫉妬に狂う少年少女がさぞ多かっただろうな。

 

 

 

【第18話】

「遊星から来た兄弟」(凶悪宇宙人ザラブ星人登場)

 第17話で科特隊に入ったホシノ君大活躍の話。序盤から放射能の霧というトンでもないものを持ち出してくる。「ウルトラマン」の世界はちょくちょく人類死滅レベルの危機が訪れるから怖い(笑)。宇宙人との戦いは、怪獣のそれとは大きな違いが出てきていて、より狡猾な頭脳戦になっている。ウルトラマンとの信頼関係を攻撃するというのは、翌年の大傑作「狙われた街」の先駆けか。腹に一物抱えながら、初めは紳士的に接してくる宇宙人として、このザラブの食えなさ加減が良い。夜の街を舞台に2人のウルトラマンが対峙するシーンは必見で、『シン・ウルトラマン』を見返した後だと、『シンウル』がどれほど細かいところまで、このザラブ戦をなぞっているかがよく分かる。

 

 

【第19話】

「悪魔はふたたび」(青色発泡怪獣アボラス・赤色火炎怪獣バニラ登場)

 「怪獣無法地帯」以来の複数怪獣登場回。市街地におけるウルトラ怪獣同士の殴り合いは、ここから始まった。バニラ登場⇒応戦⇒そこへアボラス登場というタイムラグも効いていて、状況がどんどん悪くなるサスペンス感が良い。旧国立競技場を舞台としたウルトラマンとの戦いは見どころしかなく、あっちこっちががらがら崩しながら戦う両者を観て、子ども心に「もったいないことするなあ」と思った。アボラスの都市部分断⇒首都高進撃など、市街地セットの規模が大きく奥行きも相当ある。怪獣が2体も出ている上、ここまで大掛かりなセットを組めたのは本当に凄いと思う。

 

 

 

【第20話】

「恐怖のルート879「高原竜ヒドラ登場)

 ウルトラ怪獣の中で「鳥型」は強い、というお決まりを作ったような話。伊豆シャボテン公園のでっかい像ありきの話ではあるが、ロケハンの工夫が見られて楽しい。飛翔怪獣との戦いにおいてはスピード感が勝負所で、ビートル2機との空中戦がカッコよかった。ウルトラマンとの戦いは逆に、地面にしっかり足を付けた上での戦闘としつつ、嘴による攻撃など、鳥型怪獣の強みを活かして一度はウルトラマンをノックダウンさせ、最後まで倒されないなど終始有利な状況を保つ強敵感が良い。ちなみにムラマツキャップによると、今回のヒドラ戦が「ウルトラ作戦第二号」らしい。