『ウルトラマンコスモス』第11話、「動け! 怪獣」に登場した、骨格怪獣ムードン。コスモス初期に多かった、牧歌的でありながらも命の大切さや愛情の温かさを描くストーリーで知られています。僕も大好きな話です。
ソフビは、放送時期のもの。
非常にボリュームがある。
前から。
コスモスの怪獣は、ウルトラマンQや初期ウルトラマンを意識したものが多かった。映画『ファーストコンタクト』では、そのまんま新解釈バルタン星人が登場したし、TVシリーズ1、2話の怪獣は、リドリアスとゴルメデーーリトラとゴメスを思わせる怪獣だった。他にも、ダダによく似たギギ、クレージーゴンによく似たクレバーゴンなどなど。このムードンも、明らかに亡霊怪獣シーボーズを意識している。
横から。
シーボーズはひょろっとしていたけど、このムードンは、よりがっしりしていて、骨格でありながら生物然とした"肉厚感"が面白い。
設定は、草食恐竜ムラノクラフドンの化石が、カオスヘッダーの残留エネルギーによって動き出したというもの。カオスバグ(ゴミに取り憑いた)の例を先にやっておいて、無機物にも取り付くカオスヘッダーの特徴を、うまく活かした展開だと思う。
元は恐竜なんですね。しかも、古き懐かしきゴジラ型シルエット。よく見ると背鰭もあります。
面白いのは、こいつが草食性の恐竜における色んな要素の詰め合わせだということです。頭の角は、周飾頭類(角竜)、背鰭は装盾類(剣竜)、全体のシルエットは鳥脚類をイメージさせる。
後ろ。
尻尾の骨の組み合わせが綺麗ですね。
骨の隙間は、黒で埋められている。これは、ウルトラ"骨"怪獣によくある処理ですが、このモノクロの対比が映えます。
顔のアップ。
つぶらなお目目が可愛い。
首周りの骨の構造など、細かいディテールです。
よく見ると、小さな歯もありますね。顎の形、どうなってるんだ??
骨格怪獣って、意外と手間なのでは? 骨と骨の繋ぎ目も彫らんといけんし、骨部分と空洞(黒)部分との凹凸を際立たせないといけないし……お疲れ様です。
可動範囲は広め。一方向にしか動きませんが。
尻尾を上げても自立します。重量のバランスは取れている方。
突進!!
おおっ! これはカッコいいのでは!?
恐竜っぽい動き。姿勢が安定すれば、可動範囲が限定されていようと、躍動的なポージングもできるんだな。
とりゃーっ
さすがに片足では自立しませんが、建物を支えにして立たせてみた。
巨大な脚に対して、小さめの手が可愛いですね。
キャラクター的な愛らしさのあるムードン。
シーボーズといい、骨格怪獣は哀れっぽいところと、可愛いところが綯い交ぜになっている感があります。
ACTのコスモスと。
大きさ的には、ACTだと少し大きいかもしれない。並べた時に、ムードンのどっしりさが薄れてしまう。
色合い的には、とても綺麗な組み合わせですけどね。
アップで撮ると映えます。良い組み合わせだ。
ムードンの突進を軽くいなすコスモス。
コスモスの独特な戦闘スタイルは、怪獣や宇宙人との絡ませの中でこそ、光るのかもしれない。
よしよし。
ムードンは化石にカオスヘッダーが取り憑いたもの。従って生命が変容させられたものではない。
にもかかわらず、チームアイズも、コスモスも、ムードンを1匹の生命として、ムードンを突き動かす原動力を探り、事態を収拾しようとしている。今、改めてコスモスを見返すと、そういうところがグッと来るように思えます。
骨格怪獣繋がりということで、このヒトにも。
マン「なんと! シーボーズがまた現れたか!」
アーツだとムードンの巨大さが引き立って、良いかもしれません。
ジャック「これは、立ち上がったステゴンだよ!」
ムードン「……」
コスモスといいジャックといい、骨格怪獣は、マン兄さん系統の顔に縁があるのかね。
白が汚れた感じの彩色もいいですね。
工事現場? から出現していましたからね。土に汚れた様子が、よく表れています。
マン兄さんへの原点回帰を目指したデザインが、すごく良いです。シーボーズといい、このムードンといい、今自分のいるところに住み場所を持たず、残された唯一のものに縋り続ける姿には、怪獣の悲哀みたいなものを感じてしまいます。ムードンの場合、彼が執着しているものとの再会を果たしたことで、やっと帰るべき場所を見つけたーーという展開になっていて、ちょっとそこはエモーショナルにすぎるきらいもあったけれど、でも良い話でした。
冒頭の休暇先奪競争で、それぞれが計画を実行するあたりは、ウルトラマンの「空の贈り物」にも通じるところがあって楽しめるし、ラスト、結局、休暇を一番取得することになったムサシが、「実家にでも帰ろうかなー」ってしみじみ呟くところで、命と命のつながりを感じ取れるようになっていたり。
色々と見どころが多い、コスモスを代表する話の一つだと思います。